2011/11/2 '11彩の国実業団駅伝(東日本実業団駅伝)前日
男子は1区・佐藤で日清食品グループがリードし、
2区・宇賀地でコニカミノルタが、
3区・ジェイランでHondaが追い上げる展開か?
佐藤は5大会連続区間賞の可能性

区間エントリー表

 男女とも有力チームの戦力は拮抗し優勝を予測するのは難しいが、男子は1区、2区、3区に強力ランナーが分散し、見方の軸が1つできた。
 1区(11.6km)には日清食品グループが、日本選手権1万m優勝の佐藤悠基を起用しスタートダッシュを試みる。最長区間の2区(15.3km)にはコニカミノルタが、1万m今季日本最高(27分41秒97=ロンドン五輪A標準突破)の宇賀地強を投入し、トップ浮上を目論む。インターナショナル区間の3区(9.2km)には世界選手権1万m金メダリストのI・ジェイラン(Honda)が登場。9.2kmと短い区間で、どこまでトップとの差を縮められるか。

 日清食品グループ関係者によれば、佐藤は世界選手権から帰国後すぐに、今大会は短い区間に回り、駅伝後の1万mで五輪A標準を狙う方針を決めたという。ただ、1区に出るからには「悠基のリズムで走って主導権を取る」のは当然の目標。5秒や10秒ではなく、20秒や30秒といったリードを奪いたいようだ。
 また佐藤には、入社後の実業団駅伝5大会連続区間賞もかかっている。
 小野裕幸の2区への起用は同選手への期待の表れだ。ニューイヤー駅伝本番での3、4、5区への起用も視野に入れ「色々なオーダーの可能性を試すために、一番長い区間に置いた」という。
 佐藤と並ぶエースの北村聡をヒザの故障で、風邪の安西秀幸、足首を痛めた座間紅祢を欠くのはマイナス材料。だが、7区(13.5km)治郎丸健一が今季、1万mで28分16秒49まで記録を縮めている。選手層の厚さは他チームにとって脅威である。
 2区の小野が好走すれば、そのまま逃げ切る可能性は十分だ。

 前回優勝のHondaは1区に、前回区間4位の中尾誠宏を連続して起用。ただ「1区は日清食品グループ以外を見ていくしかない」と、明本樹昌監督は差を開けられるのは覚悟している。3区のジェイランは「本人はふくらはぎを気にしているが、試合前はいつも神経質になるんです。トレーナーは問題ないと言っていますし、本人もやる気は十分です」という状態だ。
 前回2区で区間2位と好走した石川末広を足首の故障で欠いたのは痛いが、藤原正和が7区に起用することができた。アンカー勝負にもつれれば優位に立てる。
 2区・池邉稔、4区(9.9km)齋藤勇人、5区(7.4km)山中貴弘が東日本初出場。「彼らがどう走ってくれるか。6区(10.6km)の福山(良祐)、7区の藤原は追い上げられるので、前半をどのくらいの差に抑えられるかがカギになりそうです」(明本監督)

 コニカミノルタは1区に高卒4年目の新田良太郎を起用してきた。9月の全日本実業団5000mでは日本人3位と好調の選手。日清食品グループ・佐藤との差を最小限にとどめれば、2区のエース宇賀地でトップに立てる。
「新田は一昨年、去年も練習では強かったんです。今年になって試合でも出せるようになってきた。成長しています」と磯松大輔コーチ。宇賀地は「いつも通り」(同コーチ)という状態なので、コニカミノルタも2区でトップに立つ可能性は十分ある。

 前回2位のカネボウは最長区間の2区に大西一輝を起用した。実業団駅伝は初出場だが、双子の弟の旭化成・大西智也は1万mで27分50秒72の記録を持つ。
 音喜多正志監督は大西への期待度が抜擢の理由だという。「これからのカネボウは大西と木原(真佐人・1万m27分52秒75)で回していくようにならないといけません。勉強させる意味もありますが、入り方を間違えなければ、宇賀地にもそんなに負けないはず。十分やってくれると思う」
 その木原が4区、5区には今年の東日本実業団5000m日本人1位の清水大輔、そして7区に27分ランナーの真壁剛と、トラックのスピードランナーが顔を揃える。
 チーム全体のスピードは東日本随一といえるだろう。


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