2011/7/11 世界選手権代表決定
代表発表後に村上、高平、金丸、福島が会見
4選手の本番までの課題は?


「毎年、毎回身の引き締まる思いです」(高平)
Q代表に決まった今の気持ちは?
高平慎士 代表に決まってからの気持というのは毎年、毎回身の引き締まる思いです。4回目の世界陸上ということで、しっかり結果を残さないといけないと思います。いつもと違ってラウンド制が変わったり、フライングのルールが変わったりしている中で世界とどう戦っていくかを考えながらやっていかなければならないと思っています。リレーに関しては昨日みたいなこと(バトンミス)が起こらないように、世界陸上ではしっかりチームを引っ張っていけるように頑張っていきたいなと思っています。
金丸祐三 代表に選ばれまして光栄です。選ばれただけでなく、いかに戦うかということももう自分の頭の中でできているので、あと1カ月ほどですがしっかりと戦うイメージを作って本番にベストの状態で臨みたいなと思います。
村上幸史 前回の成績(銅メダル)を期待されるわけですが、自分の中ではもう一度100%決勝の舞台に進めるような***づくりをして、そしてその先のものを、期間もそんなにないわけですが、あと1カ月でしっかり盛り上げていこうと思っています。大会当日はそこをしっかり意識していけるような状態で挑みたいと思います。
福島千里 今回の世界陸上では前回大会よりももっといい成績を出して、来年のロンドンにつながるようないい世界陸上にできたらいいなと思っています。

「向上心も持っていますし、充実した選手生活を送れていることも1つの要因」(村上)
Q.村上選手にうかがいたいのですが、コンスタントに成績を残されている要因は何なのでしょうか。
村上 国内の大会は昨日で(今シーズン)4試合目ですが、全ての大会に世界陸上の予選を想定した状態で挑んでいます。予選の通過記録が82mになってくると思いますが、そこを3投目までに超えていけるかを1つの課題としてやってきました。その課題をクリアするためには“再現力”というか、いかに82mを超える投てきがコントロールしてできるか。そういったところを今シーズン世界と勝負するためのカギとしてきましたので、そういったところがしっかり形として表れているのではないかと思います。また、2009年のベルリン世界陸上からいろいろな経験をさせてもらうなかで、向上心も持っていますし、充実した選手生活を送れていることも1つの要因だと考えています。
Q.以前お話をうかがった際にロンドンまでの3年計画と話されていましたが、今回の世界陸上はどういった位置付けになるのでしょうか。
村上 昨年のアジア大会、今年の世界陸上、そして来年のロンドン五輪と、僕はこの3年間でしっかり結果を残さないといけない選手だと思っています。昨年アジア大会でしっかり結果を残すことができたので、今年の世界陸上も必ず結果を残さないといけないと思っています。ここで失敗してしまうと、ロンドンにつなげていくのが難しくなる。今回の世界陸上が、しっかりつなぎとすべき大事な大会になるんじゃないかと思っています。

