2009/3/20 東京マラソン2日前会見
藤田と中尾が好調ぶりをアピール
藤田は
練習拠点を移した後の取り組みに、
中尾は
“感覚”を重視した練習に自信

 東京マラソンの主要選手会見が20日午後、新宿の京王プラザホテルで行われた。
 世界選手権選考のかかった男子エリートの部からは、高岡寿成(カネボウ)、藤田敦史(富士通)、尾方剛(中国電力)、中尾勇生(トヨタ紡織)の4人が出席。現在の状態や練習のこなし具合、レースの抱負などを語った。

 練習の消化具合、現在の状態とも良好と思われるのは、藤田と中尾だ。
 藤田はこの「1年間の準備」という言い方で、自身の好調を強調した。
「この1年の間に拠点を千葉に戻したことで、自分自身を客観的に見られるようになりました。今までは、やらなくちゃという強迫観念が強かったのですが、後輩の面倒を見たりアドバイスをするなかで、自分に当てはまることがあると気づきました。それを続けているうちに自分を客観的に見られるようになり、体調が悪いのに無理をすることがなくなりました。体調の変化にも敏感になりました。それで故障も減り、駅伝でも結果が出ました」
 2時間06分51秒の日本記録(当時、現歴代2位)を出した2000年の練習と比較してどうか、という質問には次のように答えていた。
「練習自体は2000年の方ができていたと思います。ただ、現在の状態がどうかといえば、今回の方が良いと思います。2000年はレースの2週間前にピークが来て、当日は落ち気味のなかで走りました。今回は、レース当日に調子を合わせられる」
藤田のマラソン全成績
回数 月日 大会 順位 記録
1 1999 3.07 びわ湖 2 2.10.07.
2 1999 8.28 世界選手権 6 2.15.45.
3 2000 12.03 福岡国際 1 2.06.51.
4 2001 8.03 世界選手権 12 2.18.23.
5 2002 3.17 東亜 1 2.11.22.
6 2005 3.06 びわ湖 10 2.12.30.
7 2005 12.04 福岡国際 3 2.09.48.
8 2006 12.03 福岡国際 8 2.11.50.
9 2007 2.04 別大 1 2.10.23.
10 2007 12.02 福岡国際 8 2.12.29.

 中尾は会見に臨んだ4人の中では持ちタイムが著しく悪い。それだけ、世界ハーフマラソンや駅伝での好走から、期待がかけられている。ライバルチームの監督からも「中尾がいいんじゃないかと思う」という声が挙がっているほどだ。
 その中尾は練習中のタイムではなく、“感覚”を重視するやり方で臨もうとしている。
「タイムや距離を追わずに、感覚を重視してやってきました。タイムを設定するのでなく、今日は8割で追い込もう、とか、今日は100%で行こう、とか」
 マラソン経験がないのに、そのやり方で不安はなかったのか。また、いつから、その方法をとるようになったのか。会見後のカコミ取材で、そこを問われた。
「不安は、若干あります。気を抜くといくらでもさぼれてしまいますから。でも、日本選手権の1万mも世界ハーフマラソンも、そのやり方で成功しましたし、練習メニューの流れは、佐藤(信之)監督に相談しながらやっています。このやり方は、昨年のびわ湖で失敗してから取り入れました。あのときは、入り込みすぎていました。今回は楽しむとまではいかないまでも、リラックスして臨みたいと思います」
中尾のマラソン全成績
回数 月日 大会 順位 記録
1 2007 9.09 北海道 12 2.23.29.
2 2008 3.02 びわ湖 124 2.38.16.

 好調ぶりがうかがえる藤田と中尾だが、100%不安がないわけではない。
 藤田は今大会に向けた合宿を奄美大島で数回行なった。「途中で疲労が出たりして、全体を通してみると順風満帆ではなかった」という言い方をした。
 中尾は過去2回のマラソン経験があるが、マラソンを走りきったといえるレベルではなかった。「30km以降の感覚は自分でもわかりません。30km以降をしっかりと意識して、先頭に付いていきたい」という言い方だった。
 蓋を開けてみないとわからないのがマラソンである。


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