2009/10/24 ジュニアオリンピック&日本選手権リレー
2日目 注目の中学生スプリンター2選手が登場

200 m中学記録保持者の君嶋がB女子100 mに圧勝
「来年の全日中は2種目に勝ちたい。200 mは23秒台が目標」

 ジュニアオリンピック2日目は男女100 mに注目のスプリンターが登場した。
 先に行われたBクラス女子100 mでは、200 mの全日中優勝者で、同種目の中学記録(24秒36)保持者の君嶋愛梨沙(山口・麻里布中2年)が12秒32(−1.9)で優勝。だが、100 m全日中優勝者の土井杏南(朝霞一中)は準決勝を欠場し、対決は実現しなかった。
 Aクラス男子100 mは全日中を10秒70の中学歴代6位の好タイムで制した大瀬戸一馬(新津中3年)が、10秒68(+0.5)の中学歴代2位で圧勝。昨年、梨本真輝が出した中学記録に0.01秒と肉薄した。

 スタートラインに立った君嶋は身長166cm。中学2年生としては大きい方だが、上背よりも手脚の長さが際だっていた。スタート直後の脚の回転はそこまで速いようには見えなかったが、体1つリードした。中盤でもまた1つ出ると、後半もじりじりと後続を引き離した。要するに、この年代では、どの局面をとっても強いということだろう。
 雨と向かい風(−1.9)のため、優勝記録は12秒32にとどまった。自己記録は12秒00。「11秒台を狙っていた」という本人にとっては満足できる記録ではないが、2位に0.28秒差をつけて強さを見せつけた。
「スタートは普通によかったですし、中間も普通。後半が伸びませんでした」と自身の走りを自己分析した君嶋。後半が伸びなかったのは「スタートに神経を遣いすぎたことと、周りに気を取られたから」ではないかという。スタート後に上体が早く起きる点を修正するため、「7歩目までは前傾を心掛けて練習しています」という。
「今日、それができたかどうかはわかりませんけど」と明るく無邪気に振り返る様子からは、そこまで理論に拘泥していないようにも感じられた。本来、無意識にできないといけない部分であり、それを本能的に感じ取っているのかもしれない。
 来年は11秒73の中学記録更新も期待される。
「11秒73まではわかりませんが、11秒台を確実に出して、全日中は2種目に勝ちたいですね。200 mは23秒台が目標です。スタートもそうですし、技術面で色々と伸ばしていきたい」
 話しぶりは、それほど意気込む感じではなかった。本人の走りの分析ではないが、ごく普通の話し方だった。

大瀬戸が10秒68。中学記録に0.01秒と肉薄
「出してみると“あとちょっとだったのに”と感じてしまいます」

「スタートが得意」と言う大瀬戸は、その言葉通りにリードを奪うと、その後も2位以下をグングン引き離してフィニッシュ。タイマーは中学記録(10秒67)に0.01秒と迫る10秒68で止まった。正式記録も10秒68。
「全日中で10秒70が出たので、中学記録は意識していました。でも、雨も降って冷えてきていましたし、前に行われたレースは向かい風。狙うのは難しいかな、と思っていました。そのなかでの歴代2位は嬉しいのですが、出してみると“あとちょっとだったのに”と感じてしまいます」
 優勝した全日中は、後半に追い上げられたという。今回の後半は、前述のように後続を引き離した。
「今日はたぶん、リラックスできていたのだと思います。前半で乗ることができ、後半も乗ってきて。1週間前からフォームを変えたんですが、そこも上手くできました。手と足のタイミングがずれて、上半身がついてこない状態になっていたんです。ヒジの角度が以前よりも開き気味だったので、そこを絞ってタイミングを合わせました」
 大瀬戸の自己分析では、前半からのつなぎもよかったようだ。
「今日は、特別にスタートが良かったわけではありませんが、前半から後半にうまくつなぐことができました。全体的に良かったのだと思います」
 ただ、スタートについては大会直前まで悩んでいたという。
「全日中後にスランプに陥っていました。(スタートで)腰が浮いてしまったり、逆につぶれてしまったり。以前は思い切りバーンと出られていたんですが、1歩目を早く着こうという意識が強くなって、それができなくなっていました。腕振りも開いてしまっていたので、それを真っすぐに修正しました」

 肌寒い中で2位に0.34秒という大差をつけた快走は、さらなる記録短縮を思わせる。11月に入ってもう1試合、100 mを予定している。「僕は今回のように大舞台の方が記録を出せるようなんです。近場の大会なのでどうなるか」と、本人は自信がないようだが、果たして結果は…。


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