2009/5/17 東日本実業団2日目
土井が71m95の今季日本最高で7連覇
「日本選手権でB標準の可能性はある」


 男子ハンマー投は土井宏昭(チームミズノアスレティック)が4回目に71m95を投げ、7連勝を飾った。
67m21 日本選抜和歌山2位
69m12 織田幹雄記念国際1位
71m95 東日本実業団1位

 出だしこそピリッとしなかった土井だが、その後は順調に記録を上げてきている。
「この調子で上げていって、日本選手権が今日のような(サークルが滑りやすい)条件なら、B標準(74m30)の可能性はあると思っています」
 土井の自己記録は2007年に出した74m08の日本歴代3位。自己新記録=B標準突破という感じ方だろう。

 強気な発言も出た土井だが、今季の出だしは最低だった。3月のオーストラリア遠征では62m台。前所属先のファイテンの休部(廃部?)により、3カ月間練習が中断したことが響いた。「たまにウエイトをするくらい」だったという。競技を継続できる環境を求めて就職活動もした。だが、現役日本ナンバー2、大阪世界選手権代表という肩書きをもってしても、現実は厳しかった。
「オーストラリア遠征の話がなければ、やめていたかもしれません」
 実業団派遣の選手たちと合宿し、記録は悪くとも試合にも出ると、気持ちのどこかで続けたい欲求がわいてきた。3月末にミズノの等々力信弘氏(ハンマー投94年アジア大会代表)から連絡があったときは、「チームミズノアスレティックでお世話になれないですか」と前向きになれていた。

 室伏広治(ミズノ)という偉大なスローワーが存在する種目。国内2番手選手の頑張りに世間の注目が集まることは少ない。それも現実である。
 土井が何年も前から目標としていることは、中京大時代の恩師である室伏重信氏の日本歴代2位、75m96を上回って専門誌の表紙になることだという。
「それだけは、なんとかやりたいと思っています」

 冬期の3カ月の中断の影響が、小さいわけはない。B標準は「感触があるというよりも開き直り」だという。自暴自棄ではなく、良い意味での開き直りだろう。これまでとは違った領域に行くには、そういった心境になることがプラスになるかもしれない。


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