日本選手権2011・日付毎展望
第3日・6月12日編
フィールドでは男子やり投のB標準先陣争いが白熱
トラックでは福島の2冠、金丸の7連勝、江里口の3連勝がなるかどうか
男女5000mは1500m出身選手に注目

●女子円盤投 エントリーリストwDT
 室伏由佳の10連覇が懸かっている。だが、その室伏が腰痛のため織田記念を欠場。「治りかけのところで無理をさせたくなかった」とミズノ関係者は言う。室伏が出場してくるようなら、10連覇の可能性は高い。室伏の連勝を止めるとしたら敷本愛だろう。織田記念に51m34で優勝。昨年の日本選手権も51m51で4投目に一度逆転している。室伏のエンジンがかからないうちに52〜53mを投げれば慌てさせることができるかもしれない。織田記念では渡辺茜が自身初の50m突破となる50m40で2位、昨年51m80を投げている高橋亜弓が50m25で3位。昨年52m18を投げている江島成美が49m88で4位。敷本が伸びなければ2位争いは混戦となりそうだ。
=陸上競技マガジン6月号記事。以下同
■世界選手権標準記録 62.00/59.50
■突破者 なし
室伏が復調
 室伏由佳(ミズノ)が日本選手権初日のハンマー投で64m台の2位。痛みの原因の箇所を特定することができ、そこに負荷がかからないトレーニングを実施したことにより、「この1週間で力を発揮できるようになった」という。腰の心配がなくなり、10連覇への不安材料はなくなった。


●男子砲丸投 エントリーリストmSP
 独走か、三つ巴か。現状では山田壮太郎の独走となりそう。山田は兵庫リレーカーニバルで18m32と、自己の日本記録に32pと迫った。第1戦の東京六大学オープン参加時にすでに、「練習では18m行っています。19mは見えています」と話していた。日本記録更新の可能性も十分ある。三つ巴の争いに持ち込みたいのが村川洋平と畑瀬聡の18m台コンビ。村川は兵庫の4投目まで山田をリードしていた。今季の山田は東京六大学でもそうだったが、3投目までにタイミングが合わない。1投目から18m台を投げることで山田にプレッシャーを与えられる。冬期に故障のあった畑瀬は兵庫を回避したが、昨年も春季グランプリを回避して日本選手権に優勝している。
■世界選手権標準記録 20.50/20.00
■突破者 なし
山田が好感触
 東日本実業団は山田壮太郎(富士通)が17m66で優勝。記録的には良くなかったが、「上と下の連動ができ、その精度が上がっている。跳ね返りが良くなっている」と内容的には良い感触をつかめているようだった。シーズン初戦の畑瀬聡(群馬綜合ガードシステム)が16m45で2位。日本選手権までにどこまで上げてこられるか。


●男子走高跳 エントリーリストmHJ
 混戦から抜け出すのは誰か? 日本選抜和歌山大会では久保田聡が2m18で優勝し、2位に同記録の高張広海、3位に2m15の戸邊直人、同記録の4位に尾又平朗の学生勢が続いた。5位タイの土屋光と衛藤昴も2m15。日本記録保持者の醍醐直幸は2m10で7位だった。5月1日の八代選手権に久保田、戸邊、醍醐、土屋光が参加して標準記録を狙ったが、雨にたたられ土屋の優勝記録は2m14にとどまった。今季の実績で抜け出た選手は現れていないが、久保田は「最低でもB標準をクリアしての優勝が目標」、アジア大会銀メダルの高張は「確実に優勝して日本記録(2m33)も出したい」と意欲を見せる。B標準の2m28あたりが勝負を決めるか。
■世界選手権標準記録 2.31/2.28
■突破者 なし
今季成績では土屋
 東日本実業団は土屋光(モンテローザ)が2m15で優勝し、久保田聡(モンテローザ)、江戸祥彦(山本ビル)、醍醐直幸(富士通)、高張広海(日立ICT)が2m10。1週間後に上尾で行われた陸連主催の記録会は雨だったこともあり土屋1人が2m15で、久保田、高張、醍醐、衛藤昴(鈴鹿高専)が2m10、戸邊直人(筑波大)は2m05。今季の実績からいうと土屋がリードしている。雨の試合が多く記録が出ていないが、日本選手権が好条件になれば2m25前後が優勝記録になるだろう。B標準にもバーが上がることを期待したい。


