2008/7/21 ハンマー投チャレンジカップ第一戦
室伏、今季日本最高の81m87
“ちょっとした”タイミングの違いが
“1mの違い”
五輪前に国内2連戦を設定した理由は?

 7月の21日、27日と2連戦が設定されたハンマー投チャレンジカップ。ハンマー投単独での開催という、珍しい競技会である。その第一戦の男子は室伏広治(ミズノ)、土井宏昭(ファイテン)、野口裕史(群馬綜合ガードシステム)、遠藤彰(国武大)ら、女子は室伏由佳(ミズノ)、山城美貴(中京大)ら日本のトップ選手が参加して行われた。
 男子は室伏が81m87の今季日本最高で優勝。2位の土井は、久しぶりの母校での投てきだったが71m40で2位。今季、なかなか調子が上がらない野口が65m79で、遠藤とは66cmの僅差の3位だった。女子は室伏由佳が64m23で優勝した。

 室伏広治の6投は以下の通り。
80m77−80m88−81m87−F−80m71−80m87
 4投目のファウルも距離は「80mを越えていた」(室伏)という。また、3投目以外の有効試技はすべてが16cmの範囲内と、計ったように同じ距離を投げていた。それだけに、3投目の「プラス1m」が光るが、室伏は次のように説明した。
「全体として安定した投てきができたと思います。今日は最初から、失敗してもいいから思い切って投げました。自分の記録にチャレンジする大会ですから。そのなかで全体として良いタイミングの投てきができ、3投目はさらに距離に結びつく投てきができたということです。(他の投てきで)手を抜いていたわけじゃないですよ。タイミング次第で角度や回転面がちょっと変わったりするんです」

 それ次第で1mは距離が違ってくる。
 しかし、だからといって北京五輪まで1カ月で、“一発”を投げるための練習はしないという。金メダルには83〜84m台の記録が必要だが、その数字にはこだわらない。
「安定した練習を継続していくことが大事です。一発を狙う練習でなく、平均値を上げる練習をしていきます。投てき練習で20〜30本投げたとしても、本気の投げは2〜3本なんですね。なぜかというとフォームを崩すから。でも、今日のようにギリギリで投げないと記録は出ません。その辺(の理由)で、70〜80%で確実に投げられるようにすることを目指しています」
 フォームを崩すほどの思い切った投げは、それほど行わない。でも、記録を狙うなら“ギリギリ”の投げが必要。相反する二律を両立させるために、今回のような試合の設定が必要だった。今回のように試合で思い切った投てきを行うには、海外の強豪選手が参加するヨーロッパのGPなどでは都合が悪かったのだ。
「試合なんですが、“練習試合”でもあるんです。試合ほど良い練習はないですからね。これを機にレベルアップを図りたい」

「(北京五輪までに記録が伸びる要素は)あると思います。でも、突然投げられるようになるわけではありません。良い練習をすること以外にはないですね。質を落とさないで…」
 この日、“思い切った”投てきを安定させたことで、練習の質は確実に上げられるだろう。27日の試合で81m台が安定して出せれば、タイミングが合えば82m台を出せることになる。そして、北京五輪で82m台が安定して出せるなら、83m台の戦いに対応できることになる。


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