2008/3/8 名古屋国際女子マラソン
前日会見
練習に自信を見せた弘山と大南
坂本は故障で走れなかった期間、原は気持ちで負けないこと、
高橋は“あきらめなければ夢はかなう”ことを強調


「駅伝、大阪と欠場して迷惑をかけた方たちに、自分の気持ちをアピールしたい」(原)
Q.(質問不詳。明日への意気込みを、といったニュアンス)
高橋 名古屋に入って、この場に来て、これだけ多くの方に囲まれて、あと1日を切ったんだなと、初めて実感しました。元気な姿を見せて、いただいた声援、応援にお返しができるレースをしていきたい。
坂本 故障が長引いて(選考レースに)出られるか不安でしたが、なんとかスタートラインにはつけそうです。レースを楽しめるように頑張ります。
弘山 何年も陸上をやってきましたが、それをすべて出せるレースをしたい。ゴールまできちんと粘って帰って来られるようにしたい。
大南敬 ここまで順調に来ることができました。最後まであきらめず、粘りのあるレースをしたい。
 12月の全日本実業団対抗女子駅伝、1月の大阪国際女子マラソンと(欠場してしまい)、たくさんの方に迷惑をおかけしてしまいました。今回のマラソンで結果を残すことで、恩返しということを含め、自分の気持ちをアピールできればいいと思っています。
キルイ この大会に出られることになり、まず、関係者の皆さんにお礼を申し上げます。日本の素晴らしい選手たちと一緒に走れることを、嬉しく思います。良いレースをして、北京に出ることにつなげたい。

「1つの展開を想定せず、臨機応変に対応したい」(高橋)
Q.(高橋に)どんなレースを?
高橋 私にハプニングはつきものですし、今回もありましたが、元気にここまで来られたので、順調ということだと思います。メンバーを見ても素晴らしい選手たちで、スタイルも個々のものを持っている方たちばかりで、レース展開の特徴も違います。1つの展開を想定すると、その展開にならないときにレースになりません。臨機応変、柔軟に対応して、最後まできちんと走りきるレースをしたい。
Q.メッセージを伝えるために走るということですが、メッセージは伝えられそうですか?
高橋 私の場合、勝ちたいとか、タイムを出したいという気持ちでここまで来たわけではありません。私の走りを見て、陸上やっているいないに関係なく、あきらめなければ夢はかなうということ、1日でも2日でも自分も頑張ろうと思ってもらえるようになること、そういったものを伝えられる走りをしたいと思っています。

「周りの方のパワーを力に変えていける。その点は成長した」(坂本)
Q.(坂本に)どんな思いですか?
坂本 アテネ五輪は十分に力を発揮できず、終わった瞬間に4年後の北京オリンピックで、という思いを持ちましたが、そのあと故障が長く続き、選考会に出られるか心配でした。こうしてスタートラインに立てて、勝ちたいという気持ちより、レースを走れることが嬉しいと感じています。
Q.故障が多かったなかで、ご自身の成長を感じられる部分は?
坂本 故障で走れない間に多くの応援をしていただき、自分1人で走れるのでないことを実感しました。そうした周りの方のパワーを力に変えていける。その点は成長したと思います。
Q.どんなレースをしたいと思っていますか?
坂本 出られることが嬉しいので、練習の成果を発揮できるようなレースをしたい。

「今回の練習はほとんど予定通りにここまで来ました」(弘山)
Q.(弘山に)また年齢のことで恐縮ですが、オリンピックの代表になられたら最年長ということですが、オリンピックへの思いは?
弘山 アテネ五輪のあと、4年後の北京に挑戦することはたぶんないだろうと思いました。今回こうしていること、明日走ることは想像もできませんでした。北京のことはあまり考えていませんが、走る限りは勝ちたい気持ちはあります。勝負所まできちんと走って、最後は笑ってゴールしたい。
Q.腕振りを修正されているという話でしたが、その手応えは?
弘山 マラソン練習を始めてからいつも腕振りを注意されていて、それを課題にやってきました。あまり自分ではビデオなどを見ませんが、最近監督から注意されなくなっているので、上手くなってきたのではないかと思います。今回の練習はほとんど予定通りに、あまりスケジュールを狂わせずにここまで来ました。合宿後の調整も、トレーナーさんをはじめ支えてくださる方が全力で調整してくれて、明日は良い体調で臨めそうです。

「走り始めてからの夢が、(姉妹)2人でオリンピックを走ることでした」(大南)
Q.(大南に)練習面、気持ちの面、これまでのマラソンとどこが違いますか?
大南敬 12月から3カ月間、いつになく距離を踏めて、集中して練習できました。気持ち的にも充実していましたし。調整も順調で、明日は良い状態で臨めると思います。
Q.スパート地点や位置取りなど、レース展開はどう考えていますか?
大南敬 明日、一番注意するのは転倒しないこと。あとはレースの流れに乗って、行けると思ったところでスパートできればと思います。
Q.お姉さんの博美さんはトラックの代表を狙っているということですが、先に代表となって励みにしたいとお考えですか。
大南敬 走り始めてからの夢が、2人でオリンピックを走ること。自分が先に決めて、博美にも自信を持ってトラックを狙えるようにさせてあげたい。

