2011/12/23 山陽女子ロード
赤羽が1時間09分16秒の大会新、自己サード記録で優勝
スピードの切り換えが勝因
2位の宮内は1時間09分23秒の自己新
野口は9kmで遅れるも持ちこたえて1時間10分48秒


順位 選手 所属 記録
1 赤羽有紀子 ホクレン 1:09:16
2 宮内洋子 京セラ 1:09:23
3 チェピエゴ 豊田自動織機 1:09:58
4 伊藤舞 大塚製薬 1:10:03
5 野口みずき シスメックス 1:10:48
6 渡邊裕子 エディオン 1:11:40
7 坂本直子 天満屋 1:12:01
8 樋口紀子 ワコール 1:12:19
9 堀江美里 ノーリツ 1:12:34
10 城戸智恵子 キャノンAC九州 1:12:51

 3年半ぶりのハーフ出場となる野口みずき(シスメックス)が積極的に行った。スタート直後にトップに立ち、1kmを3分18秒で通過(テレビ中継からの情報)。5kmは16分24秒(同。正式計時は後日、岡山陸協ホームページに掲載予定とのこと)。このハイペースに先頭集団は6人に絞られていた。野口とチェピエゴ(九電工)の2人が並んで引っ張り、2列目に赤羽有紀子(ホクレン)、伊藤舞(大塚製薬)の世界選手権出場組と宮内洋子がつけ、最後尾に渡邊裕子(エディオン)が健闘していた。しかし6kmで渡邊が遅れ、集団は5人になった。

 意外だったのは、好調を伝えられた野口が9km付近から遅れ始めたことだった。
「7kmくらいからちょっと疲労感が出始めて、乳酸がたまってきつく感じていました。そのままズルズル行ってしまって」と野口は振り返る。
 優勝候補の脱落でレースの行方は予想がつかなくなった。本来の調子であれば赤羽有利といえたのだが、5日前の全日本実業団対抗女子駅伝では3区で区間21位に終わっている。
 赤羽、宮内、チェピエゴ、伊藤の4人は10kmを32分46秒で通過した。

 しかし、やはり赤羽の地力がまさった。12kmを過ぎてスパート。13kmの上りで徐々にリードを広げていった。
「最初の5km、6kmまでは本当に苦しかったのですが、10km以降に楽になって、自分のリズムを取り戻すことができました。9kmで夫であるコーチから、“行けるところで行け”とも言われていたので、どこかのアップダウンで仕掛けようと思っていたときに、下って上るところがあったので、そこで思い切って行ってみました」
 15kmまでの5kmを16分10秒にペースアップしていた。

 ただ、その勢いを最後まで持続できたわけではなかった。風の影響もあったかもしれないが、20kmまでの5kmは16分39秒と落ちてしまった。後方では宮内がリズムを取り戻し、18km過ぎではチェピエゴを抜いて2位に浮上した。
 京セラの新原保徳監督は「地下道で赤羽さんがスパートしたときに対応できなかった。その後はつかず離れずだったので、あそこが勝敗を分けるポイントになった」と振り返った。

 優勝した赤羽は1時間09分16秒の大会新。圧勝ではなかったが、駅伝の不調から立ち直ったことと、世界選手権で課題となったスピードの切り換えを、今回は自身でやってみせたことは評価できるだろう。
「これから本格的にマラソン練習に入っていきますが、それほど調子が良かったわけではないなかでこの結果は、とても自信になりました」
 2位の宮内は28歳と若くはないが、昨年2月の丸亀に続いて自己記録を更新。「今までアキレス腱の痛みで結果を出せませんでした。治療というよりも、アキレス腱はふくらはぎに来るのですが、そこを念入りにほぐすなどして地道にやってきて練習ができるようになりました」と新原監督。3月の名古屋ウィメンズマラソンが目標となる。
 2008年の仙台国際ハーフ以来のハーフマラソン出場となった野口は1時間10分48秒で5位。野口は遅れた場面を「ズルズル」と表現したが、実際はなんとか踏みとどまった。本人も「どんどん落ちていくかと思いましたが、なんとか持ちこたえて、自分のリズムで行けたのはよかった」と、ホッとした表情も見せていた。

 ハーフマラソンの日本歴代2位を持つ野口と、同3位を持つ赤羽が初対決したレース。赤羽は調子が上がらないなかでも優勝して自信を得た。野口は思ったようなタイムは出せなかったが、レース内容から望みをつなぐことができた。


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