2008/7/6 南部記念
陸連が五輪代表4選手を発表
選考経緯などを説明


●最後の「1」枠の女子への移動について
 JOCと陸連の事前折衝により、陸上競技の五輪代表枠は36(男子25、女子11)と決まっていた。そのうち、日本選手権終了時点で男子22、女子10が決定。残りは男子3、女子1だった。
 南部記念の結果を受けて、男子4×400 mR要員の堀籠佳宏(富士通)が決まり、“追試”扱いだった男子走高跳の醍醐直幸(同)と女子走幅跳の池田久美子(スズキ)もそれをクリアした形で選ばれた。
 残りの男子1枠は110 mHが想定されていたようだが、日本選手権2位、南部優勝の田野中輔(富士通)がA標準を切れず、A標準突破者の大橋祐二(ミズノ)が2大会とも田野中に敗れたため、選ぶことができなかった。
 また、400 mで新たなA標準突破者が出るなら4×400 mRが有望種目となり、補欠要員を加える可能性があった。だが、B標準突破者も出ず、4×400 mRは日本選手権1・2位の金丸祐三(法大)と安孫子充裕(筑波大)、今回選出された堀籠に400 mHか200 mの選手を加えて戦うことに。
 結局、男子の枠を「使い切れなかった」(高野進強化委員長)形となり、女子のB標準突破者の中から1名を選ぶことになった。

●堀籠の選出理由
 男子400 mは堀籠佳宏が46秒25で優勝したが、2位の石塚祐輔(筑波大)も0.02秒差の健闘。1週間前の日本選手権では石塚が3位で、堀籠は脚がつってしまい8位に終わっている。どちらを選ぶのかが注目されたが、堀籠を選んだ理由を高野強化委員長は次のように説明した。
「日本選手権も重要だが、静岡国際や大阪GPも選考レース。そして、日本選手権で3番目を決めなかったということは、南部の結果が重要になると選手もわかっていたはず。そこで勝ったことと、記録的にも日本選手権の3位を上回ったことで選んだ」

●醍醐と池田の評価
 池田がどのくらいの記録を跳べば選ぶ予定だったか、という問いに対し、「少なくとも日本選手権(6m42)の記録を上回る力を示し、できればB標準(6m60)以上」と、高野委員長は答えている。
 澤木専務理事は「桝見(咲智子・九電工)が今日、6m60を超えていたら、選考がどうなったかはわからなかった」と言う。
 醍醐については澤木専務理事が次のように話している。
「日本選手権は戦術的な失敗だった。理事会では選ばなくていいという意見も出たが、安定した実績を評価して、そのために(選べるなら選びたいので)再試験を課した。2m20以上は最低でも必要だった。ただ、土屋(光・モンテローザ)が2m24で勝負を挑んだが、土屋に負けていたら選べなかった」

●女子にB標準突破者が複数いたなかで、福島を選んだ経緯
 会見中に出た福島を選んだ理由は以下の通り。
 澤木専務理事「選考の話し合いに出たのは福島、丹野麻美(ナチュリル)、久保倉里美(新潟アルビレックスRC)の3人。JOCとの話の中で、突出した競技力の選手か、あるいは若手を、という話をいただいた。3名の中でさらなる向上の期待を込めて選んだ」
 高野委員長「(世界ランキングを参考にすると話していたが、という質問に対し)戦えるレベルのB標準であれば国際ランキングが重要になったが、100番とか101番、102番というレベルであれば、その比較は意味をなさない。3名ともB標準を破って日本選手権にも勝っているが、その中で福島は記録を大きく伸ばしている。昨年は11秒6台で今年は日本記録を出すなど、成長が著しい。成長率を高く評価した。また、今回は男子の1枠から転用ということで、話題性のある選手を指名した」
 高野委員長は囲み取材中には、次のような言い方をしている。
「はっきり言って、3人の誰かが入賞するのは現実的に厳しい。3人の全てを厳密に比較してはいない。我々の経験の中で、(世間的な)影響力という部分も意識して判断した。かなりの議論があったが、ここにきて安定して調子が良い選手を選んだ。専務も言ったとおり、福島に1つの枠を託そうと思った」

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