2008/12/13 全日本実業団対抗女子駅伝前日
エースたちの状態は? TBSサイトに区間エントリー表
@渋井は10年連続3区
渋井陽子は10年連続で前半のエース区間、3区に起用された。
渋井は今回で10年連続の3区。その成績は以下の通りである。
区間賞はチームが初優勝した2000年1回だけだが、渋井は必ず上位の流れに乗せてきた。さらに、渋井が3区にデンと構えているから、選手層の厚さが生きる。つなぎの区間で優位を築けるのである。
実業団女子駅伝の“ミス3区”の称号は、渋井をおいて他にいない。
渋井の全日本実業団対抗女子駅伝成績
区間 |
年 |
記録 |
区間順位 |
チーム成績 |
3区 |
1997 |
33.48. |
11 |
4位 |
1区 |
1998 |
21.01. |
5 |
21位 |
3区 |
1999 |
34.22. |
24 |
18位 |
3区 |
2000 |
32.03. |
1 |
1位 |
3区 |
2001 |
32.01. |
2 |
1位 |
3区 |
2002 |
32.34. |
5 |
2位 |
3区 |
2003 |
32.31. |
7 |
1位 |
3区 |
2004 |
31.50. |
4 |
1位 |
3区 |
2005 |
32.13. |
4 |
1位 |
3区 |
2006 |
32.29. |
5 |
2位 |
3区 |
2007 |
31.38. |
3 |
1位 |
3区 |
2008 |
? |
? |
? |
その渋井は東京国際女子マラソンで4位(2時間25分51秒)。終盤まで独走していたが、38.4km以降で尾崎好美(第一生命)、加納由理(セカンドウィンドAC)、マーラ・ヤマウチ(同)に次々に抜かれてしまった。
渡辺重治監督は渋井の状態について次のように話している。
「東京国際女子マラソンの1週間後には合宿に合流し、その時点でもう、先頭を走っている状態でした。例年、東日本の方が良くて全日本では厳しくなっています。でも、同じ東京に出た去年よりも、今年は良い状態です」
目指すレース展開については別記事にする予定だが、三井住友海上の浮沈のカギは渋井が握っている。
A東京国際女子マラソン優勝
尾崎は1区で“普通”に
東京国際女子マラソンに2時間23分30秒の日本歴代10位で優勝した尾崎好美(第一生命)。過去3年間は3区を走ってきた。昨年は区間6位だったが、「駅伝では良い走りがなかった」と山下佐知子監督は手厳しい。
その尾崎が今回は1区に起用された。その理由を山下監督は次のように説明する。
「元々1区か3区のつもりでいましたが、3区の飯野(摩耶)が悪くないし、3区には若手を起用したい気持ちがあった。尾崎の調子自体は普通です。普通に走ってくれると思います」
この“普通”をどう受け取るべきか。
実は尾崎は、3区を走るようになる前は1区を務めることが多かった。
入社2年目の2001年から3年連続で走り、区間13位・6位・3位。2002年は区間1位と5秒差でチームの初優勝に貢献。翌年の区間3位のときも1位とは同じく5秒差。1区ではしっかりと役割を果たしていた。
前回1区区間賞の勝又美咲の欠場は痛いが、尾崎が“普通”に走れば、第一生命は良い流れに乗れる。
B不安のある福士が3区の理由
北京五輪代表の福士加代子(ワコール)と赤羽有紀子(ホクレン)は、ともに故障明けで今大会に臨むことになった。
福士は昨年まで3年連続5区で区間賞。毎回ごぼう抜きを演じてきた。それが今大会は3区。ワコール永山忠幸監督は、福士の状態と3区起用の理由を次のように話した。
「淡路島女子駅伝の後に左足の足底を痛めました。筋膜炎です。右のヒザにも痛みが出てしまいました。3週間、軽いジョッグとプールでのトレーニングだけです。ポイント練習は今日の1000mの刺激だけ。国際千葉駅伝のような日本代表であれば出場するわけにはいきませんが、今回の駅伝は企業に所属している選手の使命です。自分が出ないと他のメンバーに負担がかかると言って、どんな状況でも行く覚悟でした」
「3区起用は昨年、3区、4区とブレーキをしてしまい、5区で取り戻すことができませんでした。今年は福士以外のメンバーは、これまでと比べても一番良い状態です。福士を3区に置くことで、ガチンコ勝負ができます。福士の状態を考えても、5区で1人で追い上げるよりも、他チームのエースと競った方が良いと考えました。体調がどう、痛みがどうと考えているヒマもない区間ですから」
福士の状態とチーム状況を考えると、賭けの要素はあるにせよ、ワコールにとっては“福士3区”が唯一の戦略なのである。
C5区・赤羽の役割は?
赤羽有紀子(ホクレン)は11月の東日本実業団女子駅伝後に、右の足底外側の故障で2週間ほど練習が中断した。夫の赤羽周平コーチは次のように経過を説明した。
「1週間は水泳だけ。徳之島に温泉プールができたので助かりました。その後は様子を見ながら走ることができましたが、2〜3週間は影響が出てしまいました。浜松合宿をやめて自宅で調整しましたが、そこでグッと上がってくることができたんです。チームが初優勝を狙える位置にいます。有紀子のところ(5区)にどんな展開でタスキが来ても、そこで貯金を作ることが役目です」
ホクレンが優勝するための条件は、これも別記事にする予定だが、“5区・赤羽”がカギを握ることになる。
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