2011/3/6 びわ湖マラソン
堀端が30km以降に積極レースを展開
日本人トップで世界選手権代表に
「接触で負けたと言い訳をするのではつまらない」
「世界選手権はそれほど意識していませんでした」


堀端宏行のレース後コメントを整理して紹介
●32kmでよろけたシーンについて
「僕の蹴り脚と今井(今井正人・トヨタ自動車九州)さんの着地する脚が絡まって、前のめりになってしまいました。転びかけて、そのまま後退してしまう可能性もありましたが、逆にあそこで気持ちを切り換えることができた。『ここで負けるのか』とも思いましたが、接触で負けたと言い訳をするのではつまらない。『それがきっかけで失速するのは嫌だ』と、力が沸いてきました。『負けてたまるか』と。良いことだったと、終わった今は思えます」

●30km以降に積極的に仕掛けたことについて
「30kmを過ぎたら日本人が少なくて、『もし残れていたら』と考えていた通りになりました。少しでも余力があったら自分からガンガン仕掛けたかったので、そのときは迷わず仕掛けました。でも、行ったは良かったのですが振り切ることができず、気が滅入りかけていたらあの接触があったんです。走りながら考えていたことは、『きついけど、まだまだこんなものじゃない』ということ。今までの脚が動かなくなったレースは、こんなものではありませんでした。今井さんに追いつくちょっと前から、『これは詰まっている』とわかったので、今井さんよりも3位の外国人選手に意識を置いた方がいいと判断しました。単独3位になってからがまた修羅場が来て、近くに人がいたらもっと頑張れたかもしれません。気持ちが弱かったのが課題です。最後の5kmは失速が大きかった」

●代表選考基準の2時間09分29秒を意識したのは?
「トラックに入って残り1周のところでタイマーを見て、1周80秒以内で回ればいいとわかりましたが、動きを切り換えないと2時間09分30秒かかってしまうと思いました。タイムを意識したのはそこからです。今回に関しては練習期間が短く、量が足りなかったことは否めません。世界選手権への意識がまったくなかったわけではありませんが、変に世界選手権を意識して力むより、走りやすい自分のリズムでと考えていました」

●レース前の目標
「練習期間が1カ月ちょっとくらいしかなく、正直、疲れを感じていなくて、乗れば走れるだろうと思っていました。変な意気込みはなく、流れに乗って行けるところまで行ければと。ただ、せめて自己記録は更新したいな、とは思っていました。あと、日本人集団に生き残れたら、自分から仕掛けようと」

●直前のびわ湖出場決定
「今年度の頭の時点では別大に出るつもりでしたが、今年度はレースも練習も安定感がなく、(2月の)延岡西日本に出ることに変更しました。そうしたら12月半ばに右脚の付け根を故障をしてしまい、治すのに1カ月半かかって延岡は無理になりました。故障が明けて練習をし始めたら体調がぐんぐん上がって、マラソン練習はちょくちょく佐々木(悟)さんと一緒にやらせてもらい、びわ湖の10日くらい前に出場を決めました。2週間くらい前に40km走をやるとき、その日の走りを見てびわ湖にするか、熊本のロードレースにするか決めることになっていました。そのときは力みすぎてスタミナ切れでヘロヘロになってしまい、もう1回チャンスをもらいました。4日後の40km走ではその反省を生かして、ビルドアップもしてそれなりのペースで走れたのでびわ湖出場が決まりました。練習期間は短かったのですが、わりと濃度が高かったと思います。40km走を1カ月で3回やっていますし、距離走とペースランニングはわりとできました。ただ、(短い間隔で)2回距離走をやったので、筋肉痛でガチガチでした。そこから体調を持ち直して今日に至っています」

●前週の東京マラソンで同学年の川内優輝が日本人トップになったことについて
「市民ランナーでも走れるというか、あの人にはあの人なりの練習スタイルがある。そういう感じなのかな、と思いました。テレビで見た感じでは、良い練習をやっているようでしたし、1人でやっている分、陸上への意識が強いのかな、と。好きでやっていることが一番大きく作用しているのでは。でも、その結果に対抗しようというのではなく、僕は僕の走りをしよう、現状で最大限の走りをしようと思っていました。あわよくば日本人トップというのも考えていました」

●テグ世界選手権への抱負
「延岡を予定していたくらいですから、世界選手権はそれほど意識していませんでした。準備期間が短かった分、今回は全体的に練習量が足りなかった。もう少し練習を積むことと、昨年の北海道マラソンで失敗した反省を世界選手権につなげたい。夏への苦手意識を克服したい。今日も外国人選手との差を見せつけられましたが、半年で少しでも縮めて、少しでも勝負できるようにして当日を迎えたい。今日も25kmで離れてしまいましたが、それが現状です。今日、日本人トップ争いをしたように優勝争いができたらいいですね」

●旭化成入社の経緯
「声を掛けられたときは、なんで僕に? と正直感じました。宗猛監督に最初にお会いしたのが高2の高校総体県予選のあとで、決勝でビリから2番目くらいでしたから、ただただ不思議に思っていました。宗監督がそう言われるのなら(大化けする可能性がある)、頑張ればいつかそうなるかもしれません。そういう人に目をつけられたのですから、少なからず才能はあるはずです。まだ化けたというレベルではありませんが、今回を良いキッカケにしたい」

●189cmの長身選手
「身長は高校を卒業するときが184cmで、今は189cm。体重は71〜72kgです。ベスト体重は69kg前後ですが、増えているから重くて走れない、という感じではありません。世界選手権に向けて絞っていきますが、考えすぎるほどではありません。高岡(寿成)さんが僕に近い身長ですし、3000mと1万mとマラソンの日本記録を持っている方ですから、憧れはあります。2009年のホクレンDistance Challengeでお話ししたことがあって、『体重を絞った方がいいよ』と言われました」

堀端宏行のマラソン全成績
回数 月日 大会 順位 記 録
1 2008 2.17 東京 9 2.11.47.
2 2009 3.22 東京 22 2.18.27.
3 2010 8.29 北海道 20 2.26.55.
4 2011 3.06 びわ湖 3 2.09.25.


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