2011/2/18 横浜国際女子マラソン前々日共同会見
後編
コースの印象と自信になった練習は?

「最後に折り返すあたり(37km付近)がポイントかもしれません」(尾崎)
「30km過ぎが一番ポイントになるので、そこで粘って走りたい」(中里)

Q.新コースを試走はされましたか。された場合はコースの印象はどうでしたか。そして、どの辺がポイントになりそうですか。
尾崎好美 前半を車で見て、最後10kmくらいを走りました。本当にフラットなコースでした。ちょっと走りにくい部分もあるのかと思っていましたが、見た感じ走りにくい部分はなく、記録も狙えそうでしたが今回は順位を、優勝を狙っています。どこかでスパートしようと思っていますが、どこでするかは決めていません。山下公園を3回通りますが、最後に折り返すあたり(37km付近)がポイントかもしれません。
藤田真弓 試走はまったくしていなくて、コースはよくわかっていない状況です。横浜国際女子駅伝と一部同じコースを走ると聞いています。私はそこを走ったことがあるので、そのイメージを思い出しながら走りたい。今日明日の練習などでコースの感覚をつかみ、どこがポイントになりそうか見ていきたい。
吉田香織 車で下見をしました。フラットなコースですのでいつものマラソンと同じように、30km以降が勝負所になってくると思います。30kmまで体力を残すことができた人が、勝負に加われるのでは。
中里麗美 試走をして、わりかし平坦なコースで走りやすそうだと思いました。(30km前後の)みなとみらい(地区)に少しアップダウンがあり、そこが一番きつくなりそうです。30km過ぎが一番ポイントになるので、そこで粘って走りたいです。
永尾 薫 車で一通り下見して、片道を自分でも走ってみました。25kmまではわりと平坦であまり変化はありませんが、30kmのみなとみらいからにぎやかな地区に出てきて観覧車や赤レンガ倉庫の横を通り、応援も多くなると思います。一番楽しい部分が(起伏もあり)苦しいところでもあると思います。そこで応援を力に換えられたらいいですね。
泉 有花 コース試走はまだしていません。平坦で走りやすそうだと印象があります。

「しっかり苦しめたので、しっかり追い込めたとは思います」(尾崎)
「40km走を週に1回、継続できたことが自信になっています」(吉田)

Q.一番自信を持てた練習は何ですか。それと、つらくなったときにフォームのどこを意識しますか。
尾崎 今回、マラソン練習を始めたのが故障明けでした。今までと違う形で期間も短めでしたから、前半はとにかくきつくて…。一度休んだところから始めたので、今までよりも質が高かったわけではありませんが、練習毎にきつくて。でも、その分しっかり苦しめたので、しっかり追い込めたとは思います。そういうところは自信になっています。きつくなってくるとどうしても力んでしまいます。力まないようにすることを意識していますが、できるときとできないときがあります。
藤田 1月に宮崎で行ったチーム合宿の最終日に松林で40km走をして、余裕のあるペース設定だったこともあると思いますが、余裕を持てて走れたので自信になったかな、と思います。また、長崎でも起伏のあるコースで距離走を行って、そこでもきついけど追い込むことができ、余裕を持つべきところでは余裕を持てました。脚づくりはしっかりできたかな、と思います。きつくなってからのフォームは、元々上下動のあるフォームなんですが、それがさらに出てしまいます。そこを意識していきたいです。
吉田 毎週1回は40km走を、30km走のときもありましたが、ほとんど40km走を週に1回は入れていくことができました。1回の練習のどれが自信になっているのではなく、継続できたことに自信を持っています。あとは1月9日の谷川真理ハーフマラソンで、1週間前の40km走の疲労が残った体で1時間11分24秒で走れたのは、まあまあ自信になっています。(フォームは)バネで走る方なので、バネがなくなったときはわかりやすく失速します。
中里 一番自信になったのは国頭村で行った30kmの変化走です。ペースを落として、そのあとに上げる走りを何回か繰り返すメニューです。去年はケガをしていて、マラソン練習を味わった感じではありませんでした。今回は本当のマラソン練習を味わって、これがマラソンだと実感できました。達成感もあって自信になりました。つらいときのフォームは後傾して崩れてしまいます。なるべく前傾姿勢で走れるように心がけたいです。
永尾 一番つらかった練習は脚づくりのための46km走でした。それまで練習していたのもあってゆっくりペースでしたが、10kmからずっときつかったです。何人かマラソンに出る先輩たちと一緒に、励まし合いながら走りきったことが自信になりました。あと、30kmのタイムトライアルも良いペースでできたんじゃないかと思っています。フォームはだんだん苦しくなると、アゴが上がったり脇が開いたりします。フォームが崩れないよう、なるべく冷静に、脇が開かないように気をつけていきたいです。
 初めてのマラソン練習で、毎回緊張しましたし、全然できないことばかり。自信にはなりませんでしたが、とりあえずは我慢して練習はできたので、それをプラスに考えてレースに臨みます。きつくなると腰が落ちやすいので、しっかりと腰高で走りたいです。

