2010/2/6 別大マラソン前日
注目の三津谷、佐々木、堺
会見以外のコメントを中心に
佐々木が向かい風にも自信、三津谷対策もイメージ
外国勢も含め、会見では多くの選手が風のことを気にしていた。そのなかで佐々木悟(旭化成)だけが少し違っていた。
「風のあるところでいかに苦手意識を持たずに行けるか。それができれば心理的に優位に立てる。まだ2回目のマラソン(佐々木、堺のマラソン歴はこちら)。そういうところを試したい」
風を怖がらなければ、自分からロングスパートをかけることも可能になる。
「ペースメーカーがいるうちはみんな大人しくしていると思います。いなくなってからどうなるか。牽制するのか、しないのか。自分の体を見て、行けそうであれば自分から仕掛けたいと思っています。変にブレーキを掛けず、行けると思ったら行きたい」
気になるのは三津谷祐(トヨタ自動車九州)だという。自分と違って「トラックのスピードがある」というのがその理由。そういった選手に勝つには? の質問には次のように答えていた。
「意外なところで仕掛けて、あとは粘ることだと思います。最後には向こうの脚も止まると思うので、そのときに自分がどう対応できるか。いかにプレッシャーをかけられるか。向こうが脚が動いているつもりのときに、『こいつ離れないな』と思わせられたらいいですね」
佐々木がどこで仕掛けるかが、焦点の1つになりそうだ。
三津谷はラスト勝負に自信。マラソンで重要な“我慢”
一方の三津谷は、ラスト勝負に持ち込めば優位に立てると考えている。30km以降に自身の強さをどう発揮できそうか、という問いに対し次のように答えた。
「粘って粘って、ラストまで行けば確実に勝てます。そこまでどう持っていくかが明日のポイントです。最後は自信があるので、そういう展開に持ち込みたい。性格的に前に出たくなるシーンもあると思いますが、そこは冷静になって、我慢して我慢して行きます」
三津谷にとってマラソン練習は、色々な意味で“我慢”を覚えるための練習だったようだ。まずは、距離走でペースが遅いと感じたときの我慢の仕方。40km走は5回行ったが、最初の2回くらいまでは「跳んでしまって脚に来る感じが残った」という。
「あー、(もっと速く)行きたいな、という気持ちになることも多く、よくないときは跳ねてしまっていました。それがマラソン練習の後半はなくなって、落ち着いてしっかり走れるようになりました」
苦しくなってからの我慢の仕方もイメージできるようになった。
「昨日も(コース下見の)車の中で監督が話をしてくれましたが、マラソンで成功するかしないかは我慢次第だと思います。体がきつくなったときに我慢して押していく。守りに入らず攻めていけるかどうか。昨年2月に30kmを走ったときの後半何kmかが、そうでしたからイメージできました。きついけど動かしていかないと勝てません」
その我慢の仕方にも「単にきついときと、脚に来ているとき」の2つがある。耐え方が違うという話を、レース展開についても話しながら森下監督としたという。
三津谷の我慢がどこまでマラソンで通用するかが、優勝の行方を左右する。
マラソン3回目の堺は2時間10〜12分が目標。北京の失敗を糧に
一般参加のなかで最も注目を集めるのが、ニューイヤー駅伝の4区で佐藤敦之(中国電力)に次ぐ区間2位で走った堺晃一(富士通)だ。会見前のカコミ取材で、目標とレース展開について次のように話していた。
「30km過ぎにペースメーカーが外れてから動きが出ると思います。そこから粘って、35〜37kmくらいで勝負ができればと思っています。余裕があればどんどん行きたいです。風によって変わってきますが、2時間10分から12分では走りたい。最低でも自己新は出したい。順位的には入賞が最低目標です」
10月の北京マラソンは2時間14分29秒と不本意な結果だった。「初めての海外ということで、走り方がよくわからなかった」と、レース当日のメンタル面などで課題が浮き彫りになった。練習面でも反省点があった。だが、その北京マラソン、ニューイヤー駅伝、そして今回の別大とつづく流れを、トレーニングとしてとらえている。
「北京マラソンを練習ととらえて、そこからニューイヤー駅伝に向けてスピードを強化して、ニューイヤーが終わってからは走り込みという流れです。ニューイヤー駅伝は最初の5kmを、追い風もあって14分台ヒト桁で突っ込み、その反動で腰に痛みが出ましたが、それも完治して予定通りに練習が積めました。北京前には1カ月で40km走を5回やりましたが、脚を痛めてしまった。今回は疲れをためない調整をしてきました。ニューイヤー駅伝後の40km走は1回だけです」
過去の失敗の原因をしっかりと見極め、練習も“やればいい”という方向に行かなかった。堺の3回目は期待できそうだ。
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