2011/6/5　日本選手権混成２日目
右代が日本人初の8000点突破
優勝記録は8076点、公認記録は8073点
「体を動かす天才にならなければ十種競技というものはやっていけません」

競技後の一問一答　後編　前編からの続き
「この２、３年間やってきたことは、間違っていなかったと証明できました」
Ｑ．今回の8000点突破には２年前から始まった合宿やプロジェクトも関わっていると思いますが、その点についてはどうですか。
右代啓祐　この２、３年間長いスパンでやってきたことは、僕が今日8000点を超えたことで間違っていなかったと証明できました。だから僕だけじゃなくて、他の選手もこのトレーニングを続けていけば8000点、さらに上を狙えるということです。それについても、良い人たちに出会えたなと思います。
Ｑ．合宿でのスプリント強化が、昨日の400 ｍや今日の110 ｍＨの自己新記録に表れたと思うのですが、どう自覚していましたか。
右代　練習でもずっといいタイムで走ってきていたので、短距離種目は伸びるだろうと思っていました。その辺は予定通りという気持ちもあります。走るだけでなく、体の使い方といったトレーニングもしてきたので、棒高跳の記録更新などに生かされたと思います。当面の間、そういったトレーニングを続けていくことは重要だと思います。

「体のコントロールが、マット運動などによってできてきている」
Ｑ．武井（壮）さんに言われたトレーニングで最初は「えっ」と思ったけど、実は体のこういうコントロールに役立っているんだと感じたメニューはありますか。
右代　自分の中ではマット運動が一番だと思います。逆さになったきに歩いているときと同じような動きができない人は、コーチとかのアドバイスでこれをやってみろと言われたときにできなかったりします。マット運動などの色々な動きのレパートリーを持っていると、その分自分の体の動かし方などもわかってきます。体を動かす天才にならなければ十種競技というものはやっていけません。そういうこともあって、マット運動というのは自分の中では大きいですね。
Ｑ．逆立ちで自由に動けるようになったのはいつ頃のことですか。
右代　指導されて１年経った頃ですかね。そこからばく転、ばく宙、＊＊倒立などいろいろなトレーニングをしてきました。
Ｑ．逆立ちとかも最初は全くできなかったのですか。
右代　もうフラフラでした。恥ずかしいくらいできませんでしたね。でもそれをやって、結果を出している人もいました。新しいことをやるのは不安な部分もあるのですが、自分に足りない部分を教えて下さっているんで、それを吸収して自分のものにしようとしました。できる人もいるので、自分ができない悔しさもありました。記録が上でも、できる人はできる。それで必死にトレーニングした成果が１年後に出ました。今は体のコントロールが、マット運動などによってできてきていると実感しています。
Ｑ．それが３回の試技の中で修正できることに生かされていますか。
右代　そうですね。自分の過去を遡ると簡単にわかるのですが、投てきも一発ドカっとはまったときにしか記録が出ない荒削り感が学生の頃にはありました。でもここ２、３年はアベレージも高くなり、３投の中でしっかり記録を出せるようになりました。これもそういったトレーニングの成果であると実感しています。

「アジア大会で戦った選手たちにリベンジするつもりで、全力でプレーしていきたい」
Ｑ．アジア選手権に向けてはどうですか。
右代　アジア選手権は来月ですか…自国開催ということなので、しっかり日本記録保持者、8000点を越えた選手の代表として、観客の人たちに日本人の抜群の運動神経の良さを見せることができたらいいなと思います。海外の選手が来るわけですから、日本人にもこんなに強い選手がいるんだぞということを見せつけたいと思います。
Ｑ．勝敗にこだわりますか、記録も狙いますか。
右代　もっともっと上の記録を狙いたいので、もちろん記録にはこだわります。アジアナンバーワンを決める試合でもあるので、順位もしっかり優勝をとって世界選手権に臨めたらいいなと思います。
Ｑ．アジア選手権はアジア大会の借りを返す機会にもなるのでは？
右代　アジア大会では悔しい思いをしましたし、アジア大会で戦った選手も参加すると思います。その選手たちにリベンジするつもりで全力でプレーしていきたいと思います。

「短距離が伸びてきたときに8500点というのも見えてくる」
Ｑ．十種競技選手は走・跳・投のすべてができるのがあるべき姿ですか。
右代　短距離の方がまだまだ下なんですが、投てき、跳躍というのはそういう姿になってきたのかな、と思います。短距離が伸びてきたときに8500点というのも見えてくるのかな、と。
Ｑ．右代選手が考える十種競技の魅力とは？
右代　十種競技は10種目あるわけなので、１種目１種目集中しないといけませんし、その１種目１種目で自己記録を更新しないと高い記録は目指せません。そういう面白みが他の種目にはないので、僕は十種競技が大好きというか、十種競技はいいなあと思いますね。

前日本記録保持者・金子宗弘さん（ミズノ）コメント
「8073点の日本新記録樹立おめでとうございます。私の記録が破られたのは残念ですが、今日の記録が右代君の新たなスタートであり、私が成し遂げられなかった世界の舞台で戦える選手を目指してほしいと思います。また新たな歴史を作ってください」


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