2009/10/25 ジュニアオリンピック&日本選手権リレー
3日目 女子4×400 mRで実業団、大学、高校のトップが激突
ナチュリルが3分37秒67の単独チーム今季日本最高で2連覇
東大阪大敬愛高はパフォーマンス高校歴代2位の3分38秒58
早大は関東学生新の3分39秒17

 2走の渡辺真弓の走りが、ナチュリル2連覇の流れを決定づけた。
 オープンになる100 mで早大・津留加奈に先行され、バックストレートでは東大阪大敬愛高・新宮美歩にも抜かれてしまった。津留は日本インカレ400 m3位、400 mH2位の選手で前半に強い(日本インカレの400 mHではそうだった)。新宮は世界選手権4×400 mR代表。
 渡辺も世界選手権4×100 mR代表だが、4×400 mRの経験は少なく、ラップのベストは「昨年のこの大会の55秒ちょっと」だという。前日の予選でもそうだったが、前半から思い切って行くことができない。
 しかし、今季スピードが一段とアップした渡辺は楽に着いていく感じの走りができていた。ホームストレートで徐々に差を詰めると、バトンパス直前に2人をかわしてトップで3走の丹野麻美に。4走の青木沙弥佳が故障明けで不安があったが(前日の予選では55秒6前後のラップで津留に差を開けられた)、丹野が10m以上の大差をつけて勝敗を決した。

 3分37秒67はナチュリルのチーム最高記録で、単独チームの今季日本最高記録。インターハイで東大阪大敬愛高が出した3分37秒86を上回り、4人全員が世界選手権代表というシニアチームの意地を見せた。
 ラップは東大阪大敬愛高で計測した(手動)。
  通過 スプリット 選手
1走 54.94 54.94 上山三紗喜
2走 1:48.95 54.01 新宮美歩
3走 2:44.13 55.18 高橋満里
4走 3:38.58 54.45 三木汐莉
 ナチュリルは1走の佐藤が54秒台前半で持ってきたようだ。2走で2チームに先行されたのは、渡辺が早くスタートしてしまい、止まるようにしてバトンを受け取ったから。渡辺のラップは新宮よりも遅かったようだが、前述のようにいったん前に出られた新宮を逆転している。
 前日に行われた予選のナチュリルの走順は佐藤、青木、渡辺、丹野。ヒザ裏十字靱帯の故障で9月以降の試合を欠場していた青木が復帰したが、不安を残す走りだった。
 川本和久監督は「相手の出方を見て、どうこうしているわけではない。今日のベストのオーダーを組み、ナチュリルのマイルをやっただけ」と強調したが、結果的に経験の少ない渡辺の潜在力を引き出す2走起用となったと思う。

 2位の東大阪大敬愛高は3分38秒58のパフォーマンス高校歴代2番目のタイム。低温という条件を考えたら、インターハイの高校記録にも勝るとも劣らない。そのメンバーから1走が上山美佐喜に変更されていたが、日本ユース選手権優勝者が加わってくるのだから、すごい高校生チームである。
 3位の早大は3分39秒17と、日本インカレで自チームが出した3分39秒29の関東学生記録を更新した。
 メンバー中ただ1人の4年生である津留は「高校生が3分37秒を出していましたから、それを上回るのが目標でした」と、学生王者の誇りを持って臨んでいたことを明かした。
「2、3走のバトンパスでミスがあったのが悔やまれます。渡り合える力はあったと思うのですが、最後でも競り負けてしまいました。でも(2位の)4×100 mRと同じメンバーでマイルも臨んで、チームの流れとしては良かったと思います。記録、順位とも目標に届きませんでしたが、良い形で締めくくれました。私以外の3人が残るので、来年以降もパワーアップしてくれると思います」
 高校生チームに負け、福島大の学生記録(3分34秒70)との差もいぜんとして大きい。だが、関東の大学のレベルが上がらないことには、学生女子の進歩はままならない。シーズン終盤での早大の頑張りは評価できる。


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