2009/12/31 ニューイヤー駅伝前日
区間エントリー発表
注目される1区の“流れ”と4区の“踏ん張り”


A4区編 抜擢された選手たち

区間エントリー一覧(TBS)
 1区に選手が集まった影響なのかどうかはわからないが、4区に予想外ともいえる選手が多く起用された。日清食品グループに勝つにはこの区間で追い上げないといけないが、広義の意味で“踏ん張る”べき選手が多いと感じられるメンバーとなった。

 2連覇を狙う富士通は、実業団駅伝初出場の堺晃一(2年目)が抜擢された。その理由を福嶋正監督は「練習で外さないし、長い距離の練習もできている。藤田(敦史)よりも量的にはやっていると思う。4区はマラソンを走るくらいでないとダメだし、本人も4区をやりたいと言っています」と話している。
 堺自身はそこまで自信満々というわけではない。
「4区というのはあまり意識していないようにしています。今の実力通りの走りをすればいいと。5区に藤田さんがいてくれるので、先頭が見える範囲で渡したいです。もしも先頭で来たらそれをキープして」
 堺は箱根駅伝の9区で3年時に区間4位、4年時に区間2位。4年時は篠藤淳(中央学大)が区間新を出した年で、飾磨工高OBが区間ワンツーを占めた。
「学生はスタミナがあれば長い距離の区間を走れますが、実業団は長距離区間でも2分40秒とか2分45秒で突っ込みます。自分は明らかにスピード不足でしたが、今年はトラックのスピードをつけてきました」
 2年前の箱根駅伝9区では最初の5kmを14分30秒前後で入ったが、9区は2区の裏返し。最初は相当に下っている。「30秒は速くなる」とある長距離関係者は言う。
 明日の4区でも堺は「14分30秒くらいで入りたい」と話す。タイムは2年前の箱根駅伝9区と同じでも、そのペースで踏ん張ることができれば優勝チームのエース区間を走る選手に成長した証を見せることになる。

 日清食品グループ・北村聡、トヨタ自動車・尾田賢典、トヨタ自動車九州・今井正人らは、チーム内に他にも強い選手がいて、どちらが4区を務めるかわからない状態だった。
 優勝候補筆頭の日清食品グループは3区・佐藤悠基、4区・北村という分担になった。
 白水昭興監督は姿を見せなかったが、工藤一良コーチが「適性を考えてのことでしょう。3区の方がスピードが要る区間ですから」と代わりに答えてくれた。
 北村自身、「準備はしてきました。試走は悠基と2人で、3区と4区の両方をしていました」と、以前から4区への準備をしていたことを明かした。
「逃げ切るイメージを描いています。実際どうなるかわかりませんが、自分が順当に走れば優勝できる。そこまで緊張していません」
 1区の座間もそうだったが、日清食品グループの選手たちには余裕があるように思えた。

 トヨタ自動車九州の4区は元祖“山の神”の今井正人。12月6日の甲佐10マイルでは日清食品グループの北村を破って優勝。平地では“ただの人”だったが、ありがたくないその肩書きを完全に払いのけた。前述のように1万m日本歴代4位の三津谷が1区。
 その三津谷が区間配置について「外国人がいないので1区の自分で上手く流れに乗って、2区と3区で耐えて、4区の今井でまた上げていく」と、狙いを説明してくれた。
「2区と5区が新人で、5・6・7区も含め、これからに向けたメンバーが力をつけています。トヨタ自動車九州は力んでいないチームなので楽しいですよ」
 トヨタ自動車は浜野健ではなく尾田賢典が4区。駅伝のエース区間は浜野の方が実績があるが、09年日本選手権1万mでは3位の尾田が先着した。
「35歳の浜野に無理はさせられないと、春から尾田か高橋(謙介)と考えて、中部予選の頃からエースはオマエだよと、尾田には言ってきました」
 三島慎吾の調子が良く、中部予選を走った内田直将が外れてしまった。目標とする3位を狙う態勢はでき上がっている。

 Hondaは藤原正和、コニカミノルタは黒崎拓克を抜擢。藤原は東日本予選7区区間賞。黒崎は同じ東日本予選7区で区間2位。藤原はその後も1万mの記録会で好走するなど、状態を上げてきていた。明本樹昌監督も12月中旬頃から藤原の4区起用の可能性を、口にしていた。
「ウチが戦えるのは4区と5区。距離が変更になった前回から、このコンビで行けたらと思っていましたが、これなら大丈夫だろうというところまで上がってきてくれた。前半は離されないように行き、4・5区でなんとかしたい。5区が終わって先頭集団にいれば勝負ができる」
 2003年に初マラソン日本最高の2時間08分12秒で走り、5年前には当時の最長区間である2区を走っている藤原。2年前に7区の区間賞を取り、2カ月後のびわ湖マラソンに出場したが2時間12分07秒で9位。今回踏ん張ることができれば、完全復活へのステップとなるか。
 一方のコニカミノルタは、松宮隆行の状態がしっかりと上がってくれば松宮だった。それでも、コニカミノルタのメンバーのなかでエース区間を任されたのだから、黒崎の状態もかなり良いと見てよさそうだ。ただ、チーム状況が悪くて本人にプレッシャーがかかると、大崩れしてしまう可能性もある。踏ん張りどころだろう。


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