2009/11/3 東日本実業団駅伝
前評判の高かった2チームが快勝!
女子は3区・新谷が、男子は2区・佐藤が
向かい風のなかで攻めの走り


 3区の新谷は向かい風にひるむことなく、攻めの走りを展開した。
 昨年の全日本実業団対抗女子駅伝優勝チームの豊田自動織機は、青山瑠衣が区間賞の走りでトップに立ち、2区終了時点で2位に13秒差をつけた。13秒差とはいえ、後方では三井住友海上・大平美樹とユニバーサルエンターテインメント・那須川瑞穂が競り合いながら前を追っている。向かい風に怖じ気づいたら後続に迫られてしまう状況だったが、新谷は後続をまったく寄せ付けずに走りきり、区間賞を獲得した。
 レース後に後ろで走りを見ていた那須川から、「風よけを待つよりも1人で走った方がよかった」と言ってもらえたという。実業団駅伝の10km区間は初経験だが、マラソンで苦しんだ経験が役に立ったのか。新谷自身、「自分で展開を考えないといけないレース」で走れたことに、充実感を得たようだ。
「今までは監督の指示だったり、(1区だったりして)自然と走り方が決まるケースが多かったんです。今日はトップで来る展開は予想していなくて、どんどん抜いて行く展開だと思っていました。それでも集団にしないで、自分のペースで最初から行くことにしたんです。最初突っ込みすぎてバテましたが、3区の役割は果たせたのかな、と思います」
 39分29秒で区間1位。三井住友海上・大平美樹を13秒引き離し、26秒の貯金を作った。4区でホクレンのフィレスに2秒先行されたものの、5区で豊田自動織機が再逆転を演じるお膳立てをしたと言っていい。
 佐倉アスリート倶楽部の小出義雄代表も「新谷が区間賞まで取るとは思わなかった。最後の4kmは心配だったが、よくもってくれた」と目を細めた。

 だが、好走した新谷が全国大会本番で10kmの3区を走ると決まっているわけではない。
「誰が3区を走るかわかりません。そのくらい、チーム内の競争が激しいんです。私がサポートに回る可能性だってあると思います」
 豊田自動織機の層の厚さを示す部分でもある。
 もちろん、新谷自身は3区を走る気でいる。
「今日とは状況が大きく違うと思います。渋井(陽子・三井住友海上)さん、福士(加代子・ワコール)さん、中村(友梨香・天満屋)さんと、上の選手が大勢いるので胸を借りつもりで行きます。でも、ちょっとでも勝とうという意識は持っています」
 さすがに、“勝ちます”とは言い切れないのか。一瞬そう思ったが、自身のことではなく、豊田自動織機の3区を走る選手のことを推測したために、断言できないのだとわかった。
「ウチのチームは誰一人として、相手が強いから負けていい、とは思っていないと思います」
 昨年の優勝は狙って取った優勝ではなかった。今年は全員が、優勝を狙って美濃路を走る。

佐藤悠基コメント
「今日は攻めの走りができました」
「集団で行こうとして変にスローペースになるよりも、できるだけ押して行こうと考えました。影を見て何人か(数m差で)ついて来ているとわかりましたが、ピッタリではありませんでしたから、つけないのかな、このまま落とさずに行けば離れるかもしれないかな、と。途中で離れてくれたので、気持ち的に楽になりました。15kmずっと向かい風というケースはこれまでなかったかもしれません。(そこまでしたのは)今まで駅伝では、自分のペースで走るスタイルでやってきました。その方が走りやすいんです。今日突っ込んだのも自分のリズムを作りやすかったからです。今日は攻めの走りができました」


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