2012/10/27 実業団女子駅伝西日本大会前日
前回優勝の天満屋、若手の底上げができているシスメックス、2枚看板のダイハツ、福士出場のワコール
混戦予想だが宮内姉妹&光延の京セラに勢い
3区に福士、木崎、野口、宮内洋
5区に重友と横浜組4選手(中里、伊藤、宮内宏、藤田)
実業団女子駅伝西日本大会の監督会議、開会式が福岡県宗像市役所で行われ、区間エントリーが発表された。優勝候補は前回優勝の天満屋と2位のシスメックス、昨年12月の全日本実業団対抗女子駅伝で6位だったワコール、7位のダイハツ、8位の京セラあたり。
天満屋は全体に調子が上がらず、「誰をどこに起用しても同じ」と、数日前の公開練習の際に武冨豊監督がコメントしたという。坂本直子、中村友梨香、重友梨佐と五輪経験選手たちの調子が上がらず、“優勝争い常連”の天満屋を支えてきた泉有花や浦田佳小里もケガなどで起用のめどが立っていなかった。
発表されたメンバーは3区に、昨年に続き栗栖由江が入った。絶好調とは言えないが、天満屋のなかでは悪くはない。1区に中村、5区に重友を配したのは、レース本番の強さを期待しての起用か。2区には西脇工高から入社1年目の翁田あかりを抜擢した。チームで一番の上り調子で、先週(10月21日)の“日本記録挑戦”記録会5000mで15分54秒07の自己新をマークした。
6区の小原怜はシーズン序盤こそ1万mで自己新を出すなど、小原にとっては長めの距離で頑張っていたが、後半はその勢いがなくなっている。
各選手の調子を見たら連覇はない、と見るのが順当だろう。だが、“優勝争い常連”の天満屋は駅伝になると集中力を発揮する。駅伝を、調子を上げるきっかけとすることができるのだ。連覇は難しいが侮れない、と見るべきだろう。
シスメックスは徐々に全体のレベルアップができている。
五十嵐藍が日本選手権5000mで11位(昨年の今大会1区区間賞)、西川生夏が同1万mで15位、高山琴海が全日本実業団5000mで8位。清家愛の調子が上がらないのは計算外だったが、明日の実業団女子駅伝西日本大会は1区・西川、2区・五十嵐、5区・高山と予想通り主要区間に入った。
それらの選手を押しのける形で3区に入ったのが野口みずきである。3月の名古屋ウィメンズマラソン後はヒザの「関節炎」で苦しんだが、7月に本格的な練習を再開。9月30日のポルトガルでのハーフマラソンで1時間12分20秒で4位。
「いきなり上げると危ないので少しずつ上げて、結果的に間に合いませんでした。でも、昨年と違って(ケガから復帰する過程で)ハーフを入れて“クソー”っと思ったことで、スピードを戻そうと頑張れました。(3区区間賞を取った)昨年と仕上がり具合は似ていますが、気持ちは今年の方が乗っています。私が元気なので、みんなの力になれるパフォーマンスをしたい」
昨年以上に明るさを取り戻している印象を受けた。エースが復活して、若い選手が上がってきたシスメックスも侮れない。
ダイハツは2枚看板の木崎良子と中里麗美がきっちりと3区と5区に入った。ダイハツは昨年こそ木崎を欠いて敗れたが(横浜国際女子マラソンを優先したため)、西日本大会が始まった2009年、2010年と連続優勝。両大会とも中里3区、木崎5区だった。2009年が中里でトップに立って逃げ切り、2010年は木崎が逆転した。
今回、2人の区間は入れ替わったが、2年ぶりのV奪還に向け、2枚看板が長距離区間に戻ってきた。
「ロンドン五輪が終わって(モチベーションが下がるのではなく)、次はチームのために頑張ろうという気持ちになれました」と木崎。
中里が5区に入ったのは、横浜国際女子マラソンを控えている中里が「マラソン練習をやりながら走れる区間。1人で押していけるかどうか試せる区間」という意味がある。
ワコールは福士加代子が3区に入った。11月4日のニューヨークシティ・マラソン出場を控えた福士の出場は、水曜日の練習の結果を見て決定された。
今大会の全日本出場枠は“5”と狭き門となっているが、2時間23分00秒以内のチームも出場できる。
福士出場決定の前日だったが、永山忠幸監督は「福士が入れば順位狙いで行くが、入らなかったらタイムでの通過を狙う」と話していた。
5区の高藤千紘が今季好調。1区で出遅れなければ福士でトップに立つ可能性が高い。1区の稲富友香がどこまで復調しているかがカギを握りそうだ。
今回、京セラが本命ではないかと思っている。
宮内姉妹が好調だ。日本選手権1万mで6位と7位(姉の洋子が先着)。ハーフマラソンでも5月の仙台で宏子が2位、7月の札幌では洋子が2位で宏子が3位。姉妹の足並みがここまで揃い、長期間好調を持続しているのは初めてだろう。
新原保徳監督は「マラソンに取り組み始めて(3年が経過し)、2人とも大きく崩れることがなくなったから」と、姉妹の快進撃を分析する。
さらに2年目の光延友希がグンと力をつけた。6月のホクレンDistance Challenge士別大会5000mで15分44秒07の自己新。10月の岐阜国体でも15分44秒32で5位と好走した。先週の“日本記録挑戦”記録会3000mは練習の一環だと思われるが、宮内姉妹に先着した。
1区に光延、3区に宮内洋子、5区に宮内洋子という布陣。
「昨年は姉妹が走れず2分から2分半ロスしました。今年はその分だけでも記録アップが期待できます。そして光延が姉妹の尻に火をつけている。目標は3位以内と言っていますが…」
09年の就任から4年目。新原監督が最も手応えを感じている駅伝シーズンが幕を開けようとしている。
鈴木秀夫監督が就任して2年目のユニクロは、全日本実業団1万mで高卒2年目の萩原歩美が32分00秒73で4位。小林祐梨子(豊田自動織機)と福士加代子(ワコール)と競り合って注目を集めた。
昨年の今大会は8位。さらなる躍進が期待されたが、昨年1区の今屋美佐と2区の新居真希を故障で欠き苦しい戦いになる。
「萩原は順調で、走りも全日本実業団よりやわらかくなっています。区間賞を取らせたいですね。3区で見せ場をつくってなんとか2時間23分をクリアしたい」
島田健一郎コーチは若いエースに期待をかけていた。
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