2011/10/22 2011実業団女子駅伝西日本大会前日
世界選手権代表の帰国後初レース、
全国Vチームのエース区間に新戦力、
金メダリストの復帰戦、など見どころ多数


1区=6.7km
2区=3.5km
3区=10.2km
4区=4.5km
5区=10.8km
6区=6.495km


●中里が西日本3連覇に意欲
 実業団女子駅伝西日本大会の区間エントリーが発表された。
 一昨年から“西日本大会”となった今大会で2連勝中のダイハツ。5区に出場する世界選手権マラソン10位の中里麗美は「3連覇を目指して頑張りたい。(世界選手権後初レースだが)その辺のプレッシャーは感じていません。のびのびと走ります」と意欲を語った。
 世界選手権から帰国して2週間ほど休んだ後は宮崎で合宿。「若干疲労はありましたが、練習は順調に進んでいます」と、いつもの笑顔で話す中里。
「私の今の課題がスピードの切り換えです。そこが世界との差だと実感しました。それを培うことができるのが駅伝です。そういうレースができたらいいかな、と思っています。(駅伝に向けてのトレーニングは)いつも通りに監督のメニューでみんなと一緒にしてきました。ただ、自分のなかではつねに3月のマラソンを頭に入れて練習しています」
 前回5区で大逆転劇を見せた木崎良子が11月の横浜国際女子マラソン出場のため、今大会は補欠に回った。その穴を埋めるのは大変だが、9月の全日本実業団では坂井田歩が4位、出田千鶴が12位と好走。32分37秒03と32分52秒95で、ともに自己新をマークした。今回は坂井田が3区と長距離区間を担う(ここで結果を出せば、距離が7.0kmに伸びて起伏も激しくなる全日本実業団対抗女子駅伝1区に起用のめどが立つ)。
 中里は「木崎さんが安心してトレーニングができるように、明日頑張りたい」と、駅伝エースの不在にもひるんでいない。

●天満屋は3区・栗栖がカギを握るか
 昨年の全日本実業団対抗女子駅伝優勝の天満屋はエースの中村友梨香を5区に、全日本実業団5000m&1万m入賞の栗栖由江を3区に起用。1区には1500m&5000mで日本選手権入賞の小原怜という布陣。昨年に続いて長距離区間に抜擢された栗栖は「練習もしっかりできているので、積極的に走りたい」と抱負を語った。
 例年、地区予選にはピークを合わせず、全日本で一気に上げてくるのが天満屋の特徴。昨年はエースの中村と、重友梨佐の2人を外して西日本大会は4位に終わった。今回は、万全の状態ではないが中村を5区、重友を6区に起用する。そうなると3区の栗栖がカギとなってくる可能性が高い。栗栖が昨年よりも大きく成長していることを駅伝でも見せられれば優勝にも手が届くだろう。
 今季の天満屋は昨年の全日本初Vが自信になっている部分もある。「周りも注目していますし、駅伝日本一になったことを生かした走りができたら」と栗栖。選手たちは日本一チームのプライドを持って走る。

●復帰戦の野口、「良い練習ができているので不安はない」
 10カ月ぶりのレースとなる野口みずき(シスメックス)は3区に出場する。
「昨年も3区を走って(コースはわかっている)ので、しっかりと走りたい。風が強くなるかもしれませんが、風に負けないようにしないと。チーム一丸となって盛り上がっています。みんなの元気をもらい、去年以上に練習はできていますので、合宿などの成果をしっかりと発揮したいです」
 野口は昨年12月の全日本実業団対抗女子駅伝で舟状骨の疲労骨折が判明。本格的な練習ができなかったが、4カ月後に再開。だが6月中旬に左脚の付け根の上部分を肉離れしてしまった。予定していた7月の札幌国際ハーフマラソンを回避して治療につとめ、8月から本格的な練習を再開できた。
「(故障の治療をする過程で)古傷の方も奇跡的にゼロに近い状態にまで回復しました。故障があったことを今はプラスにとらえられています。全日本は(出場するか)まだわかりませんが、明日は元気に、思い切り走りたい。久しぶりに走れることに喜びと感謝の気持ちがあります。(同じように復帰戦だった)昨年は完全ではなかったので緊張もありましたが、今年は良い練習ができているので不安はありません」
 長期間レースに出ていなかったので不安視もされた野口だが、体も良い感じで絞れていたし表情も良かった。廣瀬永和監督によればチーム事情が良ければ出る予定はなかったが、野口が「練習をやっているうちにどんどん良くなってきた」ということで今回の出場となった。復帰戦は“それなり”の走りを見せてくれそうだ。

●野口、福士の出場マラソンは?
 気になるのは野口のマラソン復帰戦=ロンドン五輪選考レース出場だ。可能性があるのは1月の大阪国際女子マラソンか3月の名古屋ウィメンズマラソンの2つ。廣瀬永和監督は「(すでに)絞っています」と話した。
「ロードレースは結構あるので、レースを何本かやって感覚を戻し、マラソンに臨みたいと考えています。(マラソン練習期間が)必ずしも長ければいいとは考えていません。そこに集中してできればいい。すべてのレースを逆算して考えています。このレースもその1つです。明日は本人の動きや、どれくらいのタイムで行けるかを見たいと思っています」
 野口の明日の走りは、ロンドン五輪につながってく第一歩でもある。
 もう1人マラソンの五輪選考レース出場が注目されるのが、10月9日のシカゴ・マラソンで2時間24分38秒で走った福士加代子(ワコール)だ。今大会は補欠で走らないが、それは以前から決まっていたこと。永山忠幸監督は「チーム全体がレベルアップするため、福士抜きで戦うと決めていました」と説明した。
 マラソン出場予定に関しては「大阪か名古屋のどちらかですが、状況を見ながら判断していきます。どちらに出ると言ってしまうと周りまで巻き込んで大騒ぎになってしまう。スタートラインに自然体で立てるように、最後まで慎重に進めたい」と明言を避けた。
 シカゴは後半が腹痛でペースダウンしたため、「ダメージはない」と永山忠幸監督。明日も、故障者などが出れば代わりに出場することになっている。


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