2008/12/13 全日本実業団対抗女子駅伝前日
三井住友海上、豊田自動織機、ホクレン
3強の理想とする展開は?

TBSサイトに区間エントリー表

 三井住友海上、豊田自動織機、ホクレンが3強と言われている。
 三井住友海上はエース渋井陽子の存在と、日本一厚い選手層が特徴。
 東日本予選では3区の渋井が区間2位のホクレン・赤羽有紀子を45秒も引き離し、5区の大平美樹も区間賞。全日本の4区は“6番目”の選手が走ることが多いが、過去4年連続区間賞を獲得している。
 渡辺新監督はレース展開について次のように話している。
「理想は3区の渋井でトップに立ち、そのまま逃げ切ることです。後半勝負になっても、アンカーにタスキが渡る前に差を広げておきたい。大崎(千聖)は2年前に10秒差を弘山(晴美)さんにひっくり返されています。25秒はほしいですね」
 アンカー勝負を避けるためには、5区の大平の走りも重要になってくる。というか、1〜5区までの全員でリードをする必要がある。
 大崎は入社1年目の2006年は6区で区間2位(区間新)、昨年は5区で区間3位。福士加代子(ワコール)と赤羽の2強にはかなわなかったが、優勝チームの5区走者の役割をきっちりと果たした。「脚力はないが、高地だったら一番強い」と鈴木総監督が評価する好素材だ。
 しかし、今季は座骨系の痛みで状態がなかなか上がってこない。
「練習でも走りのバランスが崩れていましたが、その頃よりは良くなっています」(渡辺監督)
 もしもアンカー勝負になったら大崎の“本番での強さ”が問われる。

 東日本予選2位の豊田自動織機は1区・新谷仁美、3区・ケバソ、5区・脇田茜と主要区間がしっかりしている。
 新谷は東日本予選1区で力の違いを見せて区間賞。ケバソは全日本実業団5000m優勝者。そして、07年世界選手権1万m代表だった脇田が復調してきたことが大きい。東日本予選5区では三井住友海上・大平に10秒差と迫った。
 東日本予選は6区の宮崎翔子も区間賞。その宮崎が今回は4区で、メンバーから外れるかもしれない状況になるくらい、各選手の調子が上がっている。
 国際千葉駅伝の6区で日本人トップとなった永田あやが今回も6区。そして2区の青山瑠衣はスタッフイチオシの選手。
 3区でトップに立つ可能性もあるし、脇田が昨年前半の調子に戻れば5区でも勝負ができる。アンカー決戦になっても永田が対応できる。
 指導を委託されている佐倉アスリート倶楽部の小出義雄代表は不敵に言い放った。
「前回予選落ちのチームが優勝したら面白いだろ」
 実業団女子駅伝初と思われる快挙に挑戦する。

 もう1つの候補がホクレンだ。東日本予選は5位だったが、日本選手だけで出場した。フィレスを長距離区間に起用できる今回は、その爆発力を生かすことができる。
 フィレスは前回3区区間賞。北京五輪ケニア代表に選ばれて現地入りしたが、補欠で出番がなかった。しかし、11月には記録会の1万mで30分29秒21と今季世界5位の快記録で走っている。
 1区の山下沙織も好調。中距離が本職だが、11月末の5000mで15分49秒55で走った。区間9位だった東日本予選以上に食らいつく走りができるだろう。
 山下の確保する位置次第だが、3区フィレスでトップに出る可能性は高い。4区で多少後退しても、5区には赤羽がいる。福士が3区に回った今回は、区間賞候補筆頭といえる。
 しかし、森田修一監督は慎重な言い方に徹していた。
「風や前にいるチームによって変わってきますが、40秒差でフィレスに渡れば先頭に届く範囲だと思う。そうなれば、4区でマイナスがあっても5区でなんとかできます。でも、優勝を狙うとは軽々しく言えません。フィレスと赤羽はよくても、他は1、2年目の選手ばかり。山下も15分台は自信になっていますが、修論で入社するまで練習が積めていませんでした。アンカーに渡るまでに40秒のリードがないと、やられますね。そのパターンに持ち込むためにも、3区で先頭争いをするところまで上がっておく必要があります」
 2枚看板の出来はもちろんのこと、1区・山下の走りがホクレンのレース展開に大きく影響しそうだ。


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