2011/8/25 世界選手権女子マラソン2日前会見
尾崎、赤羽はメダルがターゲット
5選手の個性が表れた会見


「目標は金メダルを取ることとオリンピック代表を決めること。2つの目標を持って挑みたい」(尾崎)
Q.2日後に迫ったレースへの抱負をお願いします。
伊藤舞 3回目のマラソンになりますが、1回目、2回目よりも良い練習ができたので、その練習の成果を初めての大きな試合で発揮できるよう頑張りたいと思います。
野尻あずさ ケガなく元気に、できることを全部やり尽くして、ここに来られたことを嬉しく思います。試合が迫っていますがドキドキ、ワクワク、初めての世界の舞台を楽しみにできている自分がいることがとても幸せです。具体的な展開がわからないのがレースの楽しみでもありますが、タイムの目標はロンドンで出した自己記録の2時間25分29秒を上回ること、順位は金メダルを目指して最低でも入賞することを目標に、最後まで全力を尽くしたい。
尾崎好美 練習は順調にこなせて、故障もなく当日を迎えられそうです。目標は前回銀メダリストとして挑むので金メダルを取ること、オリンピック選考もかかっているので代表を決めること(メダリストで日本人トップがロンドン五輪代表に内定)。2つの目標を持って挑みたいと思います。
赤羽有紀子 目標は当初から変わらず、(ロンドン五輪)代表内定、メダルを取ることです。
中里麗美 練習は順調にやってこられて、ケガも体調不良もなく合宿をこなすことができたので、積極的なレースをするのみです。日本代表として誇りを持ってレースに臨みたいです。

「30kmまでは力まずに走っていきたいと思っています」(赤羽)
Q.ベルリン大会は最初の5kmが18分くらいで入って徐々にペースが上がっていきました。今回はアフリカ勢などに勢いがありますし、この涼しさもあります。もしも16分半くらいでスタートしたらどう対応しますか。
伊藤 そのときの流れになると思うので今はわかりませんが、行けそうなら積極的に行きたいと思います。初めての世界の舞台なので自分のレースをしっかりとしたいです。
野尻 気象状況的に速いペースもあり得ると思いますが、そのときの自分のコンディションと出だしの走りのリズムが噛み合えば、決してついていけないペースではありません。積極的な気持ちを持ち、でも冷静さは失わずに自分の走りをしたいと思います。
尾崎 気持ちとしてはついて行こうと思いますが、スタートして今日はどうもきついと判断したら自重します。
赤羽 30kmまでは力まずに走っていきたいと思っています。無理じゃないなと思えるペースなら、積極的について行きたい。
中里 初めての大きな舞台になります。自分のコンディションによりますが、できればついて行きたいなと思います。体調も、その日の状態によってですが、無理なく走れたらいいなと思っています。

「今回初めて高地トレーニングを取り入れました。他には筋力トレーニングなども」(伊藤)
Q.2つ質問があります。今回練習をしてきて、こんなペースで行ってくれたらいいな、という理想のペースを教えてください。そして、一番重点的に練習してきたことは?
伊藤 初めての世界大会なのでどういうレースになるかわかりませんが、今までやってきた練習の成果をそのまま出して、その中で走っていきたいと思います。今回初めてマラソン練習に高地トレーニングを取り入れて走り込みました。他には筋力トレーニングなどもやってきました。
野尻 理想のレース展開は…出だしで自分の走りのリズムをつかみ、42.195kmを自分の走りができなかったと悔やむことはしたくないので、ゆったりめで入って徐々に上がって行ったらな、というのはあります。ただ、色んなパターンの練習はしてきているので、どんなレースになるか楽しみにも思っています。練習の中でも自分の走りを大事にしてきました。自分の**でペース配分をすることをやってきました。そこを当日、発揮できればいいなと思っています。
尾崎 5kmを17分から17分半くらいの幅で行ってくれたら一番走りやすいと思っています。練習では今回、距離を踏んできました。1カ月の距離にしたらそれほどでもありませんが、40km走の数とか、初めて50km走をしたりとか、今までと比べて一番距離は踏めました。
赤羽 自己新とか記録を狙うレースではないので、理想のペースというのは考えられませんが、とにかく後半の勝負所で良いスパートを自分からできればいいな、と思っています。今回のレースに向けての練習は、真夏のレースということで疲れを残さないということと、2年前にはケガをしてしまったので、ケガをしないことを重点的に練習してきました。
中里 理想の展開やペース設定は考えていなくて、そのときの流れで走ろうと思っています。合宿中の走り込みでは、ペース変化に対応する練習を積極的に取り入れて行なってきました。

