2010/12/5 福岡国際マラソン
“トラックの松宮”から“マラソンの松宮”に
コンパクトなマラソン仕様の走りに


 日本人トップとなった松宮隆行(コニカミノルタ)の動きが、トラックをバリバリ走っていた頃とは違っていた。見た目でわかったのは、肩の揺れが少なくなり、腕振りも左右均等でコンパクトになったこと。
 酒井勝充監督に確認すると、上半身だけでなく、下半身の動き(ストライド)も同様にコンパクトになっているようだ。
「トラックの時のような無駄な動きをしていたら、1万mならもってもマラソンではもちません。マラソンをやるなら腰の辺りをしっかりと安定させて、動き全体をコンパクトにしないといけない。(以前のマラソン練習では)いつも、ふくらはぎが張ると言っていました。ふくらはぎを使って蹴るのではなく、体幹に近い筋肉で動かす方がマラソンにはいい。コンパクトにして跳ぶな、と言ってきました」

 松宮自身にも確認すると、「特にマラソンのためと意識して動きを変えているわけではありませんが、JISSで動きづくりをやっているので、その成果が出ているのかもしれません」という回答だった。
 こちらの質問を、レース中に意識しているのか? と受け取ったのかもしれない。
 酒井監督は「(練習で)長い距離を走ることで、自然と体得したのではないか」という。

 このあたりは、松宮同様トラックの日本記録保持者だった高岡寿成(カネボウ、現コーチ)が、マラソンに進出していった際の経緯と似ている。
 松宮は下の表にもあるように、2007年のロッテルダムから今年のロンドンまで3年間、「マラソンを封印した」(松宮)という。2007年7月のナイトオブアスレティックで13分13秒20と5000mの日本記録をマークし、大阪世界選手権、北京五輪とトラックに集中したためだ。
松宮隆行のマラソン全成績
回数 月日 大会 成績 記 録
1 2001 2.25 延岡 6 2.18.48.
2 2002 3.03 びわ湖 62 2.24.10.
3 2006 3.05 びわ湖 2 2.10.20.
4 2007 4.15 ロッテルダム 2 2.10.04.
5 2010 4.25 ロンドン 23 2.21.34.
6 2010 12.05 福岡国際 3 2.10.54.
 しばらく詳細不明の不調の時期もあったりしたが、北京五輪後はマラソンに照準を定めた。本来なら、今年のロンドンで「今回の動きができていなければいけなかった」と酒井監督は指摘するが、本格的にマラソン仕様の走りになった松宮の今後が期待される。


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