2007/4/16 日本陸連強化委員会新年度記者会見
強化委員会、高野新体制が発足
「メダルを量産した澤木前委員長の後を受けるプレッシャーが大きいが、そのカラーに自分の経験と思いを乗せて、より強化された強化委員会を構築していきたい」
大阪世界選手権の目標メダル数、地元枠行使の仕方にも言及


 新年度第1回目の陸連強化委員会が行われ、先に発表されていた高野進新強化委員長の下、新体制がスタートした。各強化部長は中・長距離で若干の入れ替えがあったものの、以下の高野委員長コメントにもあるように原則として留任し、大阪世界選手権までは昨年度と同じメンバーで臨む。
 会見ではまず、澤木啓祐前強化委員長(新専務理事)があいさつ。世界選手権まで「大阪対策本部(澤木啓祐本部長)」を設けることと、その経緯などを説明。「充実感と達成感をもって終えることができた」と締めくくった。
 続いて高野新強化委員長が挨拶。自身の経験と強化委員会の役割、澤木体制を引き継ぐことの思い、さらには陸上競技の社会に果たす役割、そして世界選手権への展望を、要所を押さえてスピーチした。その内容をできる限り正確に再現した。

高野進新強化委員長の挨拶
「私自身、現役時代はそれほどは気づきませんでしたが、強化委員会の短距離部に環境づくりをしてもらっていました。それで自分が世界で活躍できた。短距離部長になったとき、環境があったからだと強く気づきました。また、短距離部長として10年ほどやらせてもらってきましたが、その間に私の選手や日本短距離陣がある程度世界に近づけました。これも今思うと、強化委員会があったからできたこと。私自身にその能力があるかないかはやってみないとわかりませんが、そこに貢献すべきであると考えました。非常に強力なリーダーシップを発揮された沢木前強化委員長の下、メダルを量産した6年間の後を受けることはプレッシャーが大きい。そう思っていますが、今後も横でにらみをきかせていただけるであろうし、そのカラーに自分の経験と思いを乗せて、より強化された強化委員会を構築していきたい。
 陸上競技は陸上で行われるスポーツの基本です。陸上競技を強くすることが日本のスポーツ界を強くする、元気にすることだと感じています。陸上の強化が日本を元気にする原動力になる、ひいては国際交流、世界平和につながると信じてやっていきたい。しかし、交流をするには力が互角以上にないとできません。そのイニシアチブを取るため、日本陸上界を盛り上げていきたい。
 短期的な目標としては、大阪の世界選手権が迫っています。私自身、東京の世界選手権(1991年)に参加して、陸上界が進歩したと選手として実感しました。今回の大阪も、日本にとって大きなチャンスだと思います。その大阪に向け、昨年からずっと準備をしてきた委員会があるわけで、体制よりも準備してきたものを発揮するためにすべて、これまでの体制、システムで取り組んでいきます。私個人も8月までは、男子短距離部長を兼任いたします。1回目の委員会を開催しましたが、選手たちが大きな不安なくやってきている現状も確認できました。
 新年度をスタートさせるコメントとして、大阪でどの程度戦えるか、専務(澤木新専務理事)とも話をして、目標を決めました。メダルは可能性でいうとかなり(の種目に)ありますが、**************(この部分聞き取れず)、色はともかくとして、期待を込めて一般種目で3つ、ロード、マラソン種目で2つ、トータルで5つを目指していきたい。入賞は6〜8は考えられるであろうと思います。この数字を大きく超えて、多くのメダルを取れることが希望ではありますが、今言った5つのメダルを目指して頑張っていきます」

 その後、各強化部長の挨拶があり、その話を総合すると一般種目のメダルは、ハードルで1個(為末大か成迫健児)跳躍で1個(沢野大地か池田久美子)、投てきで1個(室伏広治)と陸連として考えていることがわかった。男子短距離は「200 mと両リレーの入賞」(高野部長)が目標である。
 部長たちの個々の話の紹介は機会があったらということに。大阪対策本部やロード競技対策特別委員会の新設に関する質疑応答があった後、世界選手権の地元枠の扱いについて、陸連がどう考えているか、質問が出た。それに対する高野委員長の回答は以下の通り。

「最終的に、フルに出すのかどうかという結論は出していませんが、権利として、できる限り行使していきたい気持ちはあります。では、どの種目でも必ず1名選ぶかどうかは、これから実力を見て決めていかないといけません。選手が戦えるモチベーションを持って出る必要がある。修学旅行ではダメです。意識付けを持てるレベルで考えていきたい。権利としては有効に使っていきたいということです」


寺田的陸上競技WEBトップ