2008/8/16
ミズノがマラソン関連製品説明会を実施
尾方のシューズはグリップ感重視
16日15時からミズノが、美津濃(中国)体育用品有限公司 三里屯店で、マラソン日本代表選手が着用するウェアと、尾方剛(中国電力)が履くシューズについて説明会を行った。
ウェアは基本的には昨年の世界選手権と同じもので、暑さ対策で実績のある2つの種類の素材を準備。編み目が大きく吸汗速乾性に優れたドライサイエンス・タイプ(下の写真左)と、ミズノ独自の涼感素材をメッシュ状にしたアイスタッチ・タイプ(同右)。パンツは汗のたまり方などを考慮し、場所によってメッシュの目の大きさを変えるなどの工夫がなされている。
また、代表選手からの要望により、丈や幅の長さを変更するなど数パターンを用意している。
尾方のシューズは、ヘルシンキ世界選手権から使用しているタイプがベース。尾方自身が北京五輪コースを下見した結果、暑さ対策は通気性の高いアッパーの素材や、温度に対して変形の少ないミッドソールなど、従来使用しているシューズが最適と判断した(アッパーの通気孔は2ミリ大きくした)。硬い路面対策は、ソリッドラバーの中でも粘性の高いもの(スポンジに近い感触)を使用する従来のものが良いと判断。
「北京五輪対策はほぼ、グリップ感の問題に絞ることができました」と、ミズノのシューズ開発担当の河野光裕氏。
尾方はヘルシンキ世界選手権の頃から、靴底の両サイドが丸くなったラウンド型のソールを使用してきた。短距離に近い型で、拇指球に体重を乗せやすく、スムーズに体重を移動させて蹴りにつながっていく。ただ、初心者や慣れない人間には履きづらい。
その型の特徴を生かすため、グリップ力となる小さな突起(上の写真左。シューズ裏の黒いツブツブ)を両サイド1/3ほど削ってきた。それを今回は1/5に減らす。北京の路面の滑りやすさを考慮して、グリップ力を大きくするためだ。
グリップ力が大きすぎると選手はブレーキがかかった感覚になるが、削りすぎると今度は滑り過ぎる感覚になる。さじ加減が難しいが、尾方の感覚とミズノの技術をすり合わせて1/5になったという。
「尾方選手の走り自体も、地面を蹴ってストライドが伸びている。マラソン選手では珍しいでしょう。室伏(広治・ミズノ)と同じで、シューズを変えず、自身の走りを微調整していくタイプ」と河野氏。
さらに、雨天時用のシューズ(上の写真右)も用意。こちらはラウンド型ではなく、接地面積の大きくなるタイプ。「スタッドレスタイヤのような素材」(河野氏)を用いた“ウェットトラクションソール”を初めて採用。ここでも着眼点はグリップ感で、低硬度のラバーを適切な間隔に配置することで、水膜をはけやすくしている。
小刻みなペース変化に対応し、チャンスがあれば自ら仕掛ける。尾方の特徴を生かすシューズが仕上がった。
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