2008/6/18 日本選手権記者発表
有力選手や故障者の最新情報
6月上旬に熊谷で
“過去に例がない”合宿

 記者発表に出席した高野進強化委員長は、自身が指導に当たる末續慎吾(ミズノ)や、全体的に多い故障者たちの状態について言及。そこから、以下の情報が判明した。
「末續はここまで大事に来すぎていて、練習でも7割程度の出し方しかしていない。シーズンに入ってもタイムが上がらない。でも、やっと練習では20秒台中盤のタイムを出せるようになっています。条件が悪くなければそのくらいは行くでしょう。この前の300 mのタイムも、(銅メダルの)パリ世界選手権ほどではないですが、急速に良くなるタイプですから。今までは守りの調整でしたが、攻めの調整に入りました」

 今季はここまでレースに出ていない山口有希(大阪ガス)は、4日ほど前に300 mを「軽く34秒台で」行っているという。「45秒そこそこの記録まで出せるかはわからないが、脚の状態は良い」。関東インカレの200 mで肉離れをした金丸祐三(法大)については、タイムまで把握していないとのことだが、流しまではできているという。
 為末大(APF)は400 mH用にハードルを跳び始めたのは熊谷合宿(6/1〜6/5)から。6月14日の福岡大記録会は51秒28で後半が持たなかったが、「勝負魂は特殊な才能がある」と、日本選手権での起死回生の走りを期待していた。

 その熊谷合宿はに参加したのは以下の9人。
・塚原直貴(富士通)
・末續慎吾(ミズノ)
・高平慎士(富士通)
・堀籠佳宏(富士通)
・為末大(APF)
・成迫健児(ミズノ)
・醍醐直幸(富士通)
・澤野大地(ニシスポーツ)
・池田久美子(スズキ)

 日本選手権前に有力選手が、種目の垣根をなくして一堂に会して行う合宿は「過去に例がない」ものだった。実施の経緯と狙いを高野委員長は次のように説明した。
「大阪(世界選手権)の反省から計画を立て、3月にはチームやブロック毎の合宿を視察しましたが、みんな積極的に取り組んでいてケガ人もいなかった。それがシーズン前になって頑張りすぎたのか、有力選手にケガ人が続いてしまいました。シーズンに入ってプレ五輪までの主力選手たちを見て、もう1回キッチリと練習に取り組んだ方がいいと感じました。目標が同じレベルの選手たちで、種目間の壁を越えて実施したら効果があるんじゃないかと。選手たちも皆、2つ返事で参加してくれた。『こういう合宿をやりたかった』と。ナショナル・トレセンでやる方法もありましたが、特別な雰囲気を作りたかったんです。マスコミや観客を入れると彼らはどうしても意識してしまうので、公表しないで、シーンとした競技場でやりました。澤野君のマットを為末君や末續が一緒に運び、高平君と澤野君が一緒に200 mを走ったり。毎日、オリンピックへの思いを、皆の前で言ってもらったりもしました。大阪では力を発揮できなかった選手たちですが、このメンバーでオリンピックを戦うんだ、という意識になってほしかった。私としても、日本選手権前の一番大事な時期に主力とつきあえてよかったと感じています。彼らの状態をより把握できるようになりました。去年の世界選手権前はまだ、(強化委員長に就任したばかりで)自分もバタバタしていた。みんな調子はよくありませんが、指をくわえているわけではありません。ここからはあと、日本選手権までは調整して、日本選手権で決まったら、そのメンバーで本番まで突き進みます」


寺田的陸上競技WEBトップ