●女子走幅跳 エントリーリストwLJ
“遅れてきた新人”の岡山沙英子が初タイトルの最短距離にいる。すでに29歳の岡山だが故障が多かったこともあり、以前は花岡麻帆と井村久美子、近年は井村と桝見咲智子に勝てず3、4番手が定位置だった。今季は4月のマウントサックで6m51と自己記録を12p更新すると、ゴールデングランプリ川崎では6m61(+2.3)で優勝。100 mでは織田記念で11秒81と高2位以来の自己新で走っている。「この勢いで日本選手権のタイトルも取りたいです」。井村も第一戦に予定していた静岡国際は欠場したが、川崎では6m39(+3.8)と上り調子。桝見が脚の付け根の故障で出遅れているが、福岡大の後輩の高武華子が6m41の自己新と静岡国際優勝と好調だ。
■世界選手権標準記録 6.75/6.65
■突破者 なし
好調岡山、高武は自己新連発
 岡山沙英子(山口TFC)は日本選手権の100 mでも準決勝まで進出と、スプリントでも良い状態にあるようだ。井村久美子(iDEAR)もテレビの特集に登場していたので、自信があるのだろう。高武華子(福岡大)は九州インカレで6m45(±0)と自己記録をさらに更新。桝見咲智子(九電工)が欠場するのは残念だが、盛り上がりそうな雰囲気がある。


●男子やり投 エントリーリストmJT
 村上幸史の12連勝も既定路線。今季も日本選抜和歌山大会で80m38でスタートすると、ゴールデングランプリ川崎では82m90を1投目と3投目にマークして優勝。「テーマは“再現力”。どんな試合でも80m以上を」という言葉を実現させている。日本選手権でも村上が80mを割ることはなさそうだ。この種目も順位の興味は2位であり、2位の選手がB標準の79m50を突破できるか、が注目点だ。その候補は3人。ディーン元気は川崎で78m90の自己新。佐藤寛大は和歌山で77m68のセカンド記録。そして荒井謙も5月8日の富山カップで77m49のセカンド記録。B標準を突破した選手が2位となり、世界選手権代表にも村上とともに選ばれるのが理想の形だ。
■世界選手権標準記録 82.00/79.50
■突破者 
村上幸史 スズキ浜松AC 83.15 2010/11/26 アジア大会
ディーン、荒井がB標準に迫る自己新
 村上幸史(スズキ浜松AC)がゴールデングランプリ川崎のダメージでテグ国際出場を取りやめたが、大事に至るものではないようだ。日本選手権の優勝候補本命の座は変わりない。ただ、村上に少しでもスキが生じると、勝負の行方はわからなくなる。関東インカレでディーン元気(早大)が79m10、東日本実業団で荒井謙(七十七銀行)が78m86とB標準に迫る自己新を投げているからだ。2人ともその投てきが会心の投げではなかっただけに、日本選手権本番でのB標準突破が期待できる。山本一喜(モンテローザ)も東日本実業団で、わずかのファウルで78m台の投てきを見せた。佐藤寛大(仙台大)を含めB標準候補は4人に。宮下梨沙(大体大TC)がB標準を投げ、女子やり投が2人の標準記録突破者となった。男子も続くことができるか。


●女子400mH エントリーリストw400H
 日本記録保持者の久保倉里美が調子を上げている。静岡国際では57秒11で青木沙弥佳に敗れたが、ゴールデングランプリ川崎では56秒62で日本人トップ。アキレス腱の故障で冬期練習がずれ込んでいたが、「この調子で練習を進めていけば日本選手権に間に合います」と好感触を得た。目標は「日本記録(55秒46)を更新すればA標準(55秒40)も切ることができます」と記録的なところに置いているが、その記録を出せば5連勝も達成できる。静岡で57秒03、川崎で57秒12だった青木も昨年よりも手応えがあるという。日本選手権では「最低でもB標準(56秒55)は切りたいし、しっかり組み立てれば55秒台も行けるのでは」と自信を口にしている。
■世界選手権標準記録 55.40/56.55
■突破者 なし
B標準は射程圏
 上海ダイヤモンドリーグで久保倉里美(新潟アルビレックスRC)が56秒94。東日本実業団では青木沙弥佳(東邦銀行)が57秒00で優勝。日本選手権予選では1組で久保倉が57秒38、2組は野村有香(北海道ハイテクAC)が57秒67、3組は田子雅(J.VIC)が56秒98でトップ通過。久保倉里の本命は変わらないが、仮に久保倉以外が優勝してもB標準は突破しそうな雰囲気だ。