「走りながらレース展開を考える余裕があるところが好きなところ」(尾崎)
「私にとってマラソンとは、今しかできないこと」(永尾)

Q.あなたにとってマラソンとは何でしょうか。駅伝やハーフの距離と比較するなどしてどうでしょうか。
尾崎 難しいのですが…走っていて言葉では言えないものを感じます。楽しさとか…何と言っていいのか。自分はマラソン練習しているときが一番生き生きしていると感じるので…。(駅伝などと比べ)マラソンになると少しスピードがゆっくりになり、余裕感というか、走りながらレース展開を考える余裕があったりするところが好きなところです。
藤田 陸上を始めたときからマラソンは、テレビで見ていて夢というか、そういうものでした。その頃、自分自身がマラソンを走るようになるとは思っていませんでした。マラソンもマラソン練習もすごく苦しいですけど、夢と思っていたマラソンを走れるので、私にとっては幸せを感じられるものです。ハーフや短い距離と比較すると、私はスピードがない反面、粘りはあるのかなと思うので、それを生かすことができるのかな、と思います。
吉田 私にとってマラソンとは、昔は夢であったり憧れであったりしました。マラソンを始めた今は、表現の場であり、つながりができる場所ですね。普段の活動はアミノバイタルACという市民ランナーのクラブチームでしていますので、そのなかで色んな職業や年齢の方と知り合って色々と話をします。そういった方々に期待され、応援されて、それに対して感謝の気持ちで元気に走るというのは、表現の場だと思います。また、普段は知り合えないような方とマラソンを通じて知り合えるのは、つながりの場であると思います。ハーフでそこそこのスピードを出せる状態でないと、戦うという意味でのフルマラソンは走れないと思います。無難に完走を目指すのであればハーフは関係ないかもしれませんが。フルマラソンで結果を出したり戦うためには、ハーフで自己記録に近い状態に持っていくことが大切です。
中里 私にとってマラソンは、小学校からテレビで見ていた憧れのスポーツです。そのスポーツを走らせてもらうことは生き甲斐だと思っています。ハーフと比較して距離は倍になりますが、スピードも変わってくる。距離とスピードだったらスピードの方が自信がなく、距離で長く走っている方が自信になります。マラソンの方が向いていると思っています。
永尾 私にとってマラソンとは、今しかできないことです。今はマラソンブームで、年をとってからも楽しく走ることはできると思いますし、本格的にやることもできると思います。それでも今、素晴らしい環境で全力で陸上に取り組めるのが、とっても楽しいんです。毎日、ありがたいことと実感しています。初マラソンはやったもの勝ちと監督から言われましたが、今回どのくらい走れるか、マラソンの苦しみを味わいたいと思います。
 私にとってマラソンとは、自分をアピールできる場所だと思っています。駅伝やハーフに比べ準備期間が長い分、走り終わってからの達成感があるんじゃないかと。それを楽しみに走りたいと思います。

Q.世界選手権から1年半ですが、世界選手権の銀メダルはプレッシャーになっていますか。それとも励みになっていますか。
尾崎 世界選手権が終わってしばらくは、嬉しさ半分とプレッシャー半分でした。思った以上に注目され、取り上げていただいて、しばらくはプレッシャーを感じることもありました。今はやっぱり、注目されることは好きなので、プレッシャーもなくはありませんが、励みになるときも多いです。今はロンドン・オリンピックを目指すという目標がはっきりと定まっています。周りの方がどう思うかは気にせず、目標に向かっています。


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