「ずっと代表になりたいと思ってきましたし、その気持ちと走ることの楽しさを忘れないでここまで来ました」(中里)
Q.赤羽さんと尾崎さんは連続出場ですが、この2年間でどう成長したと自分では思っていますか。初代表の3人は代表になったことで、競技に取り組む姿勢がどう変わりましたか。それともう1つ皆さんに。一番苦しいときは何が心の支えになっていますか。
赤羽 2年前のベルリン大会は2度目のマラソンで、経験不足があった中でのレースでした。この2年間積極的にフルマラソンを走ることで、色んな気候環境やレース展開を経験して、どんな展開になっても対応できるんじゃないかと思えるまでになりました。苦しくなったときは、今までずっと家族に支えてもらってきましたから、家族のことを思い出します。
尾崎 前回はマラソンで初めて世界の舞台に出場でき、それだけで嬉しいという気持ちで走りました。それが良かったというところもあったかもしれませんが、それから2年の間で注目される中で失敗もありましたし、勝ちたいところで勝てたときもありました。両方経験できたことが今回につながっています。マラソンのレースを何本も経験することが、どんどん力になっています。苦しいときですが、練習でも何回も苦しいところを体感して乗り越えています。絶対に自分はできると思うことと、あきらめたら後悔するだけと思うこと。前向きに考えるようにしています。
伊藤 今までは日本代表になりたい思いがあり、代表になったら試合で精一杯力を発揮したい思いがあります。自分に今できることを1つ1つこなそうとやってきました。きついときは、色んな人に応援してもらったからここまで来られたので、応援してもらった人のことを思って乗り切るようにしています。
野尻 日本代表になる前も、なった今も、基本的に変わっていることは特にありません。いつも自分らしく、自分を精一杯発揮できればと思って走っています。その点では揺れることはありません。むしろその点を、(代表になって)さらに高められたと思います。とはいうものの、こういう舞台に立つと日本中や世界中の人々の注目を浴びて走ります。そこでここまでお世話になった方や、私の知らないところで応援してくれる方のことを思うと、日々の練習の力になりました。
中里 ずっと代表になりたいと思って走ってきました。(代表になった後も)その気持ちと走ることの楽しさを忘れないでここまで来ました。苦しいときは家族や仲間、応援してくれるすべての方のことを思って乗り越えてきました。

「マラソンを走るチャンスをたくさんの人に後押ししていただいた。それが私が走らせてくれています」(野尻)
Q.自分がマラソンだったら向いている、世界で戦える可能性がある、と感じた試合や練習、エピソードがあれば教えてください。
伊藤 1回目のマラソンは急にマラソンを走ると決めたので、レースまで1カ月もありませんでした。マラソンを意識した練習はほとんどできないまま初マラソンを走ったんです。そのとき30kmまでは先頭集団で走ることができましたが、後半12kmはかなり失速しました。それでも次のときはもっと距離を踏み、色んな練習を試せたらまた違ったマラソンができるんじゃないかと感じました。それでまたマラソンを走りたいと思ったのです。
野尻 ……3年前に…(涙ぐむ)スキーをやめてから……マラソンの道をたくさんの方々に勧めてもらったことが今につながっています。自分がマラソンに向いているというより、マラソンを走るチャンスをたくさんの人に後押ししていただいた。それが私を走らせてくれています。
尾崎 一番印象に残っているのが東京国際女子マラソン(2008年)です。1度は先頭からすごく離されましたが、最後は逆転して優勝することができました。マラソンは最後まで何が起こるかわからないと感じられましたし、最後まであきらめなければ良い結果が待っているという経験もして、トラックレースと違うと思いました。トラックレースでは最初からトップスピードに近いところで最後まで走りますが、マラソンのペースは少し余裕があることもありますし、走りながらレース展開を考えられるところが自分には向いているかな、と思います。
赤羽 マラソンを走ろうと思ったのは北京オリンピック(2008年)で5000m、1万mに出場して、世界のトップ選手たちとこのレベルではなかなか戦えないと思ったことです。マラソンであればなんとか、トップレベルで戦えるのではないかと。しかし今、こうしてマラソンを何本か走っても、記録はまだまだですし、世界で結果を出しているわけでもありません。自分に向いているのかよくわかりませんが、今回のレースで結果を出して自信をつけたいと思います。
中里 マラソンに向いていると思ったことは全然ありません。(向き不向きとは関係なく)私は小学校1年のときから夢がマラソン選手になることでした。その夢をかなえるためにここまでやってきて、実際にマラソン選手になれたことがとても嬉しくて、今もマラソンを続けている状態です。


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