●女子800m エントリーリストw800
 三つ巴の激戦が予想される。昨年の日本選手権1〜3位の岸川朱里、久保瑠里子、陣内綾子の3人は、シーズンベストでも全員が2分03秒台と差がなかった。4月の織田記念は風が強くスローな展開となったが、最後には上記3人が抜け出し4番手以下との力の差を示した。そして優勝した陣内から3位の久保までが0.09秒の間にフィニッシュしている。3人とも先行できるタイプであり、ラスト勝負にも対応できる。同じタイプで同じような力量の3選手が揃った結果、接戦が続いているのだ。3人とも目指しているのは世界。2分01秒30の世界選手権B標準を日本選手権前に破ることができれば、レースを優位に進められるのは間違いないが。
■世界選手権標準記録 1.59.80/2.01.30
■突破者 なし
3強ががっぷり四ツ
 日本選手権予選は1組が陣内綾子(九電工)が2分08秒38、2組が久保瑠里子(エディオン)が2分06秒66、3組は岸川朱里(長谷川体育施設)が2分06秒79と3強がトップ通過。3人とも余裕を持っての通過で決勝の展開を予想するのは難しい。B標準を破るには誰かが積極的に行くしかないのだが。


●男子800m エントリーリストm800
 B標準突破済みの横田真人のレース展開が焦点。静岡国際、ゴールデングランプリ川崎と連勝し、タイムも連続して1分46秒台をマークした。両大会とも1周目を51秒台で入って記録を狙っている。「A標準をクリアして日本選手権に臨みたい」と横田。それが実現できていれば“圧倒的な強さ”を見せるレース展開をするだろう。B標準のままで日本選手権に臨んだときに、A標準を狙うのか、無理をしないで“圧倒的な強さ”の展開にするのか。横田以外では、静岡で1分47秒66と自己記録を大幅に更新した岡昇平が注目される。静岡、川崎と1分51秒台だった3年前の優勝者の口野武史がどこまで復調してくるか。
■世界選手権標準記録 1.45.40/1.46.30
■突破者
横田真人 富士通 1.46.18 2010/10/11 新潟ビッグ陸上フェスタ
横田の選択は?
 日本選手権予選は1組が速いペースになり、岡昇平(順大)が1分48秒75、牧野康博(ユティック)が1分48秒94と好タイム。2組は口野武史(富士通)が1分50秒05、3組は横田真人(富士通)が1分50秒18と実力者が順当に通過した。決勝のレース展開について聞かれた横田は「圧勝で、記録はついてくるかな」と話している。前半から自身でA標準狙いの展開にするのでなく、レースの流れに身を置いて、スパートで大差をつけようと考えている。


●男子400m エントリーリストm400
 金丸祐三が静岡国際に45秒74で優勝し、7連勝に向けて順調だ。こ種目の連勝最多記録は金丸と元日本記録保持者の友永義治が“6”で並んでいるが、金丸が勝てば単独で持つことになる。また優勝回数も“7”となれば日本記録保持者の高野進と並んで最多となる。2位を争うのが静岡2位の廣瀬英行、静岡4位で昨年の日本選手権2位の石塚祐輔、静岡3位の中野弘幸らだが、台風の目となりそうなのが社会人1年目の高瀬慧だろう。高瀬は今季200 mで20秒72と自己記録を更新。静岡では終盤に失速して5位となったが、前半を積極的に走り350mまではトップを快走した。日本代表経験者たちを慌てさせる走りを見せそうだ。
■世界選手権標準記録 45.25/45.70
■突破者
金丸祐三 大塚製薬 45.23 2011/5/12 テグ国際
打倒・金丸とB標準
 日本選手権予選は1組の廣瀬英行(慶大)が46秒51、石塚祐輔(ミズノ)が46秒79、2組の金丸祐三(大塚製薬)が46秒71で通過。昨年のアジア大会4×400mRでメンバーを組んだ3人が、3強といっていいだろう。なかでも金丸の予選の走りを見ると、やはり強いなと感じられる。他の2人も黙ってはいない。廣瀬は「一昨日まで150mで0.5秒くらい遅かったですけど、トレーナーさんに見てもらって硬いところがとれ、一気にスピードが出てきました。決勝では標準記録を狙いたい」と意欲的だった。金丸がA標準を切っているので、B標準を切れば2人の出場が可能になる。金丸と同学年の石塚も東日本実業団の際に“打倒・金丸”の策を聞かれ、「気持ちです。結局いつも、あいつに勝てないという部分が出てしまいます。チームでもあるのでみんなで一緒に行きたいというのもありますが、勝負ができない相手ではありません。『日本でトップなだけでは意味がない』なんて言わせないように、潰しにかかりますよ」と話していた。


