2008/5/17 東日本実業団1日目
福島、「狙っていた」予選で不発も
決勝で23秒60の日本歴代4位

「あまりにバテたので自分でもビックリしちゃって」


 最も注目されていたのは織田記念の100 mで11秒36の日本タイを出した福島。続く静岡国際の200 mは、記録を狙うというよりも「勢いで走りたかった」と言い、23秒13(+2.7)で快勝。大阪GPでも雨の中を11秒56で、日本選手トップの3位。日本人2位に0.19秒の大差をつけていた。
 ただ、かつてないレベルで連戦を続けている影響が懸念された。4月13日の4×100 mR(上尾)でシーズンインし、織田記念・静岡国際・大阪GPとそれぞれ2本ずつ走っている。午前中の気象条件もよかったので、予選から記録を狙いに行った。

 予選3組の福島は別次元の強さで、2位以下を圧倒。しかし、タイムは23秒68(±0)にとどまった。静岡国際予選で出した自己記録とタイ、東日本実業団の大会新ではあるが、今の福島が考えているレベルを下回ったようで、かなり悔しさそうな表情を見せていた。
「(予選は)狙いました。うーん、何を目指したのかはわかりませんが、とりあえず狙っていきました」
 このコメントを読んで「えっ?」と思った方も多いだろう。一見、矛盾したような発言をしているのだが、それは第三者との意識の違い。福島の狙ったのは、とにかくベストを尽くし、今持っている力で出せる最高のパフォーマンスを発揮すること。それを「狙いました」と表現した。
 それに対して見ている側は、明確に“これ”というタイムを求める。そこに気づいた福島もすぐに「A標準だったり、B標準だったり、日本新だったりですが」と付け加えた。

 予選を走って自身の疲れが、予測以上に大きいことにも気づいた福島。
「疲れを目の当たりにしました。あまりにバテたので自分でもビックリしちゃって。狙っていただけに悔しかったです」
 決勝までのインターバルは3時間弱。棄権する選択肢もあったが福島はスタートラインに立った。
「やめようかとも考えましたが、とりあえずやった方が良いと思って。(中村宏之)先生も、どっちでもいいと言ってくれましたが、自然と走る方向に考えていました」

 決勝は4レーン。前半で大きくリードするのは今季のパターン。7レーンの丹野麻美(ナチュリル)に終盤で追い込まれたが、なんとか逃げ切った。タイムは23秒60の自己新。日本歴代4位である。予選前にイメージしていた記録とは違ったはずだが、決勝の結果には少し満足感があった。
「(決勝は)楽に、練習みたいに走れば良いと先生からは言われて、楽に走ったのに自己新を出せました。決勝の雰囲気や、丹野さんをはじめとする速い選手の方たちと一緒に走って、流れに乗れたので記録が出たのだと思います。(決勝の結果に不満は)ありません。ただ、タイムは狙って出るものじゃないことがわかりました。でも、狙わないといけないですし、狙って走りたいとは思いますが…」

 次は1週間後の北京プレ五輪。4×100 mRだけだが連戦の締めくくりとして出場する。疲れを心配する質問が出た。
「はい。大丈夫にします」
 リレー種目はタイムを出さない限り、五輪出場の道はない。2大会の平均で世界16位以内が条件。ここまで来たら具体的なタイム云々よりも、現在の日本チームの力を最大限に発揮するしかない。


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