2009/2/15 千葉国際クロスカントリー
一般女子優勝は中距離の清水
「試合への合わせ方を学べたと思います」
この1年で世界の意識の仕方にも変化
一般女子6000mは清水裕子(積水化学)が、竹中理沙(立命大)とのフィニッシュ前の競り合いを制した。清水は1500mで昨年の日本選手権4位、スーパー陸上では優勝した。「ラスト勝負は絶対に負けたくなかった」。実業団選手というよりも、スピードランナーとしての意地だった。
昨年、急成長を見せた選手だが、国際千葉駅伝では4区で区間5位。千葉県選抜の新谷仁美(豊田自動織機)はともかくとして、日本学生選抜の後藤奈津子(日大)にも後れをとった。
「緊張があったり、練習が上手くできなかったりして、力が発揮できませんでした。悔しい思いをしました」
しかし、国際大会で日の丸をつけた経験は、大いにプラスになった。
「短い期間でしたがオリンピック選手たちと一緒に過ごすことができ、意識の高さとか、肌で感じるものがありました。こういう選手になりたいな、という思いを持ちました。国際千葉駅伝の経験があって、今の自分がある気がします」
高校時代(岐阜県中津商高)はこれという実績はなかった。憧れていたのは、岐阜県の先輩にあたる高橋尚子さん。しかし、高橋さんが以前に在籍した積水化学に入社したが、「どれが上の大会なのかも知らなかった」という。徐々に意識が上がってきて、最近は実業団合宿などで他チームの選手の行動から学ぶことも多くなった。
そして今大会では明確に、世界クロカン代表を目指していた。
「以前は世界と言われても考えられる立場ではないと思っていました。今も、どう向かっていいのかわかりませんが、結果よりも今の状態で精一杯走ろうと思っています」
微妙な言い回しだが、彼女のなかでは明らかに以前よりも日本代表への意識は変わっているようだ。
野口英盛コーチは清水の変化を次のように説明する。
「以前は何が目標なのかも言えない選手でした。(この1年間で)目標とすべきところを明確に意識できるようになったと思います。練習の目的もそうです。アクティブレストがどういう流れの中であるのかなど、練習を点ではなく、線で考えられるようになった」
清水は1月の全国都道府県対抗女子駅伝では9区で区間4位(32分41秒)。10kmの距離に対応できたことも大きかったし、直前の練習のタイムが悪くても走れたことは、もっと大きかったかもしれない。
そして、千葉国際クロスカントリーでも同じようにできた。
「試合への合わせ方を学べたと思います。今まで、1回の練習が悪かったらすごく落ち込んでいましたが、練習で悪くても試合の緊張感に乗ってしまえば走れるとわかりました。変に考えすぎず、開き直って考えられるようになったと思います」
野口コーチは次のように補足する。
「一昨日、昨日は表情も暗かったんですが、今朝は開き直れたのか、明るい良い表情をしていました。以前はただ練習をやればいい、という考えがあったんだと思います。元々、試合に持っていく能力は優れています」
来週(2月22日)は横浜国際女子駅伝。関東選抜なら本番を走れるが、日本代表なら補欠の可能性が高いという条件で打診があったという。
清水は迷わず、日本代表に入ることを選んでいる。
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