2008/5/17 東日本実業団2日目
志鎌、わずかのファウルで8mジャンプ
足首手術後に追求してきた技術に手応え

 この日スタンドが一番どよめいたのは、男子走幅跳の5回目だった。志鎌秀昭(阿見アスリートクラブ)の跳躍がグンと伸び、8m付近に着地した。観客は数百人といったところだが、手拍子がリズムになる程度には入っていた。それなりに注目を集めたなかでの大ジャンプだった。
 ところが「3cmくらい」(志鎌)のファウル。惜しいところで大魚を逸した。6回目は10cmくらいのファウルだったが、やはり8m付近に着地した。4月の兵庫リレーカーニバルで出した自己記録は7m90(荒川大輔に次いで2位)。この日の優勝記録は3回目の7m76(±0)で、「記録的に見たらそんなによくない」と言いながらも、感触は悪くなかった。

「今日の内容は、自分の中のものが噛み合ってきた感じがあります。洗練させていけば行ける手応えがあります」
 2006年の10月に踏み切り脚(左)の足首を手術した。「無理をして突っ張って踏み切っていた」ことが、足首に負担を掛けていた。「今はまったく力を使わず、抜けていくというか、軽い踏み切りに変えてきています」
 昨年のシーズンベスト(7m77)を記録したのが11月の浜松中日カーニバル。その頃から、かみ合い始める感じができてきた。
「今日は5・6本目の他に、1本目もかなり良かった。形になってきたと思います。元々、スピードがあるタイプではありません。そんな自分が戦うには、ひと味違う踏み切りをするしかない。(今季は)助走の最後の流れから踏み切りにかけて洗練されてきました」

 昨年までは筑波大の大学院生。今季から阿見アスリートクラブ所属で出場しているが、週に4日は17:15までのフルタイム勤務をこなしている。勤務地は品川で、練習場所は主に東京体育館のグラウンド(国立競技場近く)。
「練習は勤務のない日に重きをおいてやっています。学生の頃は生活がダラダラしてしまったところもあったので、一度、それを直そうと思ったんです」と言う。今季の快進撃を見れば、技術的な部分とともに、生活に上手くリズムをつけていることがわかる。

 母校の筑波大で練習をすることもある(日大でも)。恩師の村木征人筑波大跳躍コーチから「やっと助走を褒めてもらえるようになった」と言う。走高跳、棒高跳、三段跳の日本記録を更新してきた筑波大跳躍ブロックだが、走幅跳だけがない。筑波大記録は7m91で、OBを含めても7m95が最高である。
「目標は○○です」
 筑波大OB記録を大きく上回る数字を志鎌は口にした。


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