2008/5/25 関東インカレ4日目
日大総合Vの象徴
藤光が20秒58! 200 mでA標準突破
「関東インカレを“完走”できたことがかなりの収穫です」
藤光謙司(日大4年)は何が一番嬉しかっただろう?
レースはスタートで安孫子充裕(筑波大2年)が勢いよく飛び出たが、藤光もスムーズな加速でカーブの出口では体1つ前に出ていた。3番手の金丸祐三(法大3年)は2人から少し差があり動きにも勢いがない、と思っていると直線に入って間もなく右のハムストリングスを痛めてストップ。藤光がそのまま逃げ切り、20秒59で止まったタイマーは正式記録で20秒58に。
藤光にとって2年前の今大会で出した20秒46の自己記録に次ぐセカンド記録であり、北京五輪標準記録有効期限内では初のA標準突破。また、高校2年時にインターハイ200 mで2位になってから、なかなか勝てなかったタイトルを手にした(07年のアジア選手権優勝はあるが)。そして、2000年を最後に遠ざかっていた日大の、21世紀初の総合優勝にも貢献。まさに良いことずくめだった。
しかし、これらのことは全て、関東インカレをケガなく“完走”したから、成し遂げられたこと。派手に喜ぶところではないが、芯の部分で喜びを感じられるところだったのではないか。それが伝わってくる藤光のコメントを、いくつか紹介する。
●A標準や記録について
今季の藤光は5月3日の静岡国際が20秒85(−0.3)、同10日の国際グランプリ大阪が21秒06(+0.1)と記録は低調だった。静岡は風が回って記録上以上の向かい風だったし、大阪は雨と低温。ともに高平慎士(富士通)、斉藤仁志(筑波大)に敗れて日本選手3番手だったが、藤光には好感触があった。
「調子自体悪くなかったし、そこそこ行ける感じはありました。体力的には疲労がたまっていて、タイムにどう影響するかわかりませんでしたが、とにかく今の力を出し切ろうと思って走りました。走れた感覚もありましたが、20秒6〜7台かなと思っていました。20秒5台までとは思いませんでした。狙った大会で記録を出せませんでしたが、日本選手権までにA標準を切りたいと思っていた。残るチャンスは関東インカレだけでした。自己2番目の記録ですが、(20秒46を出した)2年前と比べて、走り込んで確実に力はついています。A標準が出てもおかしくない、きっかけさえあれば出せると思っていました。動き自体は良いころと変わっていないと思いますが、全体として基礎体力が2年前よりも上がっています。20秒46の力はなかったのに出てしまったタイム。今回は出せる自信がある程度あったなかでの結果です」
●初のタイトルと総合優勝について
「取れそうで取れなかったタイトルが、やっと取ることができました。かなり嬉しいですね。日大短距離選手の優勝も、久しぶりですし。総合は本当に勝てるとは思っていなくて、みんな、本当によく仕事をしてくれて、上手く点数を積み上げられました。みんなが力を発揮したからです。そのなかで自分も勝つことができて、なお嬉しく感じています」
●「怖くて」走れなかった前半を行けるように
「実際のところ関東インカレを、ケガなく終えられたのは初めてです。3年生までは最終日までのどこかでケガをしていましたから。今年は“完走したい”という気持ちが強くて、今回初めてそれができたのが良かったです。年を追う毎にタフになってきています。自分としてはそれが、かなりの収穫です」
成績で全ての事情が判明するわけではないが、1年時は100 mで7位(日大勢トップ)となりながら、4×100 mRを走っていない。2年時は100 mで3位(10秒41)の自己新を出し、200 m予選で20秒46をマークしたが、決勝のレース中にケガをして55秒64でフィニッシュした。昨年は1種目も決勝に出ていない。
「以前は思い切り走れない部分がありました。流しというわけではありませんが、80mくらいまでは“後半120mが勝負だ”くらいの感じで走っていました。前半で差がついてしまって後半もまくれない。抜かないと脚が怖かったからですが、今年はスタートから前半も行けるようになりました。そこが今日の結果に結びついたと思います」
●オリンピックや日本選手権に向けて
昨年の世界選手権は、前年にA標準を突破していたが、日本選手権6位で代表入りできず。代わって派遣された7月のアジア選手権で優勝して力をアピールした。その分も、北京五輪に懸ける思いは強いはずだが、藤光は自然体を心掛けているようだ。
「ここでA標準を切ったことは大きいですね。変に力まずに日本選手権に臨めると思います。もう1回しっかりとトレーニングをし直して、日本選手権にきっちり合わせたい。(末續に次ぐ)2番手グループという気持ちでいたら、絶対に勝てません。自分が走れたら勝てる、くらいの気持ちで行きます。そのためにも、自分のレースをすることが大事になる。最高のコンディションで臨めば結果はついてくる。あまり(勝敗やオリンピックを)気にしないで自分のことに集中したいと思っています」
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