●女子200m エントリーリストw200
 2年ぶりのV奪回を福島千里が目指す。静岡国際では2位に0.52秒の大差をつけて優勝。向かい風0.7mで自己3番目の23秒13をマークした。「最後までバテずにゴールできたことは次につながります」と、自身2度目の22秒台に手応えを得た。昨年、0.01秒差で福島を下した高橋萌木子の調子が上がっていない。静岡では23秒70で、福島のみならず23秒65の市川華菜にも後れをとった。清田浩伸コーチは「得意の後半の爆発的な走りはみられませんでした。(中略)ただ、これから試合を重ねていくごとに高橋萌木子選手らしい走りになっていく」と自身のブログに記している。高橋が復調しなければ市川、岡部奈緒らとの2位争いが熾烈になる。
■世界選手権標準記録 23.00/23.30
■突破者
福島千里 北海道ハイテクAC 23.13 2011/5/3 静岡国際
福島の2冠が濃厚
 日本選手権の予選は1組の福島千里(北海道ハイテクAC)が23秒59(−0.8)、岡部奈緒(チームミズノアスレティック)が23秒93、2組の市川華菜(中京大)が23秒67(±0)、高橋萌木子(富士通)が24秒25。風なども考慮するとやはり、福島の力が1つ抜け出ているようだ。福島が勝てば自身初の2冠。2位を市川と岡部が争うか。スイッチが入れば高橋も可能性がある。


●女子100mH エントリーリストw100H
 寺田明日香の不調で混戦模様になっている。織田記念では木村文子が優勝し、予選で13秒26の自己新をマーク。ゴールデングランプリ川崎では石野真美が13秒33で日本人トップだった。日本選手権4連勝の懸かる寺田は織田記念で木村、石野に続き日本人3位。川崎では日本人2位。両大会とも13秒5台と、踏切脚の右足首捻挫の影響で調子が上がらない。「痛さはありますが気にしていられません。目標は12秒96のA標準。それは変えたくありません」と寺田。寺田の状態が良くなれば日本新も期待できるが、今の状態では木村、石野との三つ巴の戦いになる。木村は「力むクセがある」という決勝で織田記念のようにリラックスして走ることが課題だろう。
■世界選手権標準記録 12.96/13.15
■突破者
寺田明日香 北海道ハイテクAC 13.12 2010/10/4 国体
木村がV候補筆頭に
 日本選手権予選では2組1位の木村文子(エディオン)が13秒33(±0)、4組1位の石野真美(長谷川体育施設)が13秒55(+0.5)、同組2位の伊藤愛里(関西大)が13秒57。寺田明日香(北海道ハイテクAC)は3組3位で13秒83(−0.5)。実績で一番の寺田が、春先の不調から抜け出てくると思われたが、故障によるブランクの影響はいかんともできなかったようだ。現時点では木村がV候補筆頭だ。


●女子5000m エントリーリストw5000
 5000m専門の新谷仁美、10000mと掛け持ちの福士加代子、1500m日本記録保持者の小林祐梨子と、得意距離の異なる選手たちが激突する。今季の記録では織田記念で15分17秒84の自己新で日本人トップとなった新谷がリード。日本選手権までに世界選手権のA標準(15分14秒00)を破れば優位に立てる。ハイペースの展開になったときに強いのは福士だろう。5月1日のカージナル招待10000mでは30分台と全盛時の力が戻っている。気象条件に恵まれ14分台のペースに持ち込めば有利となる。小林もできればB標準を突破してから日本選手権に臨みたい。勝負だけに集中できれば小林有利となる。B標準突破済みの杉原加代、学生の吉本ひかり、清水裕子も要注意。
■世界選手権標準記録 15.14.00/15.25.00
■突破者
新谷仁美 千葉陸協 15.17.84 2011/4/29 織田幹雄記念国際
小林祐梨子 豊田自動織機 15.23.10 2010/11/13 神戸市長距離記録会
杉原加代 デンソー 15.24.66 2010/11/24 八王子ロングディスタンス
竹中理沙 立命大 15.24.99 2010/12/5 大阪府長距離強化記録会
小林のB標準突破が判明
 小林祐梨子(豊田自動織機)が昨年11月にB標準を突破していたことが判明。勝負優先のレースをすることが可能になった。対抗するのは1500mを回避してこの種目に絞ってきた吉川美香(パナソニック)、日本選手権1万mを制して勢いのある杉原加代(デンソー)、織田記念優勝の新谷仁美(豊田自動織機)ら。福士加代子(ワコール)はいぼの手術からの回復が不十分のため欠場する。4人ともラスト勝負がそれなりに強いので予想が難しいが、前回世界選手権で11となっている小林の力がやや勝るか。


