2008/3/2 びわ湖マラソン
大崎が日本人トップ
2時間08分36秒で五輪有力候補に

レース後の一問一答

「20kmくらいでいっぱいいっぱいになって、本当に離れそうになりました」
Q.今日のタイムと順位を、どう受け止めていますか?
大崎 それなりに、最後まで力を出し尽くせたと思うので、結果に悔いはありません。今後の課題としては、世界を目指す上で(今日の)1・2位の選手もいるわけですが、少しずつそういう部分も見えてきたので、次回は**********。
Q.勝負所はどこだったと感じていますか。
大崎 比較的ですが、ずっときつかったレースでした。20kmくらいでいっぱいいっぱいになって、本当に離れそうになりました。でも、ここで離れてしまったら何にもならないと思って。あとは我慢でしたね。誰かにリズムを合わせて、なんとか持ち直そうとしました。一度、少し回復したので、あとはなんとかリズムを崩さないように走りました。30kmを過ぎて前の2人と開けられてしまいましたが、リオス選手と2人になってからも、気持ちだけは切らしてはダメだという思いで、前へ前へと、前だけを見て走りました。先頭で、自分から仕掛けての優勝争いはできませんでしたが、今回の練習内容では、なかなかそこまでは厳しかったですね。次の課題です。

「(スタート前の笑顔は)結構、作り笑いでした」
Q.後ろから追い上げられていたのはわかっていた?
大崎 後ろは1回も見ていませんが、沿道からの応援で、「何メートル後ろ」と聞こえていて、ヒヤヒヤしながら走っていました。10mとか20mとか、すぐ後ろにいるよと言われて、本当にヒヤヒヤでした。
Q.リオスと2人のところでは、前に出ていましたが。
大崎 リオス選手にガツガツ行く雰囲気はなく、逆に、自分から主導権を握った方が、リオス選手が離れるのでは、という感触があったんです。
Q.レース前は笑顔も見られましたが、どんな心境での笑顔でしたか?
大崎 色んな方が応援に来てくださっていて、北京五輪選考会ということで、4年間分といいますか、“この大会に”という思いは強いものがありました。やっと今日が来た、という心境でした。緊張しないタイプの割には気持ちは高ぶっていて、結構、作り笑いでした(笑)。

「(リオスを)引き離そうと、直接的なスパートをかけたわけではありません」
Q.リオスを引き離したところを***?
大崎 若干きつくなったり、余裕が出たりの繰り返しでした。あまり落とさないようにと気をつけてはいました。もう少し頑張れるというところでは前へ前へと出て、そうしていたら、知らないうちに離れてくれていました。引き離そうと、直接的なスパートをかけたわけではありません。
Q.東京マラソンの藤原新選手(JR東日本)のタイムは、どこで上回ると思いましたか?
大崎 40kmくらいで沿道から、2時間08分40秒が切れるよと言ってもらって、ここまで来たら記録もという欲も出てきました。トラックの最後の1周で、これでなんとか行けるかな、という手応えを感じました。
Q.(涙についての質問)
大崎 泣くまいと思っていましたが、ついつい、感情的になってしまいました。この4年間、会社も自分の活動を認めてくれて、次オリンピック出ろよ、頑張れよと言ってくれて、そのことの重みは感じていました。それに向けてやってきたことに対し、結果を出せて良かったなという思いがあって。それがすごく大きかった。この4年間、順風満帆というわけでもなかったので、それが感情に出てしまいました。

「勝負をしたい、誰にも文句を言われない成績で取りたかった。“待ち”という気持ちはなかった」
Q.(質問不詳)
大崎 本当、その気持ちだけでした。そこまで順調にトレーニングできていたわけじゃありません。気持ちだけで走れた感じが強いです。
Q.(質問不詳。アテネ五輪選考漏れ後の4年間に関して)
大崎 会社として北京が目標としてありましたが、個人的にはまだ4年あるから大丈夫かな、と思っていました。4年間、1つ1つやっていこうと。その間、アジア大会、世界選手権などで1つ1つ、良い経験ができたと思っています。その最後の、北京の年となって、“この1年”ということで、気持ちが高ぶってきました。長かったようで短かったといいますか、思ったよりも短かったですね。
Q.(質問不詳。選考レースを見送る案もあったことについて)
大崎 世界選手権後に監督と話をして、“待ち”でもいいのでは、という案があって、そういう考えもあるのか、と思いました。個人的には考えていなかったことで、そこでじっくりと考えました。でも、4年前は選考でダメになったので、自分の手で文句なしという成績で代表を取りたいと思いました。4年前のその経験から、勝負をしたい、誰にも文句を言われない成績で取りたいと思って、“待ち”という気持ちはなかったですね。

