2010/11/2 東日本実業団駅伝前日
女子は第一生命、三井住友海上が有力
渋井は10カ月ぶりのレース
3区の青山、赤羽、吉川らがカギを握る?

1区6.795km
2区3.1km
3区12.2km
4区3.8km
5区10.0km
6区6.3km


 有力チームの中では第一生命が1区・勝又美咲、3区・尾崎好美、5区・野尻あずさと、主要区間に主要メンバーをきっちりと起用できている。春にケガをして夏の練習も上手くこなせなかった垣見優佳がメンバーから外れたが、「悪いオーダーじゃない」と山下佐知子監督。
 三井住友海上がアンカー(6区)に渋井陽子を起用してきた。第一生命のアンカーは田中智美だが「格が違う」と山下監督。第一生命としては5区までに貯金を作りたいところ。
「(10カ月ぶりのレースとなる)渋井さんの状態がわかりませんが、背中が見えて『よっしゃー』と思われるのはいやですからね」

 その三井住友海上だが、1区・山下郁代、3区・大平美樹、5区・大崎千聖と渋井を欠いてもなかなかの顔ぶれ。2区に高吉理恵、4区に佐藤絵理が入るのだから相変わらず層は厚い。渋井が10km区間以外を走るのは、渡辺重治監督によれば2004年の東日本大会以来だという。「あのときは土佐(礼子)と大山(美樹)の調子が良くて、チームに余裕があってのアンカー。今回は“そういう力”のアンカーです」
 渋井は昨年の全日本実業団対抗女子駅伝後、「次の方向性が見えていなかったので、3カ月でも半年でものんびりして、方向性が見えたらやる」(渡辺監督)ということでチームの練習から離れた。
 合流したのは7月。
「現時点でマラソンがどう、オリンピックがどうという話はしていません。そのときどきで目の前の目標を設定し、自然の流れでオリンピックが見えてきたら目指せばいい。今、見えているのは全日本実業団女子駅伝だけです」
 ただ、恒例の昆明合宿では先頭を走ることもあれば、“ぽろっと”どの選考会に出ようかな、と口にすることもあるという。
 明日のアンカーで渋井が何を感じるか。

 昨年の優勝チームの豊田自動織機は新谷仁美が10人の登録に入らず、永田あやと小島一恵もメンバーから外れた。最長の2区は青山瑠衣で、これまでは短い区間に器用されることが多かった選手だが、今チームで一番走れているという。高校時代から32分台で走っていて、不安をもっての起用ではないようだ。
 5区には脇田茜が入っているし、1区には森彩夏、2区にはアン・カリンジと粒は揃っている。3区の青山次第では優勝争いに絡む可能性はある。

 レース展開を考えると、1区でトップに立つのは清水裕子を起用してきた積水化学か。勝又が絶好調なら第一生命かもしれない。2区は外国人を持つ豊田自動織機、ユニバーサルエンターテインメント、パナソニック、スターツが追い上げる。1区の差次第ではトップに立つ可能性もある。
 3区では赤羽有紀子(ホクレン)が一気にトップを奪うか。面白いのはパナソニック。7月に5000mで15分28秒44の自己新と、長い距離にも対応し始めた吉川美香を最長区間に起用してきた。「2月の唐津で10kmも経験していますし、夏にものすごく距離を踏めたので」と倉林俊彰監督。吉川が1人で行けるかどうかは未知数だが、赤羽や尾崎、大平、藤永佳子(資生堂)らの有力選手に食い下がり、最後で前に出る可能性はある。

 4区以降は優勝候補の第一生命や三井住友海上が出てくることになる。豊田自動織機のほかではユニバーサルエンターテインメントや資生堂も、選手の状態次第では優勝争いに加わることができる。ユニバーサルエンターテインメントは佐伯由香里と原裕美子を起用できなかったが、2区のワンジュクでトップに立つ可能性は高く、3区の堀江知佳の走り次第ではひょっとするかもしれない。


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