「気持ちだけは誰にも負けないよう、最後まで粘って走りたい」(原)
Q.(原に)大阪から名古屋に切り換えて、練習面と気持ちの面のプラスはどんなところにありましたか?
 プラスになったことは、名古屋を走らせていただけるチャンスをいただけたことに感謝をして練習できたことです。マイナスになったことは特にありません。
Q.レース展開は先手を取ったりすることを考えていますか?
 特に考えていませんが、レースの流れで、そのときに考えます。流れで走っていきたい。
Q.練習の出来は、これまでのマラソンと比べてどうですか?
 どのレースも練習が完璧にできたということはないですし、今回の練習も完璧にできたわけではありません。でも、帰国して試合が近づくにつれて気持ちも高まってきましたし、名古屋入りしていっそう、気持ちは充実してきました。気持ちだけは誰にも負けないよう、最後まで粘って走りたいと思っています。

「明日のレースで良いところを見せて、代表に選ばれたい」(キルイ)
Q.(キルイに)代表への自信はどのくらいありますか?
キルイ この大会に向け十分な練習ができましたし、万全の体勢で臨めます。明日は良いレースをしたい。オリンピック選考ではまず、15人の候補に絞られるのですが、私は今、その中に入っています。明日のレースで良いところを見せて、代表に選ばれたいと思います。

「年齢とともに、体の声を聞いて、その日の体調に合った練習をするようになりました」(弘山)
Q.(高橋に)心の支えとなった座右の銘などあれば。
高橋 高校時代の恩師にいただいた、「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ」という言葉です。(中略)
Q.(弘山に)年齢を重ねて、若いときにできなかったけど、今はできるということがあれば。
弘山 若い頃は体調を無視して、気持ちにまかせて練習をしていましたが、年齢とともに、体の声を聞いて、その日の体調に合った練習を、監督と相談してするようになりました。
Q.(高橋に)前回のマラソンのあと、走ったレースがあれば教えてください。出ていなかったら、出なかった理由をお願いします。
高橋 レースには出ていません。私の記憶が正しければ。理由は特にありませんが、レースに出ようとしたことはありますが、タイミングが合いませんでした。魅力のある練習があったこともあって。今回も1月の時点で試合に出るため帰って来ようと予定していました。でも、麗江で3000mの高地練習をすることにしました。タイムトライアルなど、試合のような練習はすることができますが、麗江の練習はそのときしか組めませんでした。

「陸上を始めて最初の大きな挫折はセビリアの世界選手権を、当日の朝になって棄権したこと」(高橋)
Q.これまで乗り越えてきたなかで、一番苦しかったことは?
高橋 長くやってきているので1つに絞り込むのは難しいですけど、陸上を始めて最初の大きな挫折はセビリアの世界選手権を、当日の朝になって棄権したことです。その悔しい思い出を、シドニーに出ることで山を乗り越えました。あれが一番苦しかったですね。
坂本 私は、(故障が続いた)この3年間が苦しかったです。その間、チームは駅伝で準優勝したり3位になったりしたのですが、私は走れなくて、すごく悔しかった。
弘山 色々と長いので、どれと言われても困るのですが…。忘れっぽいのであんまり覚えていませんし。ちょっと答えづらいですね、すみません。
大南敬 2003年の名古屋に勝った後、ヒザを故障してしまいました。長い間引きずって走っていたときが苦しかったですね。
 2005年の世界選手権のとき、全然練習できない状態であれだけ走れて(6位入賞)、夢だったものが目標として近づいた感じがしました。でも、世界選手権のあと疲労骨折を3回して、他にも故障が続いて、その走れなかったときが一番苦しかったです。
キルイ 私の場合過去のことではなく、ここ数カ月のことですが、ケニアが政治的に混乱して、通常のトレーニングができないこともありました。トレーニングに支障が出たり、外出できなかったり。日本まで来るルートも危険があるということで、いつもと違うルートにするなど大変でした。

「どうなるかわからないからマラソンは楽しい」(高橋)
Q.(高橋に)優勝の自信はありますか?
高橋 どうなんでしょう? それを一番知りたいのが、私自身だと思います。どうなるかわからないからこそ、マラソンは楽しいんです。結果が出て初めて、やって来たことが正しかったかどうかがわかります。今は玉手箱を開けるときのような、ワクワク、ドキドキした感じを楽しんでいます。
Q.(高橋に)今、なぜ走り続けるのか、そのモチベーションはなんなのでしょうか?
高橋 理由は年々変わって来ています。最初は東京、大阪、名古屋の3大大会に勝ちたいというものでしたが、それがオリンピックに出たい、世界記録を出したいと変わってきました。2003、04年くらいからは、勝ちたいという気持ちより、応援してくれた人たちに、生活の中で自分も頑張れると思ってもらえるレースをしたい、と考えるようになりました。そう思ってもらうことが、恩返しであり、また違った意味で私自身の夢になりました。自分の中のモチベーションとしては、2005年にチームQを立ち上げて、人数は少ないのですが、自分のために人生を変えてくれたみんなに囲まれて、その人たちが全力で支えてくれて、すごく力をくれます。どんなときでも応援してくれるファンの方たち、スポンサーの方たち、色々な方の思いが、挫折してもここまでつなぎとめてくれました。そうした全ての人に感謝をして走りたいと思います。


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