2008/6/25
日本選手権2010・日付別展望
第1日・6月4日(金) 女子編
1万mに注目選手多数も最大の焦点は福士の日本新
棒高跳・中野とハンマー投・綾の地元Vなるか?
●女子10000m
福士加代子が兵庫リレーカーニバルに31分29秒03で優勝し、大阪GP5000mでも15分17秒86で日本人2位に14秒差をつけた。全日本実業団女子駅伝3区で区間新を出して以降、“強い福士”が完全に戻ってきた。今年の日本選手権は世界大会が懸かっていない。気象コンディション次第では独走でも記録に挑戦するのではないか。
対抗できるのは昨年の世界選手権7位入賞の中村友梨香だが、4月のマラソンからの回復次第。赤羽有紀子もロンドン・マラソン以後の状態によっては2連勝を目指す。
兵庫で31分30秒92の学生新で2位となった吉本ひかりが、再度、福士に迫ったらホンモノといえる。
=陸上競技マガジン6月号記事。以下同
女子1万mも大きな情勢の変化はない。福士が関西実業団で15分40秒台と32分30秒台、吉本は関西インカレ5000mで15分40秒台と、良い感じで調整レースをこなしたようだ。
中村友梨香は中国実業団で33分39秒69の2位。優勝したT・ダニエル(ユニクロ)とは1分10秒差。ボストン・マラソンからの復帰を慎重に慎重に行っているようだ。赤羽有紀子もロンドン・マラソンからの復帰戦(赤羽コーチによるブログ参照)。
注目されるのは福士が日本記録に挑戦するかどうか。レース時の気象コンディションが涼しくなることが条件だが。あとは、中村が積極性を見せて、福士と引っ張り合うと面白くなる。
日本記録(渋井陽子・2002年)の1000m毎の通過&スプリットは下記の通り。
1000 |
03:05.7 |
03:05.7 |
2000 |
06:11.3 |
03:05.6 |
3000 |
09:15.4 |
03:04.1 |
4000 |
12:20.8 |
03:05.4 |
5000 |
15:26.4 |
03:05.6 |
6000 |
18:31.4 |
03:05.0 |
7000 |
21:37.2 |
03:05.8 |
8000 |
24:43.4 |
03:06.2 |
9000 |
27:48.0 |
03:04.6 |
10000 |
30:48.89 |
03:00.9 |
●女子走高跳
日本選手権4連勝中の福本幸が休養に入っている。その福本に「中学・高校時代にアドバイス受けていた」と言う三村有希が、跡を継ぐ最有力候補だろう。
三村は昨年の日本選手権で1m82の自己新で2位。これは、2001年以降では学生最高記録。今年2月のアジア室内で1m80(5位)、4月の和歌山では1m75で優勝している。1m85前後を跳んで優勝記録の低下を避けたいところ。最低限、今後1m90に近づいていくきっかけをつかんでほしい。
06年に1m81を跳んでいる藤沢潔香が、三村を追う一番手。4月のオーストラリア遠征で1m75を跳んでいる。東京選手権で1m74の今城瞳がリスト3位で続く。
東日本実業団の藤沢潔香が1m75、関西インカレの三村有希は1m71。
●女子棒高跳
昨年優勝の近藤高代と、一昨年優勝の我孫子智美の対決になりそう。
織田記念で4m00が跳べなかった近藤は、5日後の奈良県選手権で4m10。大阪GPでは4m20と調子を上げてきた。練習の進行が遅れ、「突っ込む感覚が噛み合わなかった」のが織田記念の失敗原因。「走れているし、これから色々な感覚を戻します。アジア大会前に日本新を」と、情熱は衰えていない。
一方の我孫子は織田記念で4m30に挑戦した際、一番長い14.6フィートのポールを使った。「去年の4m22(学生記録)のときよりも“立ち”がよかった」と手応え十分。
中野真実は織田記念で4m00。「チャンスはある」と地元Vに懸ける。
関西実業団が前哨戦の様相を呈するかと思われたが、近藤高代が出場しなかった。我孫子智美が4m10で優勝し、中野真実が4m00で2位。2008年以降は4m15が最高にとどまっている中野だが、地元開催がプラスアルファとなれば、近藤・我孫子と互角の勝負に持ち込める。
日本記録保持者の錦織育子は結婚して南アフリカに移住した。織田記念では記録なしに終わったが、どう立て直してくるか。
●女子ハンマー投
和歌山優勝の綾真澄が62m14でリスト1位。「去年はターンに入るところでハンマーが左に出ていって、身体が追いつかなかったた」。パワーがついたことの裏返しでもある。「今年は身体が一緒に入るようになり、ハンマーのコントロールがしやすくなりました」
地元の日本選手権。「自己新も投げたい。それに向けてやっている」と話すことで、意識しすぎないようにしているのだろうか。
室伏由佳は兵庫リレーカーニバル前日に、地元で59m92を投げた。腰痛が続いてハンマー投の方の練習ができないことが多いが「最近になって感じが出てきた」という。
3位以下では武川美香と山城美貴がどこまで60mに迫るかに注目したい。
関西実業団の綾真澄は63m20の今季日本最高。
「65mが3年くらい出ていないのですが(2007年以降ない)、練習ではそれに近い距離が出ています。日本選手権優勝も目標ですが、自己記録(67m26・2006年)も更新したい」
「昨年はハンマーがどこにあるかわからないような状態でした。昨年の東アジア大会からターンへの入りを変更して、ハンマーに体が追いついています」と、日本選抜和歌山の際に話していた。65mはなんとか越えてほしい。
好調の綾とは対照的に、室伏由佳は中部実業団で58m92。同じ日に行われた円盤投は55m台とまずまずの記録。ハンマー投の方がまだ、以前いためていた腰に負担がかかるのだろうか。
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