2012/5/19 東日本実業団1日目
末續が4年ぶりの国内主要レース出場
レース後の会見で心情を明らかに


100 m予選3組  1位・10秒84(−1.9)
    準決勝2組 2位・10秒83(−2.8)
    決勝      8位・11秒77(+0.3)


「4年ぶりの3本目だったので、体がビックリしたんでしょうね」
Q.決勝まで走り終えた今の気持ちは?
末續慎吾 疲れました。4年ぶりの3本目だったので、体がビックリしたんでしょうね。すごく疲れました。でも楽しかったです。
Q.今日の100mの目的、目標、テーマはなんでしたか。
末續 目的は、ないです。4年ぶりのこういう試合だったし、自分がどんな気持ちで走れるかな、という。具体的な目的も設定すれば色々あるかもしれませんが、今日はそういう気持ちで走れれば十分だったので、予選から全開で行かせてもらいました。
Q.決勝は脚が(質問聞き取れず)
末續 ちょっと強めの筋肉の痙攣というか、収縮というか。過去に経験したこともありますが、レースの途中で無理と判断しました(60m付近)。できる距離まで頑張りましたが、僕の中では今日のレースはこれでおしまい、という、はい。

「走りたいと思って走るレースはとても気持ちが良かった」
Q.今の気持ちは悔しさより(質問聞き取れず)
末續 今日は楽しもうと思って走ったので、悔しさはあまりありません。1本ずつ、走れなかった日々を思い返しながら走っていたので。走りたいと思って走るレースはとても気持ちが良かった。3本ともしっかり走れたかといえばそうじゃありませんでしたが、自分の中ではすごく晴れている気持ちです。
Q.色々な思いで取り組まれていたと思いますが、オリンピックへの思いという部分もあったと思います。オリンピックへ向かうという点ではどんな思いですか。
末續 どうして僕が、レースが終わった後にこういう機会を設けてもらえるか。もう少し早くできたんじゃないかと思う方もいると思います。去年の10月に復帰した時点で、一駆けっこ好きの人間が、自分が走りたいと思った姿のまま走りたいと思いました。自分の気持ちに正直に走りたかったので、去年から色んなことをやったり、色んな人に会いました。復帰というか、こういう走る舞台に立てるまで、本当にそのときが来るまで自分の気持ちに正直に走りたかった。今日はそういう気持ちのまま走ることができ、そしてまたここで、こんな話ができていることは、僕自身に筋を通せたかなという面もある。走ることで感じることはすごくたくさんありました。

「今後のことを聞かれても今の段階ではわからないし、明日もあります」
Q.明日、200 mもあります。そこに向けてはどう考えていますか。
末續 まず今日寝ます。明日の状態でできるかどうかを判断します。今日はこんな状態ですが、エントリーして、200 mがある限り、明日の朝起きて判断したい。
Q.2008年に可能性は無限大と話していましたが、今も可能性はあると思っていますか。
末續 4年前は走りたいと思わなくなったので、走ることから離れました。それから時間が経って、あの気持ちからまた走りたいと思えたことに価値がありました。試合に出ることや練習することが、僕の中で嬉しかった。去年からそうだったんですが。もちろんオリンピックだったり、試合だったり、設定タイムだったりもありました。そういうものも感じていました。その状況でも静かにしてくれていた方、見守っていてくれた方もいます。また挑戦という気持ちに戻って、また走るというところまで来るまで、目標は立てませんでした。ただそれをやるというだけで、今日こういう形でお話ができるのは、僕にとっても良いタイミングで、嬉しいことでもあります。今後のことを聞かれても今の段階ではわからないし、明日もあります。まあ、そんな気持ちです。

「宮崎君とは9年ぶり、高平君とも4年ぶりでした。走っている間に色々とあったと思うんです。そういう空間を楽しんでいました」
Q.準決勝で北京五輪のリレーメンバーである高平慎士選手と隣のレーンでした。感じたこと、感じ取ってほしいことは何かありましたか。
末續 特に感じてほしいことはなかったんですが、どう思いました? 見ていて。どう感じたかな、って思って。僕はレースに集中していて、終わった後に『あー、気持ちよかった。楽しかった』と感じていましたが、そういうところを見ている人が、どう感じたのかな。
Q.単純に取材者として、4年ぶりに見られたことが嬉しかったですね。
末續 僕も嬉しかったんですよ、今日。ホント4年ぶりのレースだったし、ホントに3本目だったし。宮崎(久)君も準決勝でいたでしょ。彼とは9年ぶりに一緒に走ったんです。高平君とも4年ぶりでした。言葉にならないことだったり、走っている間に色々とあったと思うんです。そういう空間を今日楽しんでいました。皆さんにどう映ったのかわかりませんが、僕の陸上ってそういうものだったと再確認できました。