「練習ができていないからダメだ、という気持ちでスタートラインには立っていません」
Q.4年間の各大会はそれぞれ内容を伴っていたということですが、大会ごとに練習に波があったことは、自分ではどうとらえていますか?
大崎 4年前の東京の後、福岡(04年12月)、びわ湖(06年3月)、アジア大会(06年12月)、世界選手権(07年8月)、そして今回のびわ湖と続いたわけですが、順調にトレーニングを積めて挑めた大会はありませんでした。ただ、アクシデントがありながらも、スタートラインには立てています。故障や貧血があっても、個人的には一生懸命にやって、悔いのない状態でレースには臨んでいました。練習ができていないからダメだ、という気持ちでスタートラインには立っていません。それぞれの大会には3カ月前から用意をしますから、1つ1つ結果を残していくことが評価につながります。1つ1つやることが必要だと思ってやってきました。
Q.良い意味で図太くなったと?
大崎 1回結果を出すと欲が出て、それに満足せず次も結果を出したいと思って図太くなっているのかもしれません。

「今が一番のピークではなく、もっと上を目指していきたい」
Q.昨日の会見では記録はこだわっていないと話されましたが、内心このくらい出さないと、という気持ちはなかった?
大崎 やっぱり勝負というのがあります。そうは言っていても、心の中には(記録もという気持ちが)ありました。それぞれ天候は違いますから記録はあってないようなもの。とはいえ、心の中では、文句を言われたくない気持ちがあったので。
Q.状況的には文句のない結果で、オリンピック切符が現実的になりそうですが?
大崎 まだ発表ではないので吉報を待つ段階ですが、(NTT西日本に)入った頃は夢でしかなかったオリンピックが、目標になって、いつの間にか現実の自分のこととなって、つかめそうなところに来ていました。そのとき、そのときで目標が高くなってきました。(五輪代表の)発表はまだですが、今が一番のピークではなく、もっと上を目指していきたい。

「(最後の2.195kmが)6分43秒ですか? けっこう速いですね。」
Q.結果的に同じ選手に負けてしまいましたが、オリンピックでもまた対戦すると思います。その差を埋めていくためにはどういうことを?
大崎 今回の練習量ではシャミ選手に勝つのは厳しいと、心の中では感じていました。しっかりと対策をして、勝負を挑める状態で臨めるのが良いのですが。そのためには絶対的なスピードが必要です。暑い北京だからスピードは要らないかといったら、上げ下げのところでスピードが重要になってきます。メダルを狙うならスピードが一番必要です。暑さに対しては負けない自信があるので、これから若干スピード強化をして、最後の揺さぶりに余裕を持って先頭集団に絡めれば、上が見えて来るという思いがあります。
Q.(質問不詳。最後、アスメロンに追いつけなかった点について)
大崎 いっぱいいっぱいの状態で、前について行けば自分の記録もついてくるだろう、という感じでした。これ行けるかなというときもあったのですが、最後は思ったより余裕があったようで、スパートされてしまいました。これで2回連続の負けですし、シャミ選手には3回連続です。陸上をやっている以上、連敗はしたくありません。今度は是非、勝負できるようにしたい。
Q.最後の3kmで*****ですが、ラスト2.195kmを6分43秒で上がったことは、自分ではどう評価しますか。
大崎 6分43秒ですか? けっこう速いですね。最後は後ろが来ていたということと、前へ前へという気持ちでした。気持ちだけで最後は押していきました。日本人トップの座は譲りたくない、と。それが、タイムにつながったのだと思います。1人になっていたあの段階で、そこまでペースを上げられたことは、自分なりにいい上がりができたと思います。今お聞きして自信になりました。


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