2009/5/23 関東インカレ3日目
早大が38秒97で2連勝
2位・中大が39秒29のチーム新記録
3位・筑波大は…

見どころの多かった男子4×100 mR


@日本代表経験者3人の筑波大vs.分厚い選手層の早大

 男子4×100 mRは早大と筑波大のメンバーが充実していた。
●早大
1走・江里口匡史(3年)
2走・木村慎太郎(4年)
3走・梶 将徳(1年)
4走・木原真佐人(4年)
 江里口は日本インカレ100 mで2連勝。木村は昨年の日本選手権3位で、木原は関東インカレ3位。2人とも両インカレと日本選手権の全てで決勝に残っている。
 3走候補はマウントサックで好調だった小原慎悟、07年日本インカレ200 m3位の栗崎康介と人材に事欠かないが、昨年のインターハイ・国体少年Aとも100 m2位の梶が務めた。

●筑波大
1走・安孫子充裕(3年)
2走・齋藤仁志(4年)
3走・伊丸岡亮太(4年)
4走・石塚祐輔(4年)
 安孫子は昨年の北京五輪4×400 mR代表で、今季は200 mで世界選手権A標準を突破している。補欠だったとはいえ、齋藤も昨年の北京五輪で4×100 mR代表。200 mでB標準を突破している。石塚は07年世界選手権の4×400 mR代表。4年前の千葉インターハイは100 m・200 mの2冠。伊丸岡も10秒46のタイムの持ち主で、インカレの経験は豊富だ。

 第1週の流れは筑波大だった。100 mで安孫子が10秒30で優勝。2位の江里口に0.12秒差をつけた。石塚も400 mで2位。金丸祐三(法大)には敗れたが、きっちりと走った。
 とにかく、今季は安孫子に勢いがある。5月9日の国際グランプリ大阪でも、日本の1走を務めて良い走りを見せていた。今の筑波大を象徴しているようにも感じられた。

Aリレー日本代表(1走?)候補の安孫子と江里口が直接対決

 今季の男子短距離の注目ポイントの1つに、4×100 mR日本代表メンバー争いが挙げられている。最終的には日本選手権の結果を待たないと決められないが、大阪GPまでの戦績で100 mの塚原直貴(富士通)、200 mの高平慎士(富士通)が、それぞれの種目の第一人者的存在であるのは誰の目にも明らかで、リレーメンバーも当確と言っていい。
 補欠も含めた残り3枠の候補に、上に紹介した江里口、安孫子、齋藤も名前が挙がっている。特に江里口と安孫子の同学年2人が、1走で激突したのが興味深かった。
 日本選手権の結果次第とはいえ、リレーメンバー選考は100%日本選手権の順位ではない。“種目の特性を考慮する”と選考規定にも明文化されている。インカレのリレーで自身の“特性”をアピールできれば、代表選考に影響がある可能性があるのだ。

 レースは早大が5レーンで、筑波大が4レーンで追う形に。“勢い”から安孫子が江里口を詰めていくかと思われたが、その差はあまり変わらない。インレーンの選手が差を詰めるのが普通だが、両校の差は、後半で少し詰まったかどうか。
 後ろで走っていた安孫子に、2チームの差をどう感じていたかを聞いた。
「声を出したのは僕の方が少し早かったのですが、リードは奪っていなかったですね」
 一方の江里口は、レース展開はわからない。筑波大をどう意識したのかを、次のように話している。
「先週の100 mで安孫子(充裕・筑波大)君にやられているので、ここに来るまでは借りを返すじゃないですけど、最低、筑波には負けないように調整してきました。しかし、今日の本番ではそれほど気にせず、自分の世界に入り込んで行きました。何も考えずに行ったら、身体が動いてくれました」

 2人ともナショナルチームのメンバー入りを狙っていることは、明言している。
 江里口は
「(日本代表の1走は?)かなり意識しています。でも、何走と固定して考えてはいません。カーブでも直線でも、任せられればどこでも行きます。直線は、100 mをずっとやってきましたし、最近は1走もやっています。3走が一番特殊なところで、そこの経験は積んでいません。ただ、カーブは走れるようにしておくのが最低限のつとめ。そういう意味で、200 mでもA標準を狙っているんです。今日の(200 m予選)1本は、前半から行けて良い感触でした。リレーも200 mもナショナルチームも、全部がつながっているんです」
 と言う。
 安孫子は取材時間が十分になかったが、次のように話してくれた。
「(日本代表の1走は?)走らせてもらえれば、どこでも行きますよ。今日の1走は、チームの各選手の特性を考えた結果です。ナショナルチームどうこう、という理由からではありません」
 確かに、安孫子が静岡国際や大阪GPで、200 m前半のカーブを高平を上回るスピードで抜けていくのを見ると、3走も十分こなせるように思える。ただ、3走に要求される要素は、カーブのスピードだけではない。最終的にはメンバーが決定してから各選手の特性を見ての判断になるが……と言ってしまったら、現時点で記事を書く意味はなくなってしまうのだが。

B動きを変えた安孫子と江里口
C筑波大は五輪代表の齋藤がブレーキ
D“雑草魂”中大の快走

と続く予定


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