2009/5/3 静岡国際
金丸がセカンド記録の45秒27
動きを“400 m仕様”に変更し、44秒台に好感触
「振り出しが小さくなり、後ろの動きを大きくしています」
男子400 m2組は金丸祐三(法大)が200 mを21秒67(手動非公式計時)で通過し、300 mでは完全にリード。最後の直線も差を広げて、自己新の46秒02(筑波大タイ記録)を出した石塚祐輔に、0.75秒差をつける45秒27でフィニッシュした。
「200 mの通過がそれなら、遅くはありません。記録を狙って攻めていきました。300 mまでも上手く走れましたし、ラストもきついなかで押していけました」
金丸にとって、昨年の静岡国際で出した45秒21に次ぐセカンド記録だったが、喜ぶ素振りはなかった。
「まあまあの記録ですけど、普通ですね。これくらいの記録が普通になってくると思います。44秒台も狙っていたんですけど…。」
昨年の45秒21は、会場のエコパに助けられた面もあった。周回するトラック種目は追い風となる部分が多いのが特徴なのだ。だが、今年は、女子400 mもそうだったが、向かい風の部分が多かったようだ(男子400 m1組は例外だったようで、学生陣に好記録が続出した)。
大阪高2年時から45秒台を続けている金丸。当時からトレーニングはショートスプリント用のものを行なってきた。長めの距離を走ることは苦手で、特徴である速い動きを殺してしまう可能性もあった。しかし、この冬から長めの距離で、スピード持久に主眼を置いたメニューも多くこなしてきた。
「短短ブロックから短長ブロックに変わって、距離も踏んで400 mへの体力をつけてきました。大学3年までは高校を基礎にして距離は少しずつ伸ばしてきた感じでしたが、それを思い切って移行しました」
それに伴い、動きも変えてきた。「動きを変えても、(記録への影響は)些細なものかもしれませんが」と前置きをしておいてから、金丸は次のように説明してくれた。
「高校の頃からヒザ下を振り出して(意識は振り出してはいなっかたが)、しっかりと地面をとらえて行く動きでした。自分の動きは振り出すのが持ち味であり、そこを基礎に考えてきました。100 m、200 mを意識したフォームで、その動きで400 mに生かせればとやってきました」
「しかし今は、前に出す動きよりも、後ろの動きが大きくなっているはずです。接地時間を長くして、タイミングをとらえていく。スピードは物足りない感じもするのですが、高いスピードを出しながらも力を温存できます。ピッチアップしないでも最後まで行けますし、タイミングをずらした中でも上手く地面をとらえられると、これまでと同じスピードも出せますしコントロールもしやすい。本当に400 mのためのフォームです」
手本にしたのはJ・ウォリナー(米)だという。世界選手権や北京五輪でのウォーミングアップを観察し、ヒントをつかんだ。
「あそこまでになると、最後の直線とかすごい動きです。とても真似できませんが、速く走るための1つのヒント、パーツの1つとして取り入れました。44秒台を出すなら変化を求めないと」
新しい動きを上手く取り入れられている手応えがあったから、44秒台をはっきりと狙っていけた。
「出雲の300 m(32秒29の日本新)では上手くできましたが、今日は、そこはあまり考えず、気持ちを前面に出しました。実際、動きについてはあまり覚えていません。ということは、できていなかったかもしれませんね」
44秒台を出しているのは過去に、高野進(現陸連強化委員長)1人だけ。88年のソウル五輪準決勝(44秒90)、91年の日本選手権(44秒78=日本記録)、同年の世界選手権2次予選(44秒91)の3回出している。
「北京五輪のあとに高野さんが選手1人1人と面談されて、『そろそろ記録を抜いてくれ。もう、悔しくなる年齢じゃないから』と言われました。今日は本当に狙っていましたから、めちゃくちゃ悔しいですけど、それだけ偉大な記録ということだと思います。大阪GPにはウォリナーも来るので、良い具合に勝負していけば夢ではないと思います。44秒台のイメージをしっかりともって臨みます」
18年ぶりの44秒台へのカウントダウンは、限りなくゼロに近づいている。
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