「レースする前は大丈夫かな、こんな緊張しなくて、というのが本音でした」
Q.1本1本、精神的に(聞き取れず)
末續 緊張をごまかすわけではありませんでしたが、なんか不思議な気持ちでしたね。僕が過去にやっていた陸上競技とはまた違った気持ちで臨んでいました。というか、(違った気持ちで)そこにいたので。レースする前は大丈夫かな、こんな緊張しなくて、というのが本音でした。あいつ緊張しているな、この選手誰だっけ? と、一緒に走る人たちを、ちょっと見ていた自分もいたかもしれません。それは間違いなく、4年前にはなかったことなので。不思議な気持ちになりました。
Q.緊張していなかったと?
末續 噛みしめていた、というのもあるんなじゃないかと思います。過去に一緒に走った選手もいたし、色んな思いで来ている選手もいる。今回の僕みたいに。そういうのを丸ごとというか、楽しかったかな、という感じがします。

「オリンピックだけを目指していたら、こんな気持ちにならなかった」
Q.話を聞いていて違うかもしれないと思いましたが、陸連からはロンドン五輪を視野に入れて練習を始めたと聞いています。日本選手権に出られないとなると、オリンピック出場もどうなるかわかりません。そのことに関してはどう思いますか。
末續 ちょっと食い違っているかな、という気はします。去年熊本で1本走りましたよね。あのとき、10秒8なんですよ。まずレースに出ることが最優先で、その先のことは考えていませんでした。今もそうです。考えられませんでした。とにかく目の前のレースをやった後に、何なのかわからないけど答えがあるんじゃないかと思って走りました。具体的に何かを決めて走るというのでなく。もしも僕がオリンピックだけを目指していたら、こんな気持ちにならなかっただろうし、実際明日になって(オリンピックに関しては)どうなるかがわかると思うんですが、こういうケガもあって、明日がどうなるかわかりませんが、ひょっとしたら明日走れるかもしれません。今の時点であきらめたわけでもありません。明日起きて、靴を履いて、確認してみて決めることですから。なので、それからどうなるかっていうのを今は考えていません。去年10月に走ったときも、オリンピックという気持ちにはなっていなくて、ただレースに出る、そして手応えをつかんで、レースを走れる体をつくっていくことから始めたんです。最初は歩くことから始めたんですよ、復帰に向けて。そういうときにオリンピックと言われても、僕の中では気持ちと体のギャップがありすぎて苦しむことになる。それはどうしても避けたかったし、色んな人に理解してほしかった。だけど100 mでオリンピックかって話になったら、それはもうダメですね。でもチャンスということであれば、明日の朝までわかりません。その瞬間になるまで物事はわからないのだと復帰する段階で感じて、僕は今でもそう思っています。やっぱり走りたいし、走りたいと思えたから、その気持ちを大事にしたいですね。

「『じゃあ俺って走りたいの?』と自分に問いかけたときに、走りたいと思った」
Q.走りたいと思い始めた転機は何かあったのでしょうか。色んな観点から陸上に向き合われたと思うのですが。イベントとか。いつ頃、どんなきっかけがあったのか?
末續 色んな人との出会いなどもありました。4年前にメダルを取った立場の人間が4年間休んで、ここまで静かにさせてもらえることはあまりないと思うんです。見てくれている方、理解してもらえる方はいます。だから中途半端に決めたくなかった。そうやって時間をかけていくなかで、小学生と遊んだり、高校生とグラウンドで走ってみたり、色んなことを積み重ねていって、『じゃあ俺って走りたいの?』と自分に問いかけたときに、いつだったのかちょっと思い出せないんですが、走りたいと思ったんですね。それから色んな人にバックアップしてもらってここまで来られた。僕はここにいるっていうか、どういう形であれ、すごく良かったことなんじゃないかと思います。

「今後のことはまた改めて」
Q.予選はスタートがすごく遅く見えました。準決勝、決勝と少しずつ良くなったように見えましたが、手応えはどうだったのでしょうか。
末續 眠っていたところがビクビク動いてくるのがわかりましたね。いやー、こんなふううになるのか、って思って。4年ぶりの2本目で、走り終わったあとは、ヤバイな体、と思って。全身痙攣とかしてビクビクしていました。でも、やってみっか、と思って3本目を走ったら、あらー、みたいな。
Q.こうやってレースを走って、心の底から走りたいという気持ちになれましたか。
末續 明日の朝起きてみないとわからないかな。ちょっとしつこさもあるんですけど、今後のことはまた改めてというか、明日の朝、200 mを走れるかどうか判断するまでわかりません。今年のオリンピックというのもあきらめてはいないんで。
Q.(質問不詳)
末續 そこは待ってて、というのも変ですが、勘弁してください。いきなり治らないですかね。


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