2009/5/9 国際グランプリ大阪
吉川が4分10秒79のセカンド記録
B標準への課題は2、3周目のペースか?


 吉川美香(パナソニック)が残り300 mでスパート。最後はハンブリン(ニュージーランド)に競り負けたものの、4分10秒79のセカンド記録で2位と健闘した。吉川の自己記録は07年の今大会で出した4分10秒00。昨年は4分12秒台が2回と悪くなかったが、標準記録突破にはちょっと開きがあった。
「久しぶりに良いレースができ、良い感覚もつかめたのでよかったです。(中盤を)楽に押せてラスト300 mを追いかけなくとも、キレのあるところを目指して行くことができました」

 下の表は今回の吉川と、3年前に小林祐梨子が4分07秒87(日本歴代2位。当時日本記録)の100 m毎タイム分析である。2人の違いはタイプの違いなので良し悪しを論ずることはできないが、ラスト300 mのスピードが吉川の持ち味である。そこまで先頭争いについていれば、今回のレースで見せたようにスパートをして勝負をすることができる。相手の力量にもよるが、5〜10mくらい差をつけられていても逆転することができる。

吉川の大阪GP2009            小林の大阪GP2006
距離 通過 100m毎 300m毎 400m毎 距離 通過 100m毎 300m毎 400m毎
100 00:16.1 00:16.1     100 00:16.28 00:16.28    
200 00:31.7 00:15.6     200 00:32.42 00:16.14    
300 00:48.3 00:16.6 00:48.3   300 00:49.13 00:16.71 00:49.13  
400 01:05.4 00:17.1   01:05.4 400 01:05.92 00:16.79   01:05.92
500 01:22.7 00:17.3     500 01:22.80 00:16.88    
600 01:40.0 00:17.3 00:51.7   600 01:39.57 00:16.77 00:50.44  
700 01:57.5 00:17.5     700 01:56.25 00:16.68    
800 02:14.9 00:17.4   01:09.5 800 02:12.69 00:16.44   01:06.77
900 02:32.4 00:17.5 00:52.4   900 02:29.25 00:16.56 00:49.68  
1000 02:49.8 00:17.4     1000 02:45.80 00:16.55    
1100 03:07.0 00:17.2     1100 03:02.32 00:16.52    
1200 03:24.2 00:17.2 00:51.8 01:09.3 1200 03:18.84 00:16.52 00:49.59 01:06.15
1300 03:39.9 00:15.7     1300 03:35.29 00:16.45    
1400 03:55.2 00:15.3     1400 03:51.64 00:16.35    
1500 04:10.30 00:15.1 00:46.1   1500 04:07.87 00:16.23 00:49.03  
※JAAF・スタティスティクス・インフォメーションズの手動計時

 しかし、課題もある。2周目、3周目のスピードダウンの大きさである。吉川自身、B標準(4分09秒00)への課題を問われ、次のように答えた。
「2、3周目を自分からガンガン行ければ、4分ヒト桁は出せると思います」
 これは、小林のように1分06秒で行くという意味ではない(と思われる)。そこまでして、自身の型を崩してしまったら、最後のスピードという持ち味を殺してしまう可能性がある。最後にスピードできる力を残しながら、中盤を少しでも早くする。今より3秒早くしなくても、1秒ずつ短縮すればB標準には届く計算だ。

 今後は5月末のゴールデンゲームズinのべおかで5000mの標準記録突破を狙う。1500mは日本選手権本番がラストチャンス。
「2年前も5000mの練習をしながら4分10秒00で走りました。世界選手権は自分らしく走れる方で出たいですね。その前に1500mも5000mも、2年前の自己記録を更新していません。まずは以前の自分を超えたいと思います」


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