「44秒台を出すために原点に立ち返って、もっと純粋な気持ちで努力をしていきたい」(金丸)
Q.本番までの課題と、課題克服に向けてどんな練習をやっていくのかを教えてください。
高平 日本選手権の決勝でケガをしてしまって、練習の流れにズレが出てしまっています。走りの感覚も修正しなければいけないと思いますし、ベルリンの年ぐらいのタイム(20秒22)を最低限出せないとファイナルが見えてこないので、そのへんを狙えるような体に、感覚に戻すことが必要不可欠かなと思っています。この後は試合を、ヨーロッパをリクエストしているんですけど、そこで海外の選手とどれだけ、どういうふうに戦えるかということを確認したいと思っています。その後に1カ月ほど合宿なり、ホームでの練習なりで仕上げていければと考えています。
金丸 世界の決勝を目指しているので、44秒台は最低限必要になってくる数字だと思います。44秒台という数字を意識して走って結構長い期間になるわけですが、その中でも試行錯誤を繰り返してきたというのはあるのですが、その状態に慣れてしまっている自分がいました。その状況を打開しようというよりも、うまくつなげていきたいという気持ちがあったことが、今回のアジア選手権の不調につながったのではないかと思います。ですからまた原点に立ち返って、もっと純粋な気持ちで努力をしていきたいなと思います。それがさらなる記録向上にもつながっていくと思うので、あと1カ月ほど原点に立ち返って努力していきたいなと思います。
村上 課題としては、技術的な部分を変えることはほとんどないと思います。やはり昨日の大会を振り返っても、自分が調子良い分どうしても制御できない部分が出てしまった。世界の舞台に立った時にどういう精神状態で行けばベストのパフォーマンスが出せるかということ、そのあたりの精神的な部分をもう1回見つめ直していく必要があるのかなと思います。調整も国内でやると思いますし、練習も母校に帰ってしっかりやってきたいなと思います。
福島 今の状態はとても良くなってきてます。今日まで連戦でずっとレースばかりやってきたので、ようやくいい感覚が出てきました。明日からはゆっくり時間をかけて練習ができるので、レースで得た良い感覚をたっぷり時間をかけて、世界陸上のレースでもう1回出せればいいかなと思っています。

「1つ1つ小さな目標をクリアできたときの嬉しさがつねにあります」(福島)
Q.今回の放送のキャッチコピーは“ヒトのチカラ無限大”ですが、皆さんの力の源は何か教えてください。
高平 川崎(ゴールデングランプリ川崎)のときも僕に最初に難しい質問が来ましたが……。やはり小学校のころから陸上を始めて、自分が走ることで喜びを感じている時代がありました。北京五輪では、大阪の世界選手権でもそうだったのですが、自分たちの走りで人を感動させられることを実感しました。日本の皆さんや世界の他の選手からの称賛をいただいたりした。自分たちの走りで人の心を動かせることをすごく実感できているので、今はそれが自分の支えだったり楽しみだったりします。
 また、ただ走るだけなのに、こういうふうにいろんな人が動いてくれたり、支えてくれたりする。それらが自分の中で財産になっている部分があります。それがこれから、僕らの次の世代や、陸上を始める子たちにプラスになればと思います。まずは自分の走りをすることが第一ですが、陸上競技を日本ですごく盛り上げること、それが僕らがやっていかなければいけないことだと思うので、世界陸上で活躍することが僕らが陸上をやる意味というか原点だと思います。楽しみながら自分の最大限のパフォーマンスができるように、そういった人の力を得てやれていることを思いながら走りたいなと思っています。
金丸 高平さんがいいことを言われたのでちょっと難しいのですが……単純に言うと憧れです。サッカー好きの子どもたちがロナウドとかメッシに憧れるように、僕はウサイン・ボルトやジェレミー・ウォリナーに憧れている。彼らと同じ舞台で走って、憧れの選手たちと競走をするということが憧れというか、夢というか。そこの舞台に立って強くなりたい気持ちがすごく強いので、それが日々のきつい練習をこなす原動力になっているのかなと思います。
村上 陸上競技を始めて15年になるのですが、15年間一貫して支えてくれた人、目立たないところで支えてくれた人はたくさんいます。15年間のなかで出会った人、やり投の価値を上げてくれた人がたくさんいます。そういったものを踏まえて、僕にとって陸上競技のやり投の価値がどれだけ高いものか。また僕からやり投をとってしまうと何が残るのか。僕にはやり投しかないんだな、僕に唯一表現できるものはそれしかないのです。そういったものを持てる喜びやうれしさといったものが力の源になっています。また僕がやりを遠くに投げることで喜んでくれる人がいるわけですから、そういった人たちのために投げることが力の源になっているのではないかと思います。
福島 1つ1つ小さな目標をクリアできたときの嬉しさがつねにあります。それが力の源になっているのではないかと思います。そしてたくさんの人が喜んでくれて、応援してくれるのも力の源になっています。


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