2009/5/23 関東インカレ3日目
高橋、200 m予選で23秒69
“ライバル不在”レース自己最高
4×100 mRのバトンミスもスタートの課題克服の結果
高橋萌木子(平成国際大)が200 m予選と4×100 mR決勝に出場。明暗を分けた結果となった。
女子200 mは圧倒的だった。予選5組に出場して23秒69の大会新、2位の岩楯英枝(尚美学大)に0.96秒という大差をつけた。23秒69は自己4番目の記録。
記録 |
風 |
年月日 |
大会・ラウンド |
ラウンド |
順位 |
23.15 |
1.5 |
2009/5/3 |
静岡国際 |
決勝 |
2位 |
23.44 |
0.9 |
2009/5/3 |
静岡国際 |
予選1組 |
1位 |
23.48 |
0.7 |
2008/10/4 |
国体 |
決勝 |
1位 |
23.69 |
1.1 |
2009/5/23 |
関東インカレ |
予選5組 |
1位 |
23秒15は同学年の福島千里(北海道ハイテクAC)と2人、日本新を出した静岡国際で記憶に新しい。前半で福島に大きくリードされたが、0.01秒差まで追い込んだ。23秒48は昨年の国体で、先行する福島を逆転して優勝したレース。
23秒44は日本新の静岡国際の予選。福島こそ出ていなかったが、好調の渡辺真弓(ナチュリル)が23秒63とすぐ近くにいたし、清田浩伸監督によれば「決勝の福島さんとのレースを想定して走った」ということで、緊張感も高かった。
つまり、関東インカレ予選の23秒69は、ライバル不在のレースでの自己最高だった。
今季の高橋は、100 mでも埼玉県春季記録会で11秒56(+1.3)を出している。ライバルがいないと記録を出せないのが昨年までの高橋。今季は明らかに変わっている。
その意味するところは2つ考えられる。
1つは技術的な進歩。取り組んでいる「ジャマイカ式スタート」(清田監督)の成果が出ている可能性である。
高橋も「スタートから2次加速へのつなぎを課題にしていました」と言う。
清田監督によれば、ゆっくりしたスピード感のため、ピッチの速いスタートをする選手が近くにいると、焦りから早めに顔を上げてしまう。
「100 mは13歩まで顔を上げないようにしたのですが、先週の100 mは10歩で上がってしまった。今日は歩数ではなく感覚でやってみたのですが、上手くいったと思います」
もう1つはライバルがいれば、さらに良い走りができる可能性だが、これについては後述する。
4×100 mRは3走の清水浩実(2年)から4走の高橋のバトンパスで失敗した。
前を行く筑波大と中大は、明らかに射程圏だった(3mか4mか5mか6m差)。高橋の大逆転が見られる、と思った瞬間に高橋が後ろを振り返り、スピードを大きく緩めてバトンを受け取った。筑波大と中大とは7〜10mの大差に。
そこから2m差まで追い込んだが、2校をとらえることはできなかった。平成国際大の記録は45秒35。45秒12で優勝の筑波大以下3チームが、関東学生記録を上回ったが、平成国際大がバトンパスに失敗していなければ44秒台も望めたレースだった……のは確かだが、スポーツにタラレバはない。失敗は失敗以外の何物でもない。
しかし、清田監督は「自分の指示ミス」と選手たちをかばった。
「3走の清水は、高橋がいつも通りのタイミングで出たのに追いつかなかった、と言っています。200 mで課題としていたスタートが上手くできました。今までは起き上がった後一度、スピードが緩んでから行っていましたが、それがなくなりました。それを見たらリレーの出だしも速くなることは予想できたはずなんです。足長を変えようかと思いましたが、読み切れなかった私のミスです」
リレーの失敗は、高橋の課題が解決されているから起きたと強調したのである。
それでも、前述のように失敗は失敗である。高橋をはじめとする選手たちは、相当に悔しい思いをしているのは間違いない。
「追い込まれた状況に置かれた方が、高橋はやってくれるようになる。明日の200 mはやってくれると思います」
今季はライバル不在でも好記録を出せるようになった。だが、織田記念と静岡国際、大阪GPの3試合連続福島との0.01秒差が示すように、ライバルと競ったときに記録が出る点は変わらない高橋の特徴である。
関東インカレはライバル不在の大会だが、“追い込まれた”ことで高橋の本領が発揮される可能性はある。
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