2010/2/14 千葉国際クロスカントリー
Aジュニア男子は1万m高2最高記録保持者の西池が快勝
2位に3年生・大迫、4位に1年生両角
異なる学年の選手が刺激に
ジュニア男子は昨秋の国体に高2最高記録(28分39秒04)で優勝した西池和人(須磨学園高2年)、全国高校駅伝1区区間賞の大迫傑(佐久長聖高3年)、昨年の中学生の部優勝の両角駿(佐久長聖高1年)と、学年の異なる3選手が日本人1〜3位を占めた。
優勝したのは西池で残り0.5kmくらいでリードを奪い始め、大迫とS・カルノ(仙台育英高)を振り切った。大迫もカルノに2秒先着。両角は本田匠(九州学院高3年)、市田孝(鹿児島実高2年)という先輩選手の追い上げを許さず、その2選手に2秒先着した
西池は国体での快記録で全国高校駅伝では1区区間賞候補だったが、大迫に23秒差の区間6位。故障の影響でトラックシーズンは振るわなかった大迫が、駅伝でしっかりと走ってきたからだが、西池も力を出し切れなかった。
「区間賞を取った大迫さんをはじめ、自分より上手(うわて)の人が5人いたということ。その人たちに勝ちたいと練習を積んできました」
1月の全国都道府県対抗男子駅伝では1区で区間2位。服部翔大(埼玉栄高3年)に3秒届かなかったが、大迫たちには先着した。そして今大会では国体と同様、留学生選手にも競り勝った。
「気持ちの面で、この大会までに成長があったのだと思います」
練習内容よりもメンタル面を好走の要因に挙げた。
両角駿は上級生に強いメンバーが揃っていたこともあり、「世界クロカンまでは意識していなかった。こんな良い順位でちょっとビックリしています」と言う。それよりも、1月の全国都道府県対抗男子駅伝の悔しさを晴らすことを考えていた。
連覇のかかった長野県チームの1区を任される予定だったが、感染性胃腸炎で体調を崩して欠場を余儀なくされた。長野は1区の大迫こそ区間5位と踏みとどまったが、高校生区間の4、5区が手薄となって順位を大きく下げてしまった。アンカーの佐藤悠基(日清食品グループ)が区間賞の走りを見せたが5位に上がるのが精一杯だった。
「家でテレビ観戦していました。その悔しさが(今日のレース中)人数が絞られたときに強く出てきて、粘ることができたのだと思います」
今回は1年生ということで優勝争いは意識していなかったが、2年生となる今季はしっかりと勝負に絡んでいきたいと考えている。
「昨シーズンは2位が多かったので、今季は優勝できる選手になることが目標。ラストの走りが課題です」
今回勝った上級生たちは全国大会のトップ級。高校生のレースで優勝争いをする力はつけつつある。
西池が一番の目標としているのが村澤明伸(東海大1年)だという。
今季の活躍の紹介は省くが、村澤は前回のジュニアの部の優勝者。佐久長聖高のエースとして全国高校駅伝優勝時には3区日本人最高(当時)をマーク。全国都道府県対抗男子駅伝、そして千葉国際クロスカントリーと圧倒的な強さを見せた。佐久長聖高の先輩の上野裕一郎や佐藤悠基に匹敵すると両角速監督も評価した。
積極的なレース展開が身上で、世界クロカンでもアフリカ勢に果敢に勝負を挑み、日本選手最高順位の27位に入っている。遠征中も自身でしっかり考えて行動できる選手と、ユニバーシアード遠征時のスタッフが話していたことがある。
西池自身は昨年の世界クロカン44位。
「正直、雰囲気に飲まれていました。日本食がないとダメだと思ってしまったり、レース以外の面でも通用しなかった」
村澤のレースや遠征中の行動に接して、感じるところが多かったのだろう。今大会を村澤が欠場したため一緒に走れなかったことを残念がっていた。
「福岡(国際クロスカントリー・2月末)に出てきてくれたらしっかりと勝負をしたい。現時点で勝てるかといったら、わかりません。そうなったら、自分の現在の練習では勝てないことをしっかりと受け止めます」
佐久長聖高で1学年下になる大迫は、村澤のことを意識しないわけはない。1学年下の西池も同じだろう。全国高校駅伝でこそ西池に勝ったが、国体と今大会では完敗している。
「福岡国際クロカンでしっかりとリベンジしたい。4月からは大学(早大)で競技を続けますが、さらにレベルの高い先輩がたくさんいます。クロカンを通じて力をつけ、春のトラックシーズンにつなげたい」
福岡でリベンジしたい相手は西池であり、“レベルの高い先輩”に村澤が含まれているのは間違いないだろう。
西池は2010年の目標を次のように語った。
「今年は最終学年。強い先輩たちのようになりたいし、両角君たち追ってくる選手も多い。初心に戻って、勝ちたいという気持ちを強く持ってやっていきたい」
ただ、目標記録を問われても「記録は二の次三の次」と強調した。
高2最高の上となると高校記録となる。5000m13分39秒87(佐藤秀和)、1万m28分07秒39(佐藤悠基)でレベルが高すぎる。そこを意識してやっていくのはきついだろう。
西池は自身の競技スタイルだと言う。
「強い選手に挑戦して勝ちたい、とずっと思ってきました。中3で全国大会に入賞して陸上競技が楽しくなってきました。上の選手と戦ってきて感じたこと、先生から学んだことが記録よりも、勝負にこだわることでした」
見ている側としては記録も期待したいところだが、近年の高校生のレースは5000mなら14分20秒かかることはない。
大迫も記録的なことよりも、先輩選手たちとの勝負を意識するという。すでに13分台と28分台を出しているので、学生のレースなら優勝争いをすることも可能だろう。
両角だけが今年の目標記録として「5000mの13分台」を挙げた。13分台は先輩の大迫が高校2年時に出している記録であり、そのタイムを出す力があれば、勝負に集中することもできる。
寺田的陸上競技WEBトップ
|