2009/8/16 世界選手権2日目
コメント集A塚原直貴
塚原のコメントからわかる100 m準決勝の重圧と
ファイナリストへの強い思い
「今までのレースの中で、後ろのラウンドでタイムを落としたことがないんです。どこかに原因があると思うのですが、把握しきれていません。(初めて)ファイナルを狙って走ったレース。気持ちのなかでは、無欲で臨めたら……だったんです。自分のレーンのみ突き進んでいこうと。でも、どこかしらに気負いとか、見えない部分で影響されていたのかな、と思います。
(前半は)横にフレーターがいて、同じようにリズム良く乗っかっていったんですけど、50mあたりを過ぎから力が入らなかった。フロート状態で、前に行くけど『おかしいな、おかしいな』という感じでした。足だけは回っているけど、力が入らない。
(ゲイやパウエルと一緒の組だが)狙ってきた以上は自分はお客さんじゃない。『オレもいるんだよ、相手しろよ』という気持ちで走りました。決しておごる気持ちじゃなく、セミファイナルというラインに立った16人の1人として、タイムはどうであれ、セミファイナリストという1つの肩書きをいただけたわけですから、そのチャンスを生かしたかったんです。でも、北京に比べてもレベルが高いと思うんです。2次予選を10秒16じゃないと通らないのですから。
(準決勝出場の外国人選手たちからは)あまり相手にされてなかった感じですが、不思議がられていた雰囲気もありました。『あれ、またコイツいるな』という感じでニヤニヤされていたり。特に話しかけたりすることはなかったのですが、2次予選を終わった後にエドワーズから「セミファイナル?」と聞かれたので、「イエス」と答えました。少しずつ顔を覚えてもらって、それとともに僕の歩みも、世界の頂点に近づけるようにしたい。限りなく遠いですけど。
(北京五輪のリレーのときとは違ったスタート前の仕草、集中だったのは)ああいう感じにはできなかったですね。なんなんでしょうか。4人でできるリレーとは、精神的な安定感がまた、別なのかもしれません。何をやっても自分に返ってくるというのがあって、それに怖じ気づいたのかもしれません。下手に力を使ったらいけないのかな、という気持ちが働いた可能性もあります。
どこかしら、(日本選手権で)ケガをしたことからのこれがあります。(これというのは)不安要素を体が訴えてくる。患部でなくても、お尻とかからでもちょっとしたシグナルが来ると、その情報を拾ってしまうんです。実際にピクッと来たわけではありませんが、ケガが明けてから1カ月足らずですから、敏感になっています。意識していたわけではありませんが、体の情報を拾ってしまうんです。
(今年取り組んでいるスタートを)今日の失敗でちょっとぶっ壊すキッカケになりました。真似事でここまで来ていましたが、もう1ひねり、2ひねりしたい。前半でもう1、2過程修正を加えれば大丈夫です。
実は準決勝で突然、スタートを変えたんです。そういうことができるから、*****先に行く。準決勝のアップが終わってアサファのダッシュを見ていて、これは使えると感じました。(これまでと同じ)ジャマイカ式ですが、やつのオリジナルの部分を借りました。それを準決勝という場で試せたのはよかったですね。今までが0なら1、10なら11の方向に行っている。
(決勝への壁は)まだここでは、軽はずみには言えません。1つ2つ壁がある。去年感じた壁と、今年感じた9秒台とファイナルまでの歩みのなかで感じた壁は(違っていて)、世界のレベルが上がっているなというのが率直な感想です。それに追いつくのが使命だと思うんですよね。11年も日本記録が変わらないというのは、それだけ世界との差がどんどん離れていることだと思うので。シーズン序盤にも言ったんですけど、出せるときに出せないと本当に出せなくなるんですよ。出し惜しみはしていないんですけど、もういくつか条件を自分のなかで揃えたいなと思います。くそー。
リレーは僕は大丈夫です。若手が元気よく、しっかり走れば。
どこが楽しかったかというと、スタートラインに立つまででした。その後は殺し合いでしたね」
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