2010/11/6 全日本大学駅伝前日
有力校の思惑は“4区でトップに”
東洋大は“つなぎ区間”で勝負
アンカー勝負になっても白熱か


 予想通り、各大学とも前半から有力選手(スピードランナー)を並べてきた。有力校のオーダーは下記の通り。

日大:田村・堂本・高月・和田・森谷・寺田・田倍・ベンジャミン
東洋大:設楽啓・柏原・本田・川上・設楽悠・田中・渡辺・大津
明大:松本・鎧坂・北・菊地・大江・石間・細川・小林
早大:矢沢・大迫・八木・佐々木・志方・猪俣・前田・平賀
山梨学大:松枝・コスマス・牧野・中村・尾崎・伏島・松森・高瀬
中大:大石・野脇・井口・棟方・西島・小柳・塩谷・齋藤
駒大:撹上・上野・油布・千葉・後藤田・窪田・飯田・井上
東海大:早川・金子・刀祢・元村・田中・小松・永田・村澤
日体大:筱嵜・出口・福士・野口・矢野・早川・谷野・服部


 “どこで、どうなれば優勝に近づくか”という質問に対し、学生駅伝3冠を目指す早大の渡辺康幸監督は「4区でトップに立ちたい」と答えた。
「各大学とも1、2、3区はかなりの主力をつぎこんでいるので、ごちゃごちゃになっている可能性があります。4区でどこのチームが抜け出すか。5、6、7区はどこも力が落ちるので、4区で抜け出せると優勝が近づいてくる」
 早大は上に紹介したように4区は佐々木(2年)。出雲で区間新を出すなど好調の選手を置いている。加えて、1区でも差をつけたい考えだ。
「ジュグナ君(第一工大)が1区で助かりました。日本選手だけだと最後の短距離勝負になる可能性がありました。ウチとしてはハイペースでどんどん行ってもらいたい」
 そうすれば出雲のときと同じで、矢沢曜(3年)だけがそれに耐えて有力校に「20〜30秒リードできる」という計算だ。加えて2区の大迫傑(1年)が、「八木(勇樹・3年)を3区に追いやる」(同監督)ほど好調。「コスマス(山梨学大)が来てもついて行かせる」という。

 対して東洋大の酒井俊幸監督は「前半は渡辺監督が言われたようにかなりの混戦になる。中盤以降で抜け出すことができるかどうか。東洋大はつなぎ区間で勝負をしたいと思っています」と、5、6、7区の選手、すなわち選手層の厚さで勝負をしたい旨を明言した。
 ただ、柏原竜二(3年)を起用した2区ではトップに立ちたいという。
「トップには立ちたいですね。1区のタイム差もあるので何秒のリードをとは言えませんが、流れというか主導権はそこで握っておきたい」
 3、4区は本田(4年)と川上(3年)。特に川上にとって14kmは初めての距離となる。「再試験」(同監督)的な意味合いもあるようだ。2区でトップに立っておけば3、4区で多少の誤算があっても、5区以降で優勝争いに顔を出せる。

 早大と同じように「4区でトップに立てれば」と話したのは日体大・別府健至監督だ。
「セットで考えているのは1〜4区。そこでどういう位置につけることができるか。3区までつねに45秒差でいって、4区の野口(拓也・4年)でトップに立つのが理想です」
 45秒以内でレースを展開するのは、前半に限ったことではない。
「1分差、2分差になると優勝争いから外れてしまいます。優勝争いをするのが第一目標」
 日体大の意気込みはアンカーに1年生の服部翔大を起用した点にも表れている。
「確実に6位以内に入ることを考えたらアンカーは野口です。4区に野口を起用してアンカーに服部とすれば優勝の確率は高くなるオーダーですが、結果として10位とか11位もあり得ます」
 服部に不安があるというよりも今回のオーダーは「1区がどう流れるか」が問題なのだという。

 4区でトップに、が早大と日体大の目論見だが、アンカー決戦になる場合も想定している。「やっぱり30秒以内差でつながないと。それ以上行かれると見えなくなってしまう」と早大・渡辺監督。
 渡辺監督自身、8区の区間記録を10年以上保持していた選手。8区の走り方は平賀翔太(2年)に“伝授”しているという。
「後半の上りを意識しないことですね。15kmからの上りを意識しすぎると、前半が伸びなくなる。ある程度のスピードで前半から入った方がいい」
 平賀には58分台の設定タイムを言っているという。
 東洋大のアンカーは大津翔吾(4年)は春季シーズン後に故障続きだったが、春には1万mで28分45秒11の自己新、関東インカレのハーフでは平賀に競り勝っている。日体大アンカーの服部も2週間前の記録会で28分37秒75の自己新。「自分の力をわかっている選手。自分のパターンを持っている」と別府監督も評価している。
 タスキをもらう位置によっては、村澤明伸(東海大2年)の韋駄天走りも見られるかもしれない。


寺田的陸上競技WEBトップ