2009/7/4 札幌国際ハーフマラソン前日会見
女子編
世界選手権マラソン代表3人が出場
渋井が故障で1カ月以上ジョッグだけの練習

「世界選手権に向けて調子を上げていくための1つのポイントとできるように走りたい」(加納)
「4月半ばから5月終わりまで故障をしてしまって、ジョッグくらいしか練習ができませんでした」
(渋井)
「札幌ハーフの結果を1つの基準にして、今後の練習をどう組み立てていくか」
(藤永)
Q.ここまでの調整の流れと今の状態をお話し願います。合宿の場所なども。
加納由理 4月にロンドン・マラソンを走った後に休養し、5月中旬からアルバカーキで1カ月ちょっと、トレーニングをしてきました。ロンドンが終わってちょっと体調を崩したので、一からスタートいう感じで始めたので、今のコンディションは体をもどす段階です。まだベストではありませんが、先週日本選手権を走って今の段階ではまずまずの走りだったので、このまま8月まで、故障なく順調にトレーニングできればいいですね。
渋井陽子 4月半ばから5月終わりまで(左脚裏。当初は付け根で、ヒザに近い位置に移動)故障をしてしまって、ジョッグくらいしか練習ができませんでした。6月頭からはフラッグスタッッフ(米国アリゾナ州)でトレーニングしてきました。ベストにはほど遠い感じですが、まだ痛みも収まっていなくて、上手く付き合って練習している感じです。今回の札幌は、次の合宿に入っていけるレースになればいいな、と思っています。
藤永佳子 4月、5月はサーキットに出場し、5月下旬からボルダーで1カ月間、合宿しました。トレーニングはケガなく順調に進んでいます。この札幌ハーフの結果を1つの基準にして、今後の練習をどう組み立てていくかを、考えていきたいと思っています。

Q.世界選手権への流れのなかで、明日のレースをどうしたいと思っていますか。そして、世界選手権の抱負は?
加納 私は試合と練習を積んで調子を上げていくタイプなので、明日は8月の世界選手権に向けて調子を上げていくための1つのポイントとできるように走りたい。世界選手権は強い選手もいっぱい出ますが、惑わされることなく、自分の一番良い走りができれば結果も出ると信じてやっていきます。
渋井 加納さんと一緒で調子を上げていくためのレースにしたい。少しでも良い動きができればと思います。世界選手権は久しぶりのマラソン代表です(2001年エドモントン大会4位)。気持ちは固まっていますが、今は言いたくないので言いません。でも、気持ちはゆるぎないです。
藤永 ボルダーでしっかり合宿ができたので、その成果をどのくらい発揮できるかで1つの基準にしたい。その結果によって今後が変わってきますから、1つの通過点として頑張りたい。世界選手権は10年ぶり(99年セビリア大会5000m代表)です。新たなスタートラインに立つつもりで、積極的に走りたいです。

「ハーフの距離なら前半、多少無理をしても突っ込まないと勝負になりません」(加納)
「土佐先輩は『こんな苦しい思いをしていたんだな』って思うと、謝りたい」(渋井)
「最後の坂は、マラソン後半のきつさだと思って」(藤永

Q.札幌国際ハーフマラソンのコースと、ベルリンのコースをどう思っていますか。
加納 札幌のコースは最初がすごい下りなので、どうしても頑張りすぎてしまい、15km過ぎてからきつくなります。ハーフの距離なら前半、多少無理をしても突っ込まないと勝負になりません。後半に勝負をするためにも、前半ちょっと無理をしても頑張って、得意の後半でちょっとでも稼げたらと思っています。ベルリンは4月に試走に行きました。急なアップダウンはありませんが、カーブがあったり道幅が狭くなったり、足場が悪かったりと、ヨーロッパ独特のコースだと感じました。前半は集団で行くかもしれないので、接触にも気をつけないといけません。何カ所かあるアップダウンが、勝負所になるかもしれません。
渋井 札幌のコースは良いイメージが、まったくと言っていいほどありません。たぶん、後半がきつくなるのでどうしようかな、と思っていますが、誰よりも走ります。ベルリンはまだ見ていませんが、周回コースは嫌いじゃないので、いいかな、と思います。
藤永 札幌のコースは初めてですし、ハーフマラソン自体、実業団に入って2回目です。どう走るか決めていませんが、ああいう坂は初めて。マラソン後半のきつさだと思って、そこで落ちないように粘り強く走りたい。ベルリンにはボルダー合宿前に行って来ましたが、景色がすごくよかったですね。良いイメージを持ってボルダー合宿に入れました。周回コースには足場の悪いところもあって、私はおっちょこちょいのところもあるので、そこに気をつけて走りたいと思います。

Q.渋井選手はケガをしないタイプだと土佐(礼子)さんから聞いたことがあります。それだけ長い故障の間、何を拠り所に頑張れたのですか。
渋井 自分は故障をしないと思っていましたが、駅伝とマラソンを2セットにしたのがきつかったと、後悔みたいなのもありました(昨年11月の東京国際女子マラソン、12月の全日本実業団対抗女子駅伝、今年1月の大阪国際女子マラソンに出場)。でも、完全な故障というわけではなく、微妙に痛いのが続いてジョッグしかできなかったんです。土佐先輩は「こんな苦しい思いをしていたんだな」って思うと、なんか謝りたい気持ちになりましたね。
Q.その思いで我慢ができた?
渋井 我慢というか、合宿に入ってしまったので、そこからは無理矢理走っています。

Q.苦しい状況になったときに思い出す言葉や、座右の銘があれば教えてください。
加納 苦しくなったときは今までやってきたことを思い出したり、それを無駄にしたくないと思って耐えます。
渋井 苦しくなっちゃったら、苦しくなっちゃう感じで、たぶん、何も考えていないです。ゴール速くっていう感じですか。
藤永 苦しくなったら耐えるだけですが、座右の銘は「思い続ける者が勝つ」です。
Q.明日のレースを沿道やテレビで応援してくれるファンに、ここを見てほしいという走りは?
加納 札幌で行われるレースは結構、走っています。(優勝した)去年のハーフでも、沿道から声を掛けてくれる方が多かったことを覚えています。また頑張って走っているよ、という姿を見てもらえたらいいですね。
渋井 絶好調であれば「見ろーっ」という感じで走れますが、絶好調ではないので、ひっそり走りたいと思います。気づいた方がいらっしゃったら、ご声援ください。
藤永 札幌を走ることを楽しみにしてきました。苦しいなかでも一生懸命に走る姿を見てもらえたらと思います。(優勝した)名古屋のときのような粘りの走りができるように、明日も頑張りますので。

三井住友海上・渡辺重治監督コメント
「練習に影響する痛みはありませんでした」
「(出場回避も)考えましたが、練習が予定通りできていたので出場することに決めました。場所は当初は左脚の付け根の周辺でしたが、途中から下に下がってきて、ヒザ裏の上野のあたりに来ています。脚はその都度チェックしていましたが、(合宿に入ってからの)練習に影響する痛みはありませんでした。(再発の危険性が)あったら欠場させてもらっています。(ケガが多かった)土佐と違って防衛本能が働きますから、そこまでひどくはない。どの選手にもそういう部分があって、付き合っていくケースは多いと思いますよ。練習場所が昆明だったら、このくらいで行けたらこのくらいの記録、というのが見えてきますが、フラッグスタッフはなにぶん、初めての練習場所です。明日はどのくらいで走るというよりも、ひと言でいうなら本人が手応えを持ってくれる走りをしてほしい」


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