2012/6/24 布勢スプリント2012
写真で見る布勢スプリント
風力調整フェンスの存在と、ウォーミングアップを見学できるのが特徴
トップ選手の走りを“感じられる”大会


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3年ぶりの布勢陸上競技場(コカ・コーラウエストスポーツパーク)。到着するといやおうなしに、第3コーナーの風力調整用フェンスが目に飛び込んでくる

競技場に入ってもやはり目立つ風力調整フェンス。正式名称があるのか競技場サイトを見てみたが、特に紹介していない。この競技場最大の特徴であるし、関係者や観客の会話にも必ず出てくる。愛称があった方がいいだろう。マジックゲートとか、マジックフェンスとか

ホームストレートの1レーン内側にはスポンサーの看板が設営されている。このこと自体は珍しくないが、その内側に観客席があり、選手の走りを間近で見られるのがこの大会の特徴の1

インフィールド観客席の向こう側では選手たちがウォーミングアップを行っている。写真はドリルを行う和田麻希(ミズノ)

バックストレートにはスタブロがセッティングされ、スタート練習が可能。通常はサブトラックで見られる光景だが、直線種目中心の大会のため(4×100 mRもある)、インフィールドとバックストレートをウォーミングアップ場に使用できる。

ウォーミングアップのドリル(動きづくり? テンポ走?)を行う福島千里(北海道ハイテクAC)。江里口匡史(大阪ガス)、和田、渡辺真弓(東邦銀行)ら日本のトップスプリンターたちのウォーミングアップを見られるのも、この大会の特徴の1つ

江里口と安孫子充裕(ミズノ)の同学年コンビ。安孫子は第2レースで江里口に次いで2位。3人が10秒54の同タイムという激しい2位争いを制した

江里口と朝原宣治コーチの大阪ガス師弟コンビ。2008年の北京五輪(4×100 mR銅メダル)まで4大会連続五輪に出場した朝原コーチ。それを引き継ぎロンドン五輪代表となった江里口。雑誌の取材で対談も、レース翌日に行われた

川面聡大(ミズノ)と中大・豊田裕浩コーチ。昨年のテグ世界陸上代表だった川面は、ロンドン五輪代表こそ逃したが、躍進・中大短距離を牽引する師弟だ

福島選手のスタート練習を何度も見られるのは、ファンにとってはめったにないチャンス。ちなみに福島が日本記録の11秒21を出したときの10m通過は1秒96で、昨年のテグ世界陸上200m代表某選手より速い

100m第1レースが迫り、朝原コーチと鳥取陸協のスタッフが何事か話し合っていた。「フェンスをもっと開けますか」というような会話だったとか。ちなみに左は鳥取西高の冨田学先生。筑波大時代の1996年に110 mHで13秒89と活躍

布勢スプリントは100 mだけで72レースが行われる(その他に110 mH、100 mH、男女4×100 mR)中国地区だけでなく、近畿地区の高校、東海地区の大学、九州地区のクラブなども参加

前述のように1レーンのすぐ内側に観客席が設けられている。選手の走りを肌で“感じられる”大会だ。選手の家族にとってもありがたい

第2レースはバックストレートで行われた。他の種目が行われていないので、観客の多くがバックスタンドに移動
成績は鳥取陸協サイト

選手コメント
●矢澤航(法大)男子110 mH優勝
「昨日(日本学生個人選手権)は勝ちたい、失敗したくないという気持ちが入り交じって、自分の特徴のスタートで攻めの姿勢がありませんでした。しかし、今日の予選で良い感じで出られて、決勝は吹っ切れました」

●江里口匡史(大阪ガス)男子100 m優勝
「2本目は一歩目から脚がつってしまいました。右のふくらはぎです。動かないほどではなかったので、そのままゴールしたというだけのレース。それよりも予選でもう少しタイムを出したかった」
「感触としては10秒1台、悪くても2の前半は行くだろうと思っていました。速度が出る前に、綺麗にまとめた走りをしてしまった。中盤でもう少し、100mらしく荒々しい走りができないといけません」
「日本選手権も今日も、あと0.1秒くらい速く行けると感じていました。(レース前の)感覚と、実際のタイムにズレがあります。以前はこれと合わせた試合で練習以上の動きができていたのに、今季は練習と試合の差がなくなっている」

●福島千里(北海道ハイテクAC)女子100 m優勝
「まったく(納得は)いっていないです。ロンドン五輪に向けた調整の段階でも、11秒4台はちょっと物足りなさ過ぎます。(日本選手権以後)ものすごく練習ができたわけではありませんが、五輪で結果を出すための練習はしています」
「(記録の出やすいトラックだが)どんな競技場に行っても記録が出るときは出ますし、出ないときは出ないんです。合う、合わないではなく、自分がその場にいたときに最高のパフォーマンスをすることが大事。気にしない方がいいところです」
「布勢の1回目(09年)は日本選手権前で、ベルリン世界陸上の標準記録を切るために来ました。10年と11年は日本選手権後で、ホッとした気持ちで来たんだと思います。でも、多少は記録も出るんじゃないかと思って来ています」
「(課題が多くあって)今年はやらないといけないことがあったりしたので難しかったな、というのがあります。でも、出場してホント良かったと思っています。レースでしか経験できないことがありますから。出て悔いはありません」
「(今後の課題は)まずはゆっくりすることですね。落ち着いて考えること。頭がいっぱいいっぱいだと良いアイデアも浮かびません。余裕を持って考えていきたい」


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