2010/5/15 東日本実業団1日目
春季GPで不調だった2選手が復調
         
鈴木&吉川
日本選手権に向け好感触


 春季GPで不調だった2人が復調した。
 男子棒高跳は織田記念で5m20(4位)にとどまった鈴木崇文(チームミズノアスレティック)が5m40で快勝。女子1500mは兵庫リレーカーニバルで3位と敗れた吉川美香(パナソニック)が4分18秒99で日本人トップとなった。

@鈴木崇文
「5月に入って最後までしっかり走れるようになった」
 織田記念で失敗した5m20から跳び始めると、5m20、40と1回目でクリア。5m50は3回ともクリアできなかったが、「3人に差を開けられていましたが、やっと良い感触が出てきました」と安堵の表情を見せた。

 鈴木は4月の静岡県東部選手権では5m20から跳び始めて記録なし。そして織田記念が5m20。出遅れたのは冬期のケガが原因だった。2月に左脚付け根付近を肉離れ。走れるようになるまで1カ月半を要した。
「跳躍練習も始めていましたが、良い感覚ではありませんでした。織田記念は最後の5〜6歩でリズムが落ちて、ポールに力が伝わらなかった。5月に入って最後までしっかり走れるようになったのが上向いた要因です」

 走れなかった間、手をこまねいていたわけではない。
「筋トレはやりました。僕はウエイトよりも補強系が多いですけど。手押し車とか、倒立とか。棒高跳で使える動きにつながるメニューです。体操の吊り輪とかもやりました」
 その成果が、硬いポールを使えることになって表れた。
「去年はフレックス16.5のポールで“立たないな”と感じることも多かったのですが、今日は16.2のポールを使うこともできました。今日はアップライトが70でも流れてしまって。軟らかくなってしまっています」
 ポールの長さは現在16フィート5インチ(5m)だが、「16フィート9インチ(5m10)に変えようかとも考えています。練習で1回曲げることにも成功しています」と、さらに上のポールを使いこなす手応えがある。

 今季は日本記録保持者の澤野大地(千葉陸協)が好調で、織田記念ではクリアした5m70までを全て1回目で越えていった。2位の笹瀬弘樹(早大)も自己タイの5m50を成功。同学年のライバルでもある荻田大樹(チームミズノアスレティック)は織田記念こそ記録なしと失敗したが、直後の香川県近県カーニバルで5m50に成功した。
 鈴木1人が取り残されている状況だったが、今回の5m40で戦えるメドが立った。
「澤野さんにはまだ勝てませんが、2人には負けるつもりはありません」
 ワンテンポ遅れはしたが、昨年の世界選手権代表が日本選手権での2位争いに参戦態勢を整えた。

A吉川美香
ラスト300 mは自己最速の45秒台
 兵庫リレーカーニバルで吉川美香(パナソニック)が3位と敗れたのが気になった。
1位・野村友香里(中大)4.20.57
2位・山下沙織(ホクレン)4.21.36
3位・吉川美香(パナソニック)4.21.61
 レースは見ていないが、得意のラスト勝負で敗れたようだった。
 その吉川が東日本実業団では復調していた。アン・カリンジ(豊田自動織機)に0.70秒差の4分18秒99。最後の直線で追い込んだが届かなかったが、ラスト300 mは45秒台で自己最速で上がってきた。

 兵庫の敗因は4月20日まで行った昆明合宿で体調を崩したことだった(兵庫は4月25日)。3日間練習ができず、その間に体重が3kg落ちてしまった。「体が浮いてしまったり、脱水症状のようになったり。(兵庫は)4分22秒でもいっぱいいっぱいいでした」(吉川)。それでも「大学生に負けることは、あってはならないこと」と、日本選手権4連勝中のプライドを見せた。

 しかし、原因がわかっていただけに「気持ち的には切り換えができた」(倉林俊彰監督)という。兵庫の後の菅平合宿で「体調とスピード感を戻すことができました」と、吉川も自信を取り戻して東日本実業団に臨んでいた。
「4月とは違います。日本選手権につながる良い感覚をつかめました」

 日本選手権で小林祐梨子(豊田自動織機)が1500mと5000mのどちらに出場するかは未定だが、吉川は対決を望んでいる。
「出てきてほしいですね。連勝も懸かっていますけど、自分が万全の体調で負けたら仕方のないこと。去年は1人でタイムを相手に走りましたが、“戦う日本選手権”にしたいんです」


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