●男子5000m エントリーリストm5000
 有力選手に故障者が多い。昨年優勝の松岡佑起は昨年のアジア大会前に脛を疲労骨折し、やっと4月から本格練習を再開した。一昨年優勝の上野裕一郎も1月の全国都道府県対抗男子駅伝後に脛の痛みが出て、練習をやったり休んだりの状態が続いた。昨年2位の大西智也は3月上旬に足首を捻挫。3人とも5月末のゴールデンゲームズinのべおかで復帰して、そのときの状態次第では世界選手権のB標準を狙うプランだ。3人とも万全ならラストの強さで上野に分がある。3人の準備が整わなければ10000mと兼ねる宇賀地強や佐藤悠基、竹澤健介、1500mから距離を伸ばしてきた渡辺和也、さらには村澤明伸や鎧坂哲哉らの学生陣にもチャンスが生じる。
■世界選手権標準記録 13.20.00/13.27.00
■突破者
渡辺和也 四国電力 13.23.15 2011/5/28 ゴールデンゲームズinのべおか
佐藤悠基 日清食品グループ 13.25.53 2011/5/28 ゴールデンゲームズinのべおか
渡辺のラストが炸裂するか
 ゴールデンゲームズinのべおかで渡辺和也(四国電力)が13分23秒15とB標準を突破。記録だけでなく、ラスト勝負でケニア人選手たちを抑えたのだから高く評価できる。延岡と同じくらいの調子なら、日本選手権もラスト勝負に持ち込めるだろう。同じくゴールデンゲームズinのべおかでB標準を突破した佐藤悠基(日清食品グループ)は日本選手権初日の1万mに優勝。ためて、ためて、ラストで爆発させた。そのときのラスト1周は58秒0。渡辺に対してどうか。ラスト勝負だけなら松岡佑起(大塚製薬)の方が強そうだ。松岡は渡辺、佐藤とは別組だったがゴールデンゲームズinのべおかで13分40秒76。日本選手権までに調子を上げられるかどうか。清水大輔(カネボウ)は日本選手権1万mで14位(28分57秒75)と不調だったが、距離の短くなる5000mなら人が変わる可能性はある。


●男子100m エントリーリストm100
 2強の不調で予断を許さない状況になっている。2連勝中の江里口匡史は織田記念はB決勝に回り、ゴールデングランプリ川崎は日本人3位。昨秋の故障の影響で冬期トレーニングに入るのが遅れ、まだピリッとしない。塚原直貴は織田記念、川崎と体調不良で欠場したため今季の状態がわからない。好調なのが織田記念で1位から3位を占めた学生勢で、優勝した小谷優介は速いピッチが特徴。「今年が勝負と思って冬から頑張ってきた。日本選手権はとにかく上に行くだけ」。ジュニアの山縣亮太が織田記念日本人2位、川崎同1位と絶好調。日本選手権優勝の可能性も出てきたが、本人は「タイム的にも上の方がたくさんいる」と慎重だ。
■世界選手権標準記録 10.18/10.25
■突破者 なし
江里口が復調
 日本選手権予選は1組は2連勝中の江里口匡史(大阪ガス)が10秒31(+1.1)、2組はベテランの宮崎久(大倉山藍田学舎)が10秒54(±0)、3組は内海祐弥(山口合同ガス)が10秒52(+0.9)、4組は山縣亮太(慶大)が10秒41(+0.8)でトップ通過。4組2位の川面聡大(中大)も10秒42と、200 mで予選落ちした不調から立ち直ってきた(200 mの予選落ちは1週間前の39℃くらいの発熱が原因)。江里口が昨年同様、日本選手権までに春先の不調から立て直してきた。山縣と川面がどこまで江里口に迫るか。雨も降らないようなので、優勝記録は最低でもB標準を上回ってほしい。


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