2008/10/5 チャレンジ! おおいた国体3日目
田村が初1万mで29分01秒66
高2歴代2位&16歳日本最高記録!
少年A男子1万mの終盤。カルクワ(熊本・鎮西高)をトップに69秒ペースでレースは進んでいた。村澤明伸(長野・佐久長聖高)がトップに立ち、9600mまでを67秒1とペースアップ。それに対応したのは田村優宝(青森・青森山田高)で、残り1周で前に出た。9800mまでの200 mを30秒6というスパートで、村澤を7〜8m引き離す。最後の200 mも31秒6とスピードを維持し、2位の村澤に1.35秒差をつけてフィニッシュした。
優勝タイムの29分01秒66は、1996年に杉山智基(有田工高)が出した29分00秒3(手動)に次ぐ高2歴代2位記録。佐藤悠基(佐久長聖高)の29分03秒27を上回った。また、田村は12月生まれのため、16歳選手の記録としては日本最高になる。
「先生は29分10秒くらいと言っていましたが、自分では28分台も狙っていました。でも、初めての1万mで29分1秒は自信になります」
インターハイは1500m、5000mともに4位(日本選手ではともに2位)。
「1500mは残り200 mで抜かれましたし、5000mはラストで追い込みましたが、届きませんでした。1万mは初めてでスタミナに不安もありましたが、プラスアルファの練習をしました。走り込みもやりましたし、ラストスパートも強化しました」
田村の力が充実していたのは確かだ。だが、レース展開にも恵まれた。5000mまでは村澤が、1000m毎を2分50秒台中盤のイーブンで引っ張った。田村に引っ張る自信まではなかっただろう。
「1周目が68〜69秒で速いかな、とも思いましたが、走っていくうちに楽になってきました。5000mを過ぎても、まだ行けると感じていましたし、ラスト1000mで勝てるかもしれないと思いました」
まだ高校2年生なので“型”を特定するのは早いが、今日のレースを見る限り、ついていく走りにおいてリズムを作るのに優れているように見えた。全日中、ジュニアオリンピック、少年Bと3000mでタイトルを取っていることからもわかるように、勝負強さは折り紙付き。
今回のラスト1周は62秒2で、過去の高校生トップランナーと比べてもすごい数字ではないが、学年別記録に迫るハイペースの展開で出したものだけに、それなりに評価できそうだ。来季以降、60秒を切って上がれるようになりそうな選手だと思う。
将来の目標を問われた田村は、次のように答えた。
「日本の中・長距離は弱いと言われていますが、それを覆したい。尊敬する選手は、エチオピアのベケレ選手です」
ハイペースに耐える力があり、ラストにも強い。田村が今回見せた特徴を伸ばしていくことができれば、“ベケレ・タイプ”の選手として、日本長距離界の“宝”となる可能性もある。
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