2008/1/26 大阪国際女子マラソン前日
レース前日展望記事
福士のレース展開は?
集団は中間点を1時間11分台か?


 注目される福士加代子(ワコール)だが、前日は通常の朝練習を6:45から1時間20分ほど行なった。昼過ぎには小崎まり(ノーリツ)と一緒に2時間前後のジョグをした。
 会見記事のコメントにあるように、徳之島での練習はほとんどがロードで行われたが、永山忠幸監督によれば距離やペース設定などは、通常と大きく違っていたわけではないようだ。400 m毎ではなく、1km毎のペース感覚を身につけるのが狙いだという。
 ポイント練習はそれなりのスピードでこなしていたことになる。俗にいう距離走的な練習は、尚子ロードを1周した1回だけ。ジョグなどで距離を踏んだ可能性もあるが、日本的なトレーニングではなく、アフリカ選手的なトレーニングで初マラソンに挑もうとしているのは確かだ。
 総合的に考えて、ハイペースの展開を想定していると考えるのが普通だろう。5kmを16分20秒台で行く可能性が高い。ただ、永山監督は「明日決める」と話していたという。

 福士は別として、大半の選手は集団でレースを進めると思われる。注目されるのはそのペースだが、気象状況が普通であれば、集団は中間点が1時間11分前後(5km毎が16分50秒前後)になるのではないか。
 昨日(25日)の会見では、
「2時間23分を切れないとオリンピックに行けない」(モンビ・アルゼ)
「2時間22〜23分台くらいを目指したい」(森本友・天満屋)
「設定は2時間22分台」(加納由理・SWAC)
「2時間23分以上のタイムで走らないと選ばれない」(小幡佳代子・アコム)
 と、各選手は話している。

 前半を速めに入って後半をペースダウンしていくのであれば、1時間10分前半も考えられるが、海外では中間点まではあまり速く設定しないのがスタンダードになっている。トメスク(ルーマニア)の代理人であるブレンダン・ライリー氏は「71分半」と明言。
 01年世界選手権や03年ロンドンなど、以前は前半から飛ばすことが多かったトメスクだが、近年は落ち着いた入りにして好結果を残している。昨年の世界選手権を欠場したが、「あそこで無理をしていたら、もっと大きなケガにつながった。(そのおかげで)練習はしっかりできた」と話す。

 近年の実績から判断すると、後半で集団を抜け出す候補最右翼は、このトメスクだろう。日本選手では加納の評判が高い。トメスクにどこまでつけるか。あるいは、自分から仕掛けるのか。
 森本も侮れない。この1年は、故障でレース出場が少なかった。にもかかわらず、名古屋だった予定を前倒しした。よほど状態が良いということだろう。
 昨日の会見を欠席した原裕美子(京セラ)は、今日の時点でも何も発表はなかった。正式発表はまだだが、関係者の話から初マラソンを予定していた大物選手が2人、欠場する。
 初マラソンの扇まどか(十八銀行)、2度目の安藤美由紀(第一生命)は、ペースが遅くなればわからないが、関係者の話を聞くと、先頭集団では走らない公算が大きい。大平美樹(三井住友海上)は関係者の姿がなく、動向はつかめていないが、彼女のスピードを考えれば、先頭集団で走るのではないか。

 冒頭で、福士はハイペースの展開を想定していると書いたが、集団で待機するのではないか、という意見も多く聞く。
 走りのリズムなどを考えると自分で行った方が良い。だが、独走は力みが出やすい面もある。独走していた選手の後半の失速は、オーバーペースのこともあるが、力みが原因となることが多いと言われている。
 その辺を福士陣営が、当日の状態を見てどう判断するか。2度の丸亀ハーフでは最初の5kmを15分30秒前後と速い入りを見せたが、06年の仙台ハーフでは最初を17分台と遅い入りを試し、最後にペースアップしている。遅いリズムで走るシミュレーションも、すでに済ませているのだ。


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