2010/12/3 福岡国際マラソン前々日会見
外国人選手編
ガリブとケベデは2時間6分台、5分台も視野に
バラノフスキーは独特のマラソン観を披露


「練習への自信とつねに前向きな姿勢が、いつまでも活躍できる理由」(ガリブ)
「福岡は肯定的に物事を考えられる場所になりました」(バラノフスキー)

Q.(代表質問)ガリブ選手は世界選手権で2連勝していますし、北京五輪も2位でした。38歳の今もなお活躍できている理由は何ですか。また、前回(2006年)の福岡は3位でしたが、どんな意気込みで今大会に臨みますか。
ガリブ なんと言ってもまず、練習を重ねることです。それからモチベーションをいつも保つこと。練習への自信とつねに前向きな姿勢が、いつまでも活躍できる理由じゃないかと思っています。確かに前回の2006年の出場時には3位に終わっていますが、今回はまず1位になることを狙っています。
Q.(代表質問)福岡は過去3回、すべて良い結果が出ていますが(2005年優勝、06年2位、09年3位)、今年のボストンや去年の日本のレースでは良くありません。どうして福岡で良い走りができるのでしょうか。
バラノフスキー 2005年に初来日して優勝したときは、まだマラソンを始めた頃で、どんなレースになるかわからなかった。そこで幸運にも優勝でき、人生の大きな転機になりました。そのときから福岡には不思議なオーラを感じています。良い気分になるというか、高揚感に包まれるというか、肯定的に物事を考えられる場所になりました。福岡の街の雰囲気と2005年の優勝が、あと2回の出場を支えてくれた。ここに来るたびに自分の街のような気がしています。
Q.(代表質問)今回も良い走りができる準備が、過去3回と同じようにできたでしょうか。
バラノフスキー ジャーナリストの皆さんの質問を受けるのは2005年、06年、09年に続いて4回目になります。毎回同じ質問をされて、ほとんどのジャーナリストの方が私の回答をご存じでしょう。レースは何が起こるかわからないものです。今回、良い練習を積んできましたが、スタート前に具体的なタイムや順位は言わないようにしています。言うことができないんです。レースでは何が起きるかわからないからです。レース当日、終わってみないとわからないことなんです。4回目も同じ話で申し訳ありませんが、今年もレースの結果を楽しみにお待ちください。
Q.(代表質問)ケベデ選手は最近全て自己新で走っていますが、今回自己記録をどのくらい更新できると考えていますか。
ケベデ この大会は初めて2時間7分台を出したレースですので、今年も良いレースをしたい。具体的には2時間6分台を目指しています。
Q.(代表質問)エチオピア代表になるにはどのくらいの記録を出さないといけないとお考えですか。
ケベデ 日曜日のレースでタイムが出せるかどうかわかりませんが、世界選手権やオリンピックに選ばれるには、エチオピア陸連の要望に応えるためにも、もう1大会くらいレースに出ないといけないと思う。フラットなコースでタイムを出すことを、1月以降に考えたい。

「テグは今のところ参加を見送る予定です」(バラノフスキー)
「賞金を得ることで、家族全員の生活が変わりました」(ケベデ)

Q.走り始めたのが22歳とすごく遅いのですが、走り始めた理由は?
ガリブ 元々は陸上とは関係のない世界で、町で友人とサッカーをするくらいの生活をしていました。たまたま1994年にテレビでマラケシュ・マラソンを見て、自分も走ろうかなと思ったのがきっかけです。本当にそれはきっかけにすぎなくて、そのあと2〜3年トレーニングを積むと、自分のレベルがいいところに行っていると気づき、世界大会にも出られるようになりました。世界選手権で良い成績が出るようになり、弾みがついて、希望を持てるようになり、今に至っています。
Q.オリンピックや世界選手権でも福岡と同じような走りができれば良い順位を取れると思うのですが、テグの世界選手権やロンドン五輪への思いがあればお教えください。
バラノフスキー 私は夏の暑い時期のマラソンが苦手で、これは体質によるものですが、テグはおそらく温度も湿度も高くなり、自分向きの環境ではないと思います。今のところ参加を見送る予定ですが、時間もあることですし、何かが変わって出ることになるかもしれません。ただ、真剣には考えていません。
Q.ケベデ選手はプロのマラソンランナーとして、福岡やボストンで好成績を挙げて家族を養えるようになったと思いますが、暮らしはどのくらい良くなりましたか。
ケベデ 確かに生活をしていく上でお金は必要なもの。大会で賞金を得ることで、私だけでなく兄弟、妻も含めて家族全員の生活が変わりました。
Q.ケベデ選手は福岡、ボストンと2時間5分台がが出たレースで2位でしたが、2時間5分台というタイムについてどう考えていますか。また、ケニア選手との違いを何か感じていますか。
ケベデ 速いレースを走って優勝するには多大な努力が必要です。その努力があるから速く走れるのです。次にまたボストンに出るかもしれませんが、そのレースでは同じように速いタイムを出せるように私も努力を積んでいきたい。ケニアとエチオピアの違いは、高地トレーニングを多くしているかどうか、グループとしてトレーニングをしているかどうかが指摘できると思う。

「福岡で良い走りができたからといって、そのあとにつながるものではない」(バラノフスキー)
「福岡のような大きな大会で結果を残すことが、オリンピックや世界選手権につながります」(ケベデ)

Q.今回の福岡は2012年のロンドン五輪に向けどんな位置づけになり、どんなステップとしたいですか。
ガリブ どの試合もそうですが、私にとって福岡はその結果をもって、自分の今のコンディションを分析する良い機会にもなります。今後のテグやロンドンに向け、福岡がこうだったから来年、再来年とこういう準備をしよう、練習をしようと考える1つの指標になります。
バラノフスキー マラソンは難しい種目です。福岡で良い走りができたからといって、そのあとにつながるものではないと考えています。今回の結果をもって、次のどの大会に備えるというものではありません。そこが自分と、他の選手との違いだと思います。もう1つの理由(?)は福岡のマラソンが大好きで、福岡の街が大好きだということです。今回招待してくれた関係者に感謝していますし、今後もぜひ招待してもらいたい。私はマネジャーとその年のレースを決めるとき、まず第一に秋のマラソンから決め始めますが、福岡に呼んでもらえるかどうかを第一に考えています。これまで良い結果を出せていますし、福岡は自分の街のように思っています。私を呼んでくださる間は、福岡の方々が愛してくれる間は、福岡の関係者の期待に応える走りをしたい。
ケベデ オリンピックや世界選手権を目指すにあたって、福岡のような大きなレースがとても重要な位置を占めます。オリンピックや世界選手権でメダルを取るのは、すべてのランナーの大きな夢です。その前段階として、福岡のような大きな大会で結果を残すことが、オリンピックや世界選手権につながります。

「おそらくロペスさんよりも良いタイムが出せる」(ガリブ)
Q.ガリブ選手の記録的な目標は? カルロス・ロペス選手の持つ38歳世界最高の2時間07分12秒を目標にしますか?
ガリブ 自分がやってきたトレーニングを振り返ってみると、おそらくロペスさんよりも良いタイムが出せると思います。少なくともそのキャパシティはある。38歳の年齢でというよりも、レースに出場するごとに自己記録よりも良い記録を出せるんじゃないかと思って出場しています。タイムを出すには条件がありますが、気象条件が良ければ2時間6分台、5分台も夢ではないと思っています。


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