2008/4/27 兵庫リレーカーニバル
渋井、2002年以来のトラック日本人トップ
「使えなかった
筋肉が動いてきた」

 女子1万mは渋井陽子(三井住友海上)とフィレス(ホクレン)が最後の直線までデッドヒート。この日の渋井は5000mから集団の先頭を引っ張るなど、持ち前の積極性が復活。さらに、ダメかな、と見えたところで粘るなど、見応えのある勝負を展開した。
 31分19秒73は自身「2番目の記録」と渋井。約30秒の開きがあるとはいえ、自身のもつ30分48秒89の日本記録に次ぐタイムということだ。昨年の東日本実業団でも02年と同じようなタイムで練習ができていると聞いていた。独自に取り組み続けていることがあることも、ちらっと聞かせてもらうことができた。
 そして今回の快走である。2002年と今では、どのような変化があったのだろうか。
渋井の年次別ベスト
  5000m 10000m マラソン
1995年 16.59.53    
1996年 16.15.25    
1997年 15.55.50    
1998年 15.57.81    
1999年 15.46.19 32.43.02  
2000年 15.35.79 31.48.89  
2001年 15.38.43 31.48.73 2.23.11.
2002年 15.18.92 30.48.89 2.21.22.
2003年 15.27.83 31.42.01  
2004年 15.39.94 32.17.72 2.19.41.
2005年 15.42.99 32.34.11 2.27.40.
2006年 16.03.73 32.39.42 2.23.58.
2007年 15.30.71 31.48.87 2.34.15.

渋井のマラソン全成績
回数 月日 大会 成績 記録
1 2001 1.28 大阪女子 1 2.23.11.
2 2001 8.12 世界選手権 4 2.26.33.
3 2002 10.13 シカゴ 3 2.21.22.
4 2004 1.25 大阪女子 9 2.33.02.
5 2004 9.26 ベルリン 1 2.19.41.
6 2005 3.13 名古屋女子 7 2.27.40.
7 2006 3.12 名古屋女子 2 2.23.58.
8 2007 1.28 大阪女子 10 2.34.15.
9 2007 11.18 東京女子 7 2.34.19.

「2002年とかは若さですね。疲れ知らずで走れていました。それが2003年、2004年と(マラソン日本最高のベルリン以外は)バチンとはまってしまって、クシャクシャになってしまった。それが今、やっとほぐれて、使えなかった筋肉が動くようになってきました。去年くらいから、硬くなっていた部分が緩んで動くようになった自覚がありました」

 今回も中国・昆明の合宿では必ずしも好調とはいえなかったが、ベテランらしく調整で調子を上げることに成功。水曜日から「グーッと上がってきた」と話す。

 A標準も初めて突破。昨年11月の東京国際女子マラソンで失敗したときは、トラックで狙うことはない雰囲気だった。それが今回は、次のようなコメントをしている。
「目標がないと気持ちが緩んでしまいます。日本選手権は勝ちに行きたいですね。その先は未定ですが、(オリンピックは)陸上をやめる前に1回、出たい試合ですね」

 この種目の第一人者、福士加代子(ワコール)とは仲がいいが、「まだ日本記録を持っているのは私」と意地を口にしたこともあった。2人の激突を見てみたい気もするが。


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