2010/9/18 スーパー陸上前日
メンタル面を鍛えるため常識破りのトレーニングに挑んだ村上
「相手が面白いと思ってくれるような試合をしたい」
昨年のスーパー陸上は銅メダルのベルリン世界陸上から凱旋直後だった村上幸史(スズキ浜松AC)。大会一番の目玉選手として結果が期待された。結果的にフィンランド2番手選手のウィルッカラの82m60の前に敗れたが、注目されるなか、82m41と国内自己最高を投げて大会を大いに盛り上げた。
今年も注目されているのは同様だが、注目の“質”が少し違っている。
今季の村上は4月の和歌山カーニバルで82m49と国内自己最高を更新。日本選手権でも初めて80m台で11連勝を達成した。ところが、6月末のフィンランド遠征2連戦で76m15と73m74に終わり、世界のトップクラス選手たちに大敗した。
村上の場合昨年で技術的にはほぼ完成しており、フィンランド遠征で得たものは「メンタル面」だと言う。
「世界大会とは違った雰囲気のなかで試合をしたのは初めてでしたが、世界のトップ選手は“勝負をしたい”“記録を出したい”“結果を出したい”と、それぞれの場で自分の投げをクリアしています」
そういった雰囲気のなかで村上は自分を出すことができなかった。
元々8月は鍛錬期に充てていたが、メンタル面に課題があると判断した村上は「やりを多く投げること」で解決しようと取り組んだ。これまでは多くて「週に3日だった投げ込みを週に6日」も行ったという。
「5日目、6日目となるとやりを持ちたくなくなるんです。最初は疲労で生きたやりが出せないのですが、そこからどうコントロールして生きたやりを出せるようになるか」
そういう取り組みをしたという。
「今季はシーズンを2つに分けていて、フィンランド遠征までが第1シーズンで、スーパー陸上からが第2シーズン」
とはいえ、ピトカマキやウィルッカラが相手である。
「もちろん勝負ですから、チャンスがあれば勝利を手にしたい。しかし、それよりも世界の一流選手が日本まで来てくれたのですから、相手が面白いと思ってくれるような試合をしたい」
村上の今季の最大目標は85m。ピトカマキやウィルッカラを相手にするには、そのくらいの記録を出さないと“面白い勝負”にはならないという。
「この1カ月、そこを目指してやってきた」という村上のスーパー陸上に注目したい。
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