2011/4/16 岩壁杯
東京出身4年生コンビが感じさせた標準突破の可能性
川面が100mで10秒37、小林が200 mで20秒65w


 100 mは川面聡大(中大・都高島高出身)が10秒37(+2.0)で、200 mは小林雄一(法大・保善高出身)が20秒65(+2.7)と、東京出身コンビがともに好タイムで制した。タイムだけでなく内容からも、2人とも世界選手権の標準記録を狙える力があることを示した。



 川面はフィニッシュ後急激に減速しトラックに倒れ込んだ。右のふくらはぎが痙攣していたのだ。
「1歩目で半分つりかけて、60m付近でもう1回つりました。頑張りましたがバランスが崩れていた。無理だとも思いましたが、プライドで走りました」

 100 mは中大勢が1〜3位を独占。序盤をスタートが得意な女部田亮(中大2年)がリードしたのは予想されたこと。予想と違ったのは川面が前に出たのが40〜50mと、昨年までのパターンよりも早かったことと、その川面が後半で追い込まれたこと。追い込まれたのは前述した脚の痙攣が理由だった。
 中盤で前に出られた点に、川面の今季の成長があった。
「昨年の11月から走りを変えることを心がけてきました。以前は乗り込むときにアゴが上がってしまっていた。そこを修正して、しっかりと乗り込んで、強い推進力を得るようにしました。腰を入れたまま、脚を使うのでなく、上体で移動していく感じです。持ち味の後半に生かすこともできますし、前半の加速も今年は違います」

 岩壁杯では予選でも10秒38(+1.6)で走っている川面。年次ベストは一昨年が10秒35で昨年は10秒34。決勝の10秒37は追い風2.0mでの記録だが、この時期としては好タイムを連発したといえる。それに加えて痙攣があったことを考えると、自己記録更新は時間の問題だろう。
「しっかりと走れたら、(B標準の)10秒25を切れた感触があります。織田記念でB標準を、日本選手権では(A標準の)10秒18を狙えるステップを踏めていると思います」
 世界ジュニア200 m金メダリストの飯塚翔太が注目されている中大勢だが、最上級生が存在感を示し始めた。

 200 mは小林雄一の圧勝だった。コーナーの出口で早くも2〜3mのリードを奪うと、2位の小林靖典(法大2年)に0.44秒差をつけてフィニッシュ。昨年の日本インカレ優勝時にも追い風3.8mで20秒52を記録しているが、今回も追い風2.7mの参考記録ながら20秒65と、B標準の20秒70を上回る好タイムで走ってみせた。
「(個人種目は)シーズン初戦でちょっと控えめでしたが、スピードが上がっている感触があります。100 mのニュアンスを200 mに取り入れられるようになりました」
 インターハイ2冠の小林だが、昨年までは「200 mをうまく走りきるタイプだった」という。唯一の例外が前半からリードを奪えた日本インカレだった。
「冬期に250mなどを高いスピードでやることができて、前半から突っ込む自信がつきました。理想でしかなかった全カレの走りを、意識してできるようになった」と、冬期練習と今回の走りで手応えを得た。

 だが、記録的にはシーズン初戦の20秒65wにも満足していない。
「A標準(20秒60)も今日、出すつもりでした。今年は世界選手権代表を狙うチャレンジの年。最低でもA標準を切らないといけないし、(記録的に上の人たちに)食らいつくのでなく、勝負をするために20秒4台を出さないと」
 昨年、藤光謙司(セーレン)が20秒38を日本選手権優勝時にマークし、世界ジュニア金メダリストの飯塚は20秒58で走っている。高平慎士(富士通)は20秒22(09年)の記録を持ち、斉藤仁志(サンメッセ)と安孫子充裕(チームミズノアスレティック)の筑波大OBコンビは20秒4台がベスト。公認記録は20秒79(09年)の小林も代表争いに加わる